
プレ男太陽の馬車を運転した少年の話? 免許なしで運転したらあぶないよ…。

メル美お父さんは何度も止めたんだって。それでも「自分が太陽の子だ」としめしたかったの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はギリシャ神話のパエトンです。オウィディウス『変身物語』第1巻の終わりから第2巻(B.モア訳、1922年、ペルセウス・デジタル・ライブラリー)の英訳を読みました。ギリシャ神話の全体はギリシャ神話の入門へ。

オディロン・ルドン「アポロンの馬車」1905〜1916年。油彩、カンヴァス。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)。太陽の馬車をえがいた絵で、パエトンの場面かどうかは題名からはわかりません
プロフィール
| 父 | 太陽の神ポイボス(英訳) |
| 母 | クリュメネ(夫はメロプス) |
| ふるさと | エチオピア |
| ねがい | 父の太陽の馬車を、1日だけ走らせたい |
| 姉妹 | 太陽の娘たち(ヘリアデス)。パエトンをなげいてポプラになった |
1. 「ほんとうに太陽の子なのか」
- パエトンの父は、太陽だといわれていました。同じ年ごろのエパポスは、パエトンにこう言ってからかいます。「かわいそうなやつだ。母さんの言うことなら、なんでも信じるのか。太陽が父親だなんて、思いこみでうぬぼれている」
- はずかしさでほおを赤くしたパエトンは、母クリュメネにうったえました。「ほんとうに神の血をひいているなら、そのしるしをください」
- 母は天に手をあげ、太陽を見つめてちかいます。「あのかがやく太陽にかけて、あなたはあの方の子です。うそなら、もう二度と太陽を見られなくなってもいい。父の住むところは近い。行って、本人にたずねなさい」
2. 冥界の川にかけたちかい
- 太陽の宮殿は、金とルビーにかがやく柱、象牙の丸屋根、銀の扉でできていました。玉座の左右には、日・月・年・時、そして春・夏・秋・冬がならんでいます
- まぶしさに近よれないパエトンに、父ポイボスは、光の冠をはずして近くによび、だきしめて言いました。「おまえの母の言ったことはほんとうだ。うたがいをはらすため、のぞみを言いなさい。かならずかなえよう。神々のやぶれないちかい、冥界の湖にかけて」
- パエトンがのぞんだのは、「父の、翼のある足の馬と馬車を、1日だけまかせてほしい」ということでした

プレ男やぶれないちかいを立てたあとに、そのおねがい…! お父さん、つらいだろうな。
3. 父の必死の説得
- ポイボスは、ちかったことを深く後悔して、3度も4度も頭をふりました。「それは、おまえの力にも年にも合わない。おまえは死すべき人間なのに、不死のものをのぞんでいる」
- 「炎をのせた車軸にしっかり立っていられるのは、わたしだけだ。雷を投げるオリンポスの王ゼウスでさえ、この馬車は走らせられない」
- 「道のはじめは急で、朝の元気な馬でもやっとのぼれる。天のまんなかでは、海と大地を見おろすと、わたしでさえ胸がふるえる。最後は、まっさかさまのくだりだ。とちゅうには、牡牛、獅子、さそりの、おそろしいすがたもある」
- 「わたしがこれほど心配していることこそ、わたしがおまえの父であるという、たしかなしるしだ」
4. 「まんなかの道を行け」
- それでもパエトンはききません。夜明けの女神がむらさきの扉をひらき、星がきえると、ポイボスは時の女神たちに馬をつながせ、息子の顔に炎をふせぐ薬をぬり、光の冠をかぶせて言いました
- 「むちはひかえめに、手綱はしっかり。馬はひとりでにいそぐ。止めるほうがむずかしい」
- 「低すぎてはいけない、高すぎてもいけない。高すぎれば天の住まいを焼き、低すぎれば大地をこがす。まんなかを行け。そこがいちばん安全だ」

メル美「まんなかを行け」って、イカロスのお父さんも同じことを言っていたね。
5. 暴れる馬と、燃える大地
- 4頭の太陽の馬、エオス、アイトン、ピュロイス、プレゴンは、炎のようにいななき、飛びたちました。ところが、馬車はいつもより軽すぎて、荷をおろした船のようにゆれます
- 馬たちはそれに気づくと、いつもの道をはずれて暴走しました。パエトンは、手綱をどうさばけばよいか、道がどこかもわからず、馬の名前さえ知りませんでした
- 高い空から大地を見おろして、パエトンは青ざめ、ひざがふるえます。「父の馬に、さわらなければよかった」
- 太陽の馬車が道をはずれたため、地上は燃え、大地の女神は苦しみに声をあげました
6. 雷と、ポプラと琥珀
- ゼウスは、このままではすべてがほろびると、神々と馬車をあたえたポイボスを証人によび、雷を投げました。雷はパエトンの命をうばい、同時に、大地をつつむ炎も消しました
- パエトンは、流れ星のように、炎の髪をなびかせておち、遠いエリダノス川に受けとめられました。水の精たちは墓をつくり、こうきざみました。「ここにパエトンねむる。父の馬車を走らせ、おちた。しかし、大きなことをこころみた」
- 父はなげいて顔をかくし、その日は1日、太陽が出なかったといいます
- パエトンの姉妹たち(太陽の娘たち)は、墓のそばで4か月なきつづけるうちに、足が根になり、体が木の皮につつまれて、ポプラの木になりました。その涙は、枝から琥珀(こはく)となってしたたり、日の光でかたまったといいます

オウィディウスの英訳では、父は「わたしがこれほど心配していることこそ、わたしがおまえの父であるというたしかなしるしだ」と言っています。
まとめ
- パエトンは、太陽の神の子。からかわれて、父の宮殿をたずねた
- 父が冥界の湖にかけてちかうと、太陽の馬車を1日走らせたいとねがった
- 父は「ゼウスでさえ走らせられない」「まんなかを行け」と必死に止めた
- 馬は暴れて大地は燃え、パエトンはゼウスの雷でおちた
- なげいた姉妹たちはポプラになり、その涙は琥珀になった
- 同じく「まんなかを行け」と言われたイカロス、雷を投げたゼウス、アポロン、同じ『変身物語』のアラクネもどうぞ
参考文献
- Ovid. Metamorphoses, 1.747–779; 2.1–366(英訳:Brookes More、1922年). Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.02.0028:book=2:card=1 (閲覧日:2026年10月10日)
- メトロポリタン美術館. Odilon Redon, The Chariot of Apollo, 1905–16(27.29、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/437380 (閲覧日:2026年10月10日)
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