
プレ男馬の色もまちがえたのに名馬を見ぬいた!? それって、すごいの? だめなの?

メル美『列子』の短いお話なんだって。どれも、ものの見かたについて考えさせられるの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は中国の『列子』説符篇の寓話です。『列子』巻第八 説符篇の原文(ウィキソース)を読みました。同じ『列子』の話は『列子』の動物の話、『列子』の夢とうつつ、空が落ちてこないか心配した人の話は杞の国の人の心配へ。
プロフィール
| 出典 | 『列子』巻第八 説符篇(『列子』の最後の巻) |
| 九方皋 | 伯楽がすすめた、馬を見る名人 |
| 歧路亡羊 | 分かれ道が多くて、にげたヒツジを見うしなった話。楊子(楊朱)のとなりの人のできごと |
| 楊布 | 楊朱の弟。服を着がえて、飼い犬にほえられた |
| 斧をなくした人 | となりの子がどろぼうに見えたが、斧が見つかると、そうは見えなくなった |
| ほかの話 | 玉でつくった楮の葉、邯鄲の正月の鳩、金しか見えなかった斉の人 |
1. 九方皋の馬選び
- 秦の穆公が、馬を見る名人の伯楽に「あなたも年をとった。子や孫に、馬をさがさせられる者はいるか」とたずねました
- 伯楽は答えました。「よい馬なら、形や筋肉や骨で見分けられます。けれども天下の名馬は、あるようでないような、つかみどころのないものです。わたしの子らは、よい馬のことは教えられても、天下の名馬のことは教えられません。いっしょにたきぎや野菜をかついだ九方皋という者がいます。馬を見る目は、わたしにおとりません」
- 九方皋は3か月さがして、「見つけました。沙丘にいます。黄色のメスです」と報告しました。ところが、つれてこさせると、黒いオスでした
- 穆公は不満でした。「色もオスかメスかもわからない者に、馬のよしあしがわかるものか」。伯楽はため息をついて言いました。「そこまでになりましたか。九方皋が見ているのは、天のしくみです。中身をつかんで、うわべはわすれる。見るべきものを見て、見なくてよいものは見ないのです」
- 馬がとどくと、はたして天下の名馬でした

メル美色やオスメスより、走る力そのものを見ていたんだね。見た目にまどわされない、っていうお話なんだ。
2. 歧路亡羊(分かれ道でヒツジを見うしなう)
- 楊子(楊朱)のとなりの人が、ヒツジを1頭にがし、仲間をつれ、楊子の召使いにもたのんで、おいかけました。楊子が「ヒツジ1頭に、なぜそんなに大ぜいで」と言うと、となりの人は「分かれ道が多いのです」と答えました
- もどってきたので「つかまえたか」とたずねると、「にがしました。分かれ道の中に、また分かれ道があって、どこへ行ったかわからないので、もどってきました」
- 楊子は顔色をかえ、しばらくだまりこみ、その日はいちども笑いませんでした
- のちに弟子の心都子は、こう説明しました。「大きな道は、分かれ道が多いためにヒツジを見うしない、学ぶ者は、やりかたが多いために命をうしなう。……もとの同じ一つにかえることでしか、うしなわずにすむ道はない」
3. 楊布の犬
- 楊朱の弟の楊布は、白い服を着て出かけました。雨がふったので、白い服をぬいで黒い服を着て帰ると、飼い犬は楊布だとわからず、むかえてほえかかりました
- おこった楊布が犬をたたこうとすると、楊朱が言いました。「たたくな。おまえだって同じだろう。さっき、おまえの犬が白い姿で出ていって、黒い姿で帰ってきたら、あやしまずにいられるか」

プレ男たしかに、犬が急に別の色になって帰ってきたら、ぼくもびっくりする(笑)。犬は悪くないね。
4. 斧をなくした人
- 斧をなくした人がいて、となりの家の子がぬすんだのではないかと思いました。すると、その子の歩きかたも、顔色も、ことばも、しぐさも、すべてが斧どろぼうに見えました
- ところが、谷をほりかえしたところ、斧が見つかりました。後日、またとなりの子を見ると、しぐさも態度も、まったく斧どろぼうらしく見えませんでした
5. 玉の葉、正月の鳩、金しか見えない人
- 玉の葉:宋の人が、君主のために、玉で楮の葉をつくりました。3年かかってできあがり、本物の葉にまぜると見分けがつきませんでした。それを聞いた列子は言いました。「天地が生きものをつくるのに、3年で葉を1枚しかつくれなかったら、葉のあるものは、ほとんどないだろう」
- 正月の鳩:邯鄲の人々は、正月の朝に、趙簡子に鳩をささげました。簡子は「正月に生きものを放して、めぐみをしめすのだ」とよろこびました。客は言いました。「君主が放したがっていると知って、人々はきそって鳩をつかまえ、たくさん死なせています。生かしたいなら、つかまえるのを禁じたほうがよい」。簡子は「そのとおりだ」と言いました
- 金しか見えない人:斉の人が、朝、市場で金を売る店へ行き、金をつかんでにげました。役人がつかまえて「人がみな見ているのに、なぜ人の金をとった」とたずねると、その人は「金をとるとき、人は見えず、金だけが見えました」と答えました

『列子』説符篇では、斧をなくした人には、となりの子のしぐさがすべてどろぼうに見えましたが、斧が見つかると、少しもそう見えなくなった、と語られています。
まとめ
- 九方皋は、馬の色もオスかメスかもまちがえたが、中身を見て天下の名馬を見ぬいた
- 「歧路亡羊」:分かれ道が多くてヒツジを見うしなった話から、学ぶ道もやりかたが多いとまよう、と説かれた
- 楊布は服を着がえて飼い犬にほえられ、楊朱に「おまえも同じだろう」とさとされた
- 斧をなくした人には、となりの子がどろぼうに見えたが、斧が見つかると、そうは見えなくなった
- 同じ『列子』の『列子』の動物の話、『列子』の夢とうつつ、杞の国の人の心配もどうぞ
参考文献
- 『列子』卷第八 說符篇(宋人が玉で楮葉をつくる条、伯楽と九方皋の条、楊子の隣人が羊をうしなう条、楊布の条、邯鄲の民が鳩を献じる条、斧をうしなう条、斉人が金をほしがる条). ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/列子/說符篇 (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
