
プレ男医術の神さまって、お医者さんにとっての神さまだよね! どんな神さまなの?

メル美アスクレピオスっていうの。腕がよすぎて、死んだ人まで生きかえらせちゃったんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はギリシャ神話の医術の神アスクレピオスです。アポロドーロス『ビブリオテーケー(ギリシャ神話)』(J.G.フレイザー英訳)、パウサニアス『ギリシャ案内記』(W.H.S.ジョーンズ英訳)、プラトン『パイドン』(H.N.ファウラー英訳)を、ペルセウス・デジタル・ライブラリーで読みました。ギリシャ神話の全体はギリシャ神話の入門へ。

「アスクレピオスの大理石の小像の頭部」紀元前3〜2世紀。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)
プロフィール
| 父 | アポロン |
| 母 | コロニス(またはアルシノエ、とアポロドーロスは両方の説を書く) |
| 先生 | ケンタウロスのケイロン。医術と狩りを教えた |
| わざ | 病気をなおし、死者までよみがえらせた |
| さいご | ゼウスの雷にうたれた |
| まつられた所 | エピダウロスの聖域など |
1. 火の中から助けだされた赤ちゃん
アポロドーロス(3.10.3)です。
- アポロドーロスは、アスクレピオスの母について2つの説を書いています。ひとつはアルシノエ、もうひとつはテッサリアのコロニスです
- コロニスの説では、アポロンはコロニスを愛しましたが、コロニスはべつの人をえらびました。それを知らせたカラスを、アポロンはのろって白から黒に変え、コロニスの命をうばいました
- そして、コロニスのなきがらが火葬の火でもえているとき、アポロンは火の中から赤ちゃんを助けだし、ケンタウロスのケイロンにあずけました。ケイロンは、この子に医術と狩りを教えました(ケイロンはケンタウロスへ)
2. 死者をよみがえらせた医術
- 「彼は外科医となり、その術をきわめて、ある人びとを死からまもっただけでなく、死んだ人までよみがえらせた」
- アポロドーロスによると、アスクレピオスは女神アテナからゴルゴンの血をもらっていました。「左がわの血管から流れた血は人をほろぼすのに、右がわの血管から流れた血は人を救うのに使い、それで死者をよみがえらせた」
- アポロドーロスは、よみがえらせた人として、カパネウス、リュクルゴス、ヒッポリュトス、テュンダレオス、ヒュメナイオス、グラウコスの名を、それぞれの出典とともにあげています

メル美同じゴルゴンの血なのに、左は毒、右は薬!? 薬も使い方しだいってことかな。
3. ゼウスの雷
アポロドーロス(3.10.4)です。
- 「ゼウスは、人間が彼から医術をおぼえて、たがいに助けあうようになるのをおそれ、雷で彼をうった」
- いかったアポロンは、ゼウスの雷をつくったキュクロプスたちを殺しました。ゼウスはアポロンを冥界の奥タルタロスへ落とそうとしましたが、母レトのとりなしで、1年のあいだ人間の王アドメトスにつかえることになりました。アポロンは牛飼いとなり、牛はみなふたごを生んだといいます

プレ男人が助けあうのをおそれて、ってところが神話っぽいね。死と命の線引きは、神さまのものだったんだ。
4. エピダウロスの石板
パウサニアス『ギリシャ案内記』2巻27章です。ギリシャ各地をめぐって案内記を書いたパウサニアスは、アスクレピオスの聖域エピダウロスのようすを書きのこしています。
- 「聖域の中には石板が立っていた。わたしの時代には6枚のこっていたが、むかしはもっと多かった。そこには、アスクレピオスにいやされた男たちと女たちの名前、それぞれがかかっていた病気、そしてなおし方が書かれている。方言はドーリス方言である」

パウサニアスによると、エピダウロスの聖域の石板には、いやされた人の名前と、かかっていた病気と、なおし方が書かれていました。
5. ソクラテスの最後の言葉
- プラトン『パイドン』(118a)は、哲学者ソクラテスの最期をえがいています。毒を飲んだソクラテスが、さいごに言った言葉はこうでした。「クリトン、わたしたちはアスクレピオスにニワトリを1羽おかえししなければならない。きちんとおさめて、わすれないように」
まとめ
- アスクレピオスは、アポロンの子で、医術の神
- 火葬の火の中から助けだされ、ケンタウロスのケイロンに医術を学んだ
- ゴルゴンの血をつかって、死者までよみがえらせた
- 人間がたがいに助けあうのをおそれたゼウスに、雷でうたれた
- エピダウロスの聖域には、いやされた人の名前・病気・なおし方を書いた石板があった
- アポロンがつかえた王アドメトスの妻アルケスティス、父のアポロン、先生のケイロンが出てくるケンタウロス、同じくケイロンに育てられたアキレウスもどうぞ
参考文献
- Apollodorus. The Library(英訳:J. G. Frazer、1921年), 3.10.3–4. Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0022:text=Library:book=3:chapter=10:section=3 (閲覧日:2026年10月10日)
- Pausanias. Description of Greece(英訳:W. H. S. Jones、1918年), 2.27.3. Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0160:book=2:chapter=27:section=3 (閲覧日:2026年10月10日)
- Plato. Phaedo(英訳:Harold North Fowler), 118a. Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0170:text=Phaedo:section=118a (閲覧日:2026年10月10日)
- メトロポリタン美術館. Head of a marble statuette of Asklepios, 3rd–2nd century BCE(17.194.836、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/250062 (閲覧日:2026年10月10日)
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