
プレ男古代中国にロボットの話があるって本当?

メル美『列子』に、人間そっくりの人形の話があるんだって。中には、内臓までつくってあったの!
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は中国の『列子』に出てくる偃師(えんし)のからくり人形です。『列子』巻第五・湯問篇の原文(ウィキソース)を読みました。同じ湯問篇の愚公、山を移すもどうぞ。中国神話の全体は中国神話の入門へ。

「穆王の八頭の馬をほった玉」18世紀、中国。玉(軟玉)。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)。美術館の題名による、周の穆王の8頭の馬です。偃師が人形を見せたのは、この穆王でした
プロフィール
| 偃師 | 周の穆王に献上された職人 |
| つくったもの | 歌い踊る、人間そっくりの人形 |
| 材料 | 革・木・膠(にかわ)・漆、白・黒・赤・青の顔料 |
| 見た王 | 周の穆王。西へ旅して崑崙山をこえた帰り道 |
| 王のことば | 「人のわざは、造化と同じはたらきができるのか」 |
1. 「わたしのつくったもの」
- 周の穆王は、西へ旅をして崑崙山をこえ、弇山(えんざん)の手前までいきました。その帰り道、偃師という職人が献上されました
- 王が「おまえは何ができるのか」とたずねると、偃師は「なんでもおためしください。でも、もうつくってあるものがございます。まずご覧ください」と答えました
- 次の日、偃師は、だれかをつれてきました。王が「いっしょに来たのはだれだ」とたずねると、偃師は「わたしのつくった、歌うものでございます」と答えました
2. 本物の人間のよう
- 穆王はおどろいて見つめました。「歩き、うつむき、あおぎ見るさまは、本物の人間そのものだった」
- 職人があごを動かすと、調子にあわせて歌い、手をささげると、節にあわせて舞いました。「千変万化、思うままだった」
- 王はすっかり本物の人だと思いこみ、おきさきたちといっしょに見物しました

メル美王さまが、人形だって気づかないくらいそっくり!
3. 分解してみせる
- ところが、演技が終わるころ、人形は目くばせをして、王のそばの女官たちに合図をしました。王はひどくおこり、すぐに偃師を罰しようとしました
- 偃師はあわてて、その場で人形を分解して見せました。中身はすべて、革・木・膠・漆、白・黒・赤・青の顔料でできていました
- 王がよく調べると、中には肝・胆・心・肺・脾・腎・腸・胃、外には筋や骨、関節、皮膚や毛、歯や髪がそろっていて、どれもつくりものなのに、欠けたものはひとつもありません。組みたてなおすと、また初めのとおりになりました
4. 心をはずすと
- 王はためしに、心をはずしてみると、口がきけなくなりました。肝をはずすと、目が見えなくなり、腎をはずすと、足が歩けなくなりました
- 穆王はようやくよろこび、ため息をついて言いました。「人のわざは、造化(天地が万物を生みだすはたらき)と同じはたらきができるのか」。そして、副え車に人形を乗せて、都へ持ち帰らせました
- 『列子』はさいごに、雲梯をつくった名工公輸班や、空飛ぶ木の鳥をつくった墨子も、この話を聞いて、一生わざのことを口にしなくなった、と書いています

プレ男心をはずすと話せない、肝をはずすと見えない…。古代中国の「体のしくみ」の考え方が出てくるんだね。

『列子』では、人形の心をはずすと口がきけず、肝をはずすと目が見えず、腎をはずすと足が歩けなくなった、と書かれています。
これは物語の中の考え方で、いまの医学の体のしくみの説明ではありません(Claude の補足)
まとめ
- 偃師は、周の穆王に、人間そっくりの歌い踊る人形を見せた職人
- 人形は革・木・膠・漆などでできていて、中には内臓までそろっていた
- 心をはずすと話せず、肝をはずすと見えず、腎をはずすと歩けなかった
- 穆王は「人のわざは造化と同じはたらきができるのか」とおどろいた
- 穆王が会いに行った女神西王母、同じ湯問篇の愚公、山を移すと歌と琴の名人、ギリシャの青銅の巨人タロスもどうぞ
参考文献
- 『列子』卷第五 湯問篇(偃師の条). ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/列子/湯問篇 (閲覧日:2026年10月10日)
- メトロポリタン美術館. Boulder with the eight horses of King Mu, 18th century(02.18.612、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/42007 (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。


