
プレ男『古事記』って、神さまの話だけじゃなくて、歌もたくさんのっているの?

メル美そうなの。仁徳天皇の段は、歌でつづる物語みたいなんだって。気持ちを歌でつたえあうのが、すてきなの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は日本の『古事記』の仁徳天皇の歌物語です。『古事記』下つ巻の仁徳天皇の段(武田祐吉訳、青空文庫)の「吉備の黒日売」「皇后石の姫の命」「雁の卵」を読みました。同じ仁徳天皇の段の話は民のかまどと枯野へ。
プロフィール
| 話 | あらすじ |
|---|---|
| 吉備の黒日売 | 吉備の海部の直のむすめ黒日売。故郷へ帰り、天皇が吉備までたずねた |
| 皇后石の姫の命 | 紀伊へ柏の葉をとりに行った皇后。天皇のことを聞いて、柏の葉を海にすてた |
| 雁の卵 | 姫島で雁が卵をうんだ。天皇とタケシウチの宿禰が歌でかわした |
| 歌の名 | 雁の卵の歌は「寿歌の片歌」とよばれる |
1. 吉備へ帰る舟
- 天皇は、吉備の海部の直のむすめ黒日売(本文では黒姫)が美しいと聞いて、宮中にむかえました。けれども黒日売は、皇后をおそれて、ふるさとへ帰っていきました
- 天皇は高殿から、黒日売の船出を見おくって歌いました。「沖のほうには小舟がつづいている。あれは、いとしいあの子が国へ帰るのだ」
- 皇后はこの歌を聞いてたいそうおこり、船出の場所へ人をやって、黒日売を船からおろし、歩いて帰らせました
2. 青菜をつむ
- 天皇は黒日売をしたって、「淡路島を見に行く」と言って出かけ、島から吉備の国へわたりました
- 黒日売は、天皇を山の畑へ案内し、食事をさしあげました。あつものにする青菜をつんでいると、天皇がやってきて歌いました。「山の畑にまいた青菜も、吉備の人といっしょにつむと、楽しいことだな」
- 天皇が都へ帰るとき、黒日売は歌をささげました。「大和のほうへ西風がふきあげて、雲がはなれるように、はなれていても、わすれはいたしません」

メル美「はなれていても、わすれません」…。会えなくなっても、気持ちは歌にのせて伝えたんだね。
3. 柏の葉と皇后
- あるとき、皇后石の姫の命は、宴のために、柏の葉をとりに紀伊の国へ出かけました
- そのあいだに天皇がヤタの若郎女と結婚したことを、帰り道で知った皇后は、たいそううらみ、おこって、船につんだ柏の葉をすべて海になげすてました。それでそこを「御津の埼」というのだ、と『古事記』は語ります
- 皇后は宮へもどらず、船を山城へとさかのぼらせ、歌をよみました。「山また山の山城川をさかのぼれば、川のほとりにサシブの木、その下に、葉の広いツバキの大木。そのツバキの花のようにかがやき、その葉のように広らかにおいでになる、わが陛下です」
4. 雁の卵
- またあるとき、天皇が宴のために姫島へ行くと、その島で雁が卵をうみました
- 天皇は、タケシウチの宿禰をよんで、歌でたずねました。「わが大臣よ、あなたは世にもまれな長生きの人だ。この日本の国で、雁が子をうんだのを聞いたことがあるか」
- タケシウチの宿禰は歌で答えました。「高く光りかがやく日の御子さま、よくぞおたずねくださいました。わたくしこそ、この世の長生きの人間ですが、この日本の国で、雁が子をうんだとは、まだ聞いておりません」
- そして、琴をいただいて歌いつづけました。「陛下がはじめてお聞きになるために、雁は子をうむのでございましょう」。武田祐吉訳では、これは「寿歌の片歌」とよばれています

プレ男「陛下のために、雁は卵をうんだのでしょう」って、さすが長生きの大臣、ほめかたがうまい!

武田祐吉訳の『古事記』では、吉備をたずねた仁徳天皇は「山の畑にまいた青菜も、吉備の人といっしょにつむと、楽しいことだな」と歌っています。
まとめ
- 吉備へ帰る黒日売の小舟を、仁徳天皇は高殿から見おくって歌った
- 天皇は吉備までたずね、「青菜も吉備の人とつむと楽しい」と歌い、黒日売は「はなれていても、わすれません」と返した
- 皇后石の姫の命は、天皇のことを聞いて柏の葉を海にすて、山城へさかのぼって歌をよんだ
- 姫島で雁が卵をうむと、天皇とタケシウチの宿禰は歌をかわし、宿禰は「陛下のために雁は子をうむのでしょう」と祝った
- 同じ仁徳天皇の段の民のかまどと枯野、『日本書紀』の仁徳天皇の鳥と氷もどうぞ
参考文献
- 武田祐吉訳『古事記』(下つ巻 仁徳天皇「吉備の黒日売」「皇后石の姫の命」「雁の卵」). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001518/card51732.html (閲覧日:2026年10月12日)
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