
プレ男魔王の息子が、魔王の敵の神さまをたたえたの? お父さんは、おこったでしょ…。

メル美すごくおこったんだって。でも少年は、さいごに神さまに「お父さんをゆるして」ってねがうの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はインド神話のプラフラーダです。『ヴィシュヌ・プラーナ』第1部第17〜20章(M.N.ダット英訳、1896年、プロジェクト・グーテンベルク)を読みました。この話は、聖仙パラーシャラが弟子マイトレーヤに語る形で書かれています。ヴィシュヌについてはヴィシュヌへ。プラフラーダの孫バリが出てくる話はヴァーマナへ。
プロフィール
| プラフラーダ | ダイティヤ(魔族)の王ヒラニヤカシプの子 |
| ヒラニヤカシプ | ディティの子。ブラフマーの恩恵をほこり、三界をしたがえ、インドラたち神々の役目までうばった |
| 少年の信念 | 「ヴィシュヌは、世界の教え手で、わたしたちの心の中にいる」 |
| 少年をおそったもの | 武器、毒ヘビ、方角をまもる象の牙、炎、毒、高い宮殿、海 |
| ヴィシュヌへの願い | 「わたしをくるしめた父の罪を、ゆるしてください」 |
| その後 | 父がヴィシュヌ(人獅子の姿)にたおされたあと、ダイティヤの王になった |
1. 少年の答え
- ヒラニヤカシプは、ブラフマーからさずかった力をほこり、三界をしたがえました。神々はおそれて、人の姿で地上をさまようほどでした
- その子プラフラーダは、まだ少年で、師の家で学んでいました。ある日、父が「学んだことを言ってごらん」と言うと、少年は答えました。「はじめも中ほども終わりもなく、ふえもへりもしない、世界の主に、わたしは礼をします」
- 父はおこって師をせめましたが、師は「わたしが教えたのではありません」と言いました。少年は言いました。「ヴィシュヌこそ、世界の教え手で、わたしたちの心の中にいるのです。ほかのだれが教えられましょう」
2. きずつかない少年
- ヒラニヤカシプは、少年をなきものにしようとしました。けれども、どんな手をつかっても、少年をきずつけることはできませんでした
- たくさんのダイティヤが武器でおそっても、少年は少しもいたみを感じず、力はかえってあらたになりました
- 毒ヘビにかませても、ヘビたちは言いました。「牙はおれ、頭のかざりはくだけ、わたしたちの心はふるえています。けれども、この子のはだは無事です」
- 方角をまもる大きな象たちの牙も、少年の胸にあたってにぶってしまいました。まわりに火をつけても、少年は言いました。「風にあおられても、この火はわたしをやきません。まわりは涼しく、ハスの花のしとねのようです」
- そのあとも、毒、高い宮殿からつきおとすこと、海にしずめることがこころみられましたが、少年はヴィシュヌを思いつづけ、無事でした

メル美こわい目にあっても、ずっと心はしずかなまま…。すごく強い心の持ち主なんだね。
3. 友だちに語る
- 師の家にもどされたプラフラーダは、ひまを見つけては、ダーナヴァの子どもたちに語りました
- 「生きものはみな、生まれ、子どもになり、若者になり、やがておとろえて死ぬ。わたしもあなたたちも、それを見てきた」——少年は、すべての生きものの中にヴィシュヌがいることを、友だちに説きました
4. 父のためのねがい
- 海の中で、心をすべてヴィシュヌにむけて、たたえの歌をうたっていると、黄色い衣をまとったヴィシュヌ(ハリ)が、少年の前にあらわれました
- ヴィシュヌは「おまえのゆるがない信心に満足した。のぞむものを言いなさい」と言いました。少年は、まず「何千回生まれかわっても、あなたへの信心がへりませんように」とねがいました
- ヴィシュヌが「もうひとつ、のぞみを言いなさい」と言うと、少年はこうねがいました。「父は、あなたをたたえたために、わたしをくるしめました。武器でおそい、火に投げこみ、ヘビにかませ、食べものに毒を入れ、海にしずめました。主よ、どうか、父がおかしたその罪を、ゆるしてください」
- ヴィシュヌは「そのとおりになるだろう」と答えて、消えました
5. 父と子
- 少年が父のもとへもどって頭をさげると、父は少年のひたいのかおりをかぎ、だきしめて涙をながし、「生きていたのか、わが子よ」と言いました。父は少年にやさしくし、これまでのことを悔やみました
- 『ヴィシュヌ・プラーナ』は、そののち、父が人獅子の姿のヴィシュヌにたおされると、プラフラーダがダイティヤの王になった、と伝えています

プレ男自分をひどい目にあわせたお父さんのために、ゆるしをねがうなんて…。いちばんのねがいが、それなんだね。

ダット訳の『ヴィシュヌ・プラーナ』では、あらわれたヴィシュヌに、プラフラーダは「父がおかした罪を、ゆるしてください」とねがいました。
まとめ
- 魔王ヒラニヤカシプの子プラフラーダは、父の前でも「ヴィシュヌは心の中にいる」と言いつづけた
- 武器、ヘビ、象の牙、炎、毒、海…どんな手でも、少年をきずつけることはできなかった
- あらわれたヴィシュヌに、少年は「わたしをくるしめた父の罪を、ゆるしてください」とねがった
- 父はのちに悔やみ、プラフラーダは、父が人獅子の姿のヴィシュヌにたおされたあと、ダイティヤの王になった
- ヴィシュヌ、プラフラーダの孫バリが出てくるヴァーマナ、同じ『ヴィシュヌ・プラーナ』のドゥルヴァもどうぞ
参考文献
- Manmatha Nath Dutt(英訳). A Prose English Translation of Vishnupuranam(Calcutta, 1896). Part I, Sections XVII–XX. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/66208 (閲覧日:2026年10月12日)
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