
プレ男「朝三暮四」って、ことわざだよね? もとは『列子』の話なの?

メル美『列子』の黄帝篇に出てくるんだって。カモメやニワトリの話もあって、どれも人の心について考えさせられるの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は中国の『列子』の動物の話です。思想書『列子』の黄帝篇の原文(ウィキソース)を読みました。同じ黄帝篇の話は黄帝と華胥の国の夢へ。『列子』のほかの話は夢とうつつと紀昌と造父へ。
プロフィール
| 話 | あらすじ |
|---|---|
| 朝三暮四 | 宋の狙公が、サルたちに木の実(芧)のくばりかたを言いかえた |
| カモメの若者 | 毎朝カモメとあそぶ若者。父に「つかまえてこい」と言われた次の日… |
| 木鶏 | 紀渻子が周の宣王のために育てた闘鶏。「木のニワトリのよう」になった |
| 梁鴦の飼育 | トラやオオカミ、ワシもなつかせた、周の宣王の飼育係 |
1. 朝三暮四
- 宋の国に、サルをかわいがる狙公という人がいました。たくさんのサルを育て、サルの気持ちがわかり、サルも狙公の心がわかりました
- 狙公は、家族の食べものをへらしてまで、サルたちにあたえていましたが、やがてたりなくなり、えさをへらすことにしました
- サルたちがいうことをきかなくなるのを心配して、まず言いました。「木の実(芧)を、朝に3つ、夕方に4つあげよう。それでいいか」。サルたちはみな立ちあがって、おこりました
- そこで言いました。「では、朝に4つ、夕方に3つではどうだ」。サルたちはみなひれふして、よろこびました
- 『列子』は言います。「ものが、かしこさとおろかさで、たがいにまるめこむのは、みなこれと同じだ。……名も実(数)も、へってはいないのに、よろこばせたり、おこらせたりするのだ」

メル美ぜんぶで7つなのは同じなのに! でも、人間も言いかたひとつで気分がかわること、あるよね。
2. カモメとあそぶ若者
- 海辺に、カモメが好きな人がいました。毎朝、海へ行ってカモメとあそぶと、何百羽ものカモメがやってきて、いつまでもはなれませんでした
- 父が言いました。「カモメがみな、おまえとあそぶそうだな。つかまえてきてくれ。わたしもあそびたい」
- 次の日、海へ行くと、カモメたちは空を舞うばかりで、1羽もおりてきませんでした
- 『列子』は、「いちばんよいことばは、ことばをすてること。いちばんよいおこないは、何もしないこと」と結んでいます
3. 木のニワトリ
- 紀渻子は、周の宣王のために、闘鶏を育てていました。10日たって王が「もうたたかえるか」とたずねると、「まだです。からいばりして、気が強いばかりです」
- また10日。「まだです。ほかのニワトリの影や声に、すぐこたえてしまいます」。また10日。「まだです。にらみつけて、気が高ぶっています」
- また10日。「もうすぐです。ほかのニワトリが鳴いても、もう動じません。見ると、まるで木でつくったニワトリのようです。その力はととのいました。ほかのニワトリは、むかってこようとせず、にげだすばかりでしょう」

プレ男いばったり、にらみつけたりするうちは、まだまだなんだ。本当に強い人は、おちついているんだね。
4. 梁鴦の飼育のこつ
- 周の宣王の牧場の役人に、梁鴦という人がいました。野の鳥やけものを庭でかい、トラやオオカミ、ワシのたぐいまで、なつかないものはありませんでした。ちがう動物どうしがいっしょにくらしても、かみつきあいませんでした
- 王は、そのわざが梁鴦だけで終わるのをおしんで、ほかの人に伝えさせようとしました。梁鴦は、トラの飼いかたを話しました
- 「したがえばよろこび、さからえばおこる。それが血のかよう生きものの性質です。トラに食べものをやるときは、生きたままのものはあたえません。殺すときのいかりをおこさせるからです。まるごとのものもあたえません。ひきさくときのいかりをおこさせるからです。おなかのすきぐあいを見はからい、いかりの心を知るのです」
- 「わたしは、トラをさからわせておこらせることもしませんが、したがわせてよろこばせすぎることもしません」

『列子』黄帝篇では、闘鶏が「まるで木でつくったニワトリのよう」におちつくと、ほかのニワトリはむかってこようとせず、にげだすばかりになった、と語られています。
まとめ
- 「朝三暮四」:朝3つ夕方4つではおこったサルが、朝4つ夕方3つでよろこんだ。数は同じなのに、言いかたで気分がかわった
- カモメとあそぶ若者は、つかまえようという心をもったとたん、カモメに近よってもらえなくなった
- 40日かけて「木でつくったニワトリ」のようにおちついた闘鶏は、ほかのニワトリをにげださせた
- 飼育係梁鴦は、動物をおこらせず、よろこばせすぎないことで、トラもなつかせた
- 同じ黄帝篇の黄帝と華胥の国の夢、『列子』の夢とうつつと紀昌と造父もどうぞ
参考文献
- 『列子』卷第二 黄帝篇(狙公の条、海上の人の条、紀渻子の条、梁鴦の条). ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/列子/黃帝篇 (閲覧日:2026年10月12日)
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