
プレ男毎晩、王さまになる夢が見られたら、昼間がんばれそう!

メル美ほんとうにそう言った人が『列子』に出てくるの。夢と現実、どっちがほんとう?って考えさせられるお話がならんでいるんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は中国の『列子』の夢とうつつです。思想書『列子』の周穆王篇の原文(ウィキソース)を読みました。同じ『列子』の夢の話は黄帝と華胥の国の夢、名人の話は歌と琴の名人たちと偃師のからくり人形へ。
プロフィール
| 話 | あらすじ |
|---|---|
| 尹氏と老いた召使い | 昼は召使い・夜は王になる夢を見る老人と、昼は大金持ち・夜は召使いになる夢を見る主人 |
| かくしたシカ | シカをかくした場所を夢だと思った木こり。その話を聞いてシカをもちさった人。だれのシカ? |
| 3つの国 | 夢を本当と考える古莽の国、起きているときを本当と考える中央の国、ねむらない阜落の国 |
1. 王になる夢を見る召使い
- 周の国の尹氏は、大きな財産をきずき、その下ではたらく者たちは、朝はやくから夜おそくまで休むひまもありませんでした
- 力もつきた老いた召使いがいて、ますますこきつかわれていました。昼はうめきながらはたらき、夜はつかれはてて、ぐっすりねむりました
- すると老人は、毎晩、国の王になる夢を見ました。人々の上に立ち、国のまつりごとをおさめ、宮殿であそび、思いのままにたのしみました。けれども目がさめると、またはたらくのです
- なぐさめる人に、老人は言いました。「人生100年、昼と夜は半分ずつ。わたしは昼は召使いで、苦しいといえば苦しい。けれども夜は王さまで、そのたのしさはくらべるものがない。何をうらむことがあろう」
2. 召使いになる夢を見る主人
- いっぽう、主人の尹氏は、世の中のことに心をくだき、家の仕事を気にかけて、からだも心もつかれ、夜はつかれはててねむりました
- すると尹氏は、毎晩、召使いになる夢を見ました。走りまわってはたらき、しかられどおしで、ねむりながらうめき声をあげ、朝まで休まりませんでした
- なやんだ尹氏が友だちに相談すると、友だちは言いました。「あなたは、身分もじゅうぶん、財産もありあまり、人よりずっとめぐまれている。夜に召使いになる夢を見るのは、苦しみと楽しみがくりかえす、あたりまえのことだ。起きているときも夢でも、両方いいことばかりをのぞむのは、むりではないか」
- 尹氏は、召使いたちの仕事をへらし、自分の思いわずらうこともへらしました。すると、2人のなやみは少しかるくなりました

メル美主人が仕事をへらしてあげたら、自分も楽になった…。がんばりすぎないのが、みんなのためなんだね。
3. かくしたシカ
- 鄭の国の木こりが野で、おどろいてとびだしたシカをしとめました。人に見られるのをおそれて、からぼりの中にかくし、バショウの葉でおおって、たいそうよろこびました
- ところが、すぐに、かくした場所をわすれてしまいました。木こりは「あれは夢だったのだ」と思い、道を歩きながら、そのことを歌にして口ずさみました
- それを聞いた人が、そのとおりにさがして、シカをもちかえりました。そして妻に「木こりが、シカをとった夢を見たのに、場所がわからないそうだ。わたしが見つけた。あれは本当の夢だったのだ」と言いました
- 妻は言いました。「あなたが、木こりがシカをとる夢を見たのではないの? 木こりなんて、いたのかしら。いま本当にシカがあるなら、あなたの夢が本当だったのよ」。夫は「シカがここにあるのだから、木こりの夢か、わたしの夢か、知る必要があるか」と答えました
4. 裁きと、鄭の君
- 木こりは、その夜、本当に、かくした場所と、それをもちさった人の夢を見ました。朝になって、夢のとおりにさがしあて、2人は、うったえて争いました
- 裁判官は言いました。「あなたは、はじめは本当にシカをえたのに、夢だと思いこんだ。本当に夢でシカを見たのに、本当のことだと言う。……妻は、夢で人のシカを見ただけで、シカをえた人はいないと言う。いま、このシカがここにあるのだから、半分ずつにしなさい」
- この話を聞いた鄭の君は言いました。「ああ。裁判官も、また夢の中で、人のシカをわけているのではないか」

プレ男だれが夢を見ていて、だれが起きているのか、だんだんわからなくなってきた…!
5. 3つの国
- 西のはての南のすみに、古莽の国があります。陰と陽の気がまじわらないので、寒さ暑さの区別がなく、太陽と月の光がささないので、昼と夜の区別もありません。人々は、食べず着ずに、よくねむり、50日に1度目をさまします。そして、夢の中ですることを本当と考え、起きているときに見るものを、まぼろしと考えています
- 世界のまんなかの中央の国では、寒さ暑さ、昼と夜があり、人々は1度起きて1度ねむり、起きているときにすることを本当、夢で見るものをまぼろしと考えています
- 東のはての北のすみの阜落の国は、いつもあたたかく、人々はよく走り、休むことが少なく、いつも起きていて、ねむりません

『列子』周穆王篇では、老いた召使いは「人生100年、昼と夜は半分ずつ。昼は召使いでも、夜は王さまだ。何をうらむことがあろう」と言っています。
まとめ
- 老いた召使いは、昼ははたらきづめでも、毎晩王になる夢を見て、「何をうらむことがあろう」と言った
- 大金持ちの尹氏は、毎晩召使いになる夢を見たが、仕事をへらすと、なやみがかるくなった
- かくしたシカの話では、だれが夢を見て、だれが起きているのか、わからなくなっていく
- 夢を本当と考える古莽の国、起きているときを本当と考える中央の国、ねむらない阜落の国も語られる
- 同じ『列子』の黄帝と華胥の国の夢、歌と琴の名人たち、偃師のからくり人形もどうぞ
参考文献
- 『列子』卷第三 周穆王篇(古莽の国の条、尹氏と老役夫の条、鄭人がシカをかくす条). ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/列子/周穆王篇 (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

