
プレ男神さまと人間がそっくりの姿でならんでいたら、見わけられる?

メル美インドの王女ダマヤンティーは見わけたんだって。神さまは汗をかかないし、まばたきもしないから!
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はインド神話のナラとダマヤンティーです。『マハーバーラタ』森の巻(ヴァナ・パルヴァ)の「ナローパーキヤーナ(ナラの物語)」を、K.M.ガングリの英訳(Project Gutenberg)で読みました。森でくらすユディシュティラ王に、聖仙ブリハダシュヴァが語る話です。インド神話の全体はインド神話の入門へ。

「ナラとダマヤンティー」(カルカッタ・アート・スタジオの刷り)1878〜82年、インド・コルカタ。石版画に手彩色。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)。森でねむるダマヤンティーと、そのそばのナラがえがかれています
プロフィール
| ナラ | ダマヤンティー | |
|---|---|---|
| 立場 | ニシャダ国の王。ヴィーラセーナの子 | ヴィダルバ国の王ビーマの娘 |
| 評判 | 人間でならぶ者のない美しさ | 神々の心まで明るくする美しさ |
| とりもった者 | 金の翼の白鳥 | 同じ |
| 試練 | さいころ賭博で国をうしなう | 森でナラとわかれ、ナラをさがしつづける |
1. 金の翼の白鳥
- ナラとダマヤンティーは、会ったこともないのに、使者たちがたがいのすばらしさを語るのを聞くうちに、「見ないうちから」思いをよせるようになりました
- ある日ナラは、宮殿の庭で金の翼の白鳥をつかまえました。白鳥は言いました。「わたしを殺さないで。かわりに、ダマヤンティーに、あなたのことを話しましょう。彼女がほかのだれも夫にのぞまないように」
- ナラが白鳥をはなすと、白鳥たちはヴィダルバ国へ飛び、ダマヤンティーをひとりきりの場所にさそって、人間の言葉で語りました。「ニシャダ国にナラという王がいます。人の中にならぶ者はいません。あなたも女性の中の宝。すぐれた者どうしがむすばれるのは、しあわせなことです」
- ダマヤンティーは答えました。「ナラにも、同じように話してください」

メル美白鳥がキューピッドのかわりなんだね。かわいい!
2. 神々の使い
- やがて、ダマヤンティーの婿えらび(スヴァヤンヴァラ)がひらかれることになり、天の神々インドラ、アグニ、ヴァルナ、ヤマも、ダマヤンティーを妻にしたいと地上へやってきました
- 神々はナラに会うと、「わたしたちの使者になってくれ」とたのみ、ナラは先に「やりましょう」と約束してしまいます。そのあとで、神々の願いが「ダマヤンティーに、神々の中からひとりをえらぶよう伝えること」だとわかりました
- ナラは「自分も同じ目的で来たのです。恋をしている者が、ほかの人のために、どうしてそれを言えましょう」とことわりましたが、「さきに約束したではないか」と言われ、約束をまもってダマヤンティーのもとへ行き、神々の言葉をそのまま伝えました
3. 5人のナラ
- 婿えらびの日、ダマヤンティーが会場に入ると、まったく同じ姿の5人がすわっていました。4人の神々が、ナラの姿をしていたのです
- ダマヤンティーは、神々に手をあわせて祈りました。「白鳥の言葉を聞いたときから、わたしはナラを夫とえらびました。心でも言葉でも、一度もそむいたことはありません。そのまことにかけて、神々よ、ナラを教えてください。神々よ、どうか、もとのお姿に」
- 神々は、その心にうたれて、神のしるしをあらわしました。「神々は、汗にぬれず、まばたきせず、花輪はしおれず、ほこりにもよごれず、地面にふれずに立っていた」
- 「ナラは、影があり、花輪はしおれ、ほこりと汗によごれ、地面に立って、まばたきをしていた」
- ダマヤンティーは、はずかしそうにナラの衣のすそをとり、その首に花輪をかけました。神々も聖仙たちも「すばらしい!」とたたえ、4人の神々は、ふたりにそれぞれおくりものをあたえました

プレ男汗とほこりにまみれているのが、人間のしるしなんだ。なんだか、人間でいいって言われてる気がする!

ガングリ訳では、神々は汗にぬれず、まばたきせず、地面にふれずに立ち、ナラは影があり、ほこりと汗によごれ、まばたきをしていました。
4. 森でのわかれと再会
- 結婚ののち、悪いものカリにとりつかれたナラは、兄弟プシュカラとのさいころ賭博で国も財産もうしない、ダマヤンティーとともに森へ出ました
- ダマヤンティーはのちにこう語ります。「何日もねむらずについていきましたが、とうとうわたしがねむっているあいだに、あの人は、わたしの衣を半分切りとって、わたしをおいていってしまいました」(上の図版は、この森の場面です)
- ダマヤンティーは、それでもナラをさがしつづけ、長いさすらいのすえに、ふたりはついに再会します。ナラは「国をうしなったのも、あなたをおいていったのも、カリのせいだった」と語り、ふたりはだきあって泣きました
- ナラは、さいころのわざを身につけて、ふたたびプシュカラと勝負し、国をとりもどしました
まとめ
- ナラとダマヤンティーは、金の翼の白鳥にとりもたれて、会う前から思いあった
- ナラは、恋がたきの神々の使者となる約束をまもった
- 婿えらびでは、ナラと同じ姿の4人の神の中から、汗・まばたき・影・足もとで本物のナラを見わけた
- さいころ賭博で国をうしなったナラは、森でダマヤンティーとわかれたが、やがて再会し、国をとりもどした
- 同じ森の巻の物語サーヴィトリー、婿えらびに来た神アグニ、インド神話の入門もどうぞ
参考文献
- Kisari Mohan Ganguli(英訳). The Mahabharata of Krishna-Dwaipayana Vyasa, Volume 1. Vana Parva, Nalopakhyana Parva, Sections LIII–LVII, LIX, LXV, LXXVI–LXXVII(ガングリ訳での章番号). Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/15474 (閲覧日:2026年10月10日)
- メトロポリタン美術館. Nala and Damayanti, Calcutta, 1878–82(2021.210、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/849511 (閲覧日:2026年10月10日)
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