
プレ男神話にロボットみたいな巨人がいるって聞いたんだけど、本当?

メル美「タロス」だね。体が青銅でできた、クレタ島の番人なんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 世界の幻獣、今回は青銅の巨人タロスです。アポロニオス『アルゴナウティカ』第4巻の英訳(R.C.シートン訳)をプロジェクト・グーテンベルクで、アポロドーロス『ビブリオテーケー』(J.G.フレイザー訳、1921年)をPerseusデジタル図書館で読みました。
プロフィール
| 名前 | タロス |
| 体 | 青銅。体じゅうどこも傷つかない |
| 生まれ | アポロニオスでは、トネリコの木から生まれた青銅の種族の、最後の生き残り。アポロドーロスでは「青銅の種族の男」「ヘパイストスがミノス王にあたえた」「牡牛だった」など、いくつかの説 |
| 仕事 | クレタ島の番人。青銅の足で、1日に3回島をまわる |
| 弱点 | くるぶしの腱の下にある、1本の血の色の血管。うすい皮でおおわれている |
| 出典 | アポロニオス『アルゴナウティカ』第4巻/アポロドーロス『ビブリオテーケー』第1巻9章26節 |
岩を投げてくる島の番人
- アポロニオスによると、ゼウス(クロノスの子)は、タロスをエウロペにあたえ、クレタ島の見張りにしました
- 金の羊の毛皮を手に入れて帰る途中のアルゴー船の英雄たちが、クレタ島のディクテの港に船をつなごうとすると、タロスはかたいがけから岩を割りとって投げつけ、上陸させません
- 英雄たちは疲れきっていましたが、おどろいて船を岸から遠ざけました。このままでは、のどのかわきと苦しみをかかえたまま、クレタ島からはなれるしかありませんでした

プレ男傷つかない体で、岩を投げてくる番人…。どうやって倒すの?
メデイアの「まなざし」
- そこで、魔女メデイアが言います。「全身が青銅でも、命まで永遠でなければ、私ひとりで倒してみせます。岩のとどかないところで船を待たせてください」
- メデイアは、紫の衣で両ほおをおおって甲板に立ち、イアソンが手をとって案内します
- メデイアは、命をくらう死の霊たち(「ハデスの足の速い猟犬」)を、歌で3回、祈りで3回よびだしました。そして、にくしみのこもったまなざしで、タロスの目をまどわせ、おそろしいまぼろしを送ります
- タロスは、船が港に近づかないよう大岩を持ち上げたとき、とがった岩でくるぶしをすりむきます。すると、とけた鉛のように、「イコル」(英訳では ichor)がふき出しました
- タロスは、きこりが半分まで切った大きな松の木のように、しばらくゆらゆらとゆれてから、大きな音をたててたおれました

メル美1本しかない弱点を、まなざしの魔法でねらったんだ!
アポロドーロスの「青銅のくぎ」
- アポロドーロスでは、タロスには首からくるぶしまでのびる1本の血管があり、その端に青銅のくぎが打ちこまれていた、と書かれています
- メデイアがタロスを倒した方法も、話す人によってちがいます
- 薬でタロスをくるわせた
- 「不死にしてあげる」と約束してくぎをぬき、イコルがすべて流れ出て死んだ
- ポイアスが、くるぶしを射て倒した

アポロニオスによると、タロスは全身が青銅で傷つきませんが、くるぶしの腱の下に1本、うすい皮におおわれた血の色の血管がありました。
まとめ
- タロスは、クレタ島を1日に3回まわる青銅の巨人。近づく船に岩を投げた
- アポロニオスでは、トネリコから生まれた青銅の種族の最後の生き残り。アポロドーロスでは、ヘパイストスがミノスにあたえたなどの説も
- 弱点は、くるぶしの下の1本の血管(アポロドーロスでは、端に青銅のくぎ)
- 魔女メデイアが、まなざしの魔法でまどわせ、タロスはくるぶしをすりむいてイコルを流し、たおれた
- アルゴー船の旅の怪物は金の羊毛を守る竜、ラドン、クレタ島の怪物はミノタウロス、巨人はポリュペモスもどうぞ
参考文献
- Apollonius Rhodius. The Argonautica(英訳:R.C. Seaton). Book IV. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/830 (閲覧日:2026年10月5日)
- Apollodorus. The Library(英訳:Sir James George Frazer、1921年). 1.9.26. Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0022:text=Library:book=1:chapter=9:section=26 (閲覧日:2026年10月5日)
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