
プレ男古代エジプトにも、「人生のアドバイス本」があったの?

メル美あったんだって。えらい役人が、若い王子のために書いたものなの。いまの職場でも使えそうなことばがいっぱい。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は古代エジプトのプタハヘテプとアニの教えです。大英博物館のE.A.ウォリス・バッジ『古代エジプトの文学』(1914年、プロジェクト・グーテンベルク)の第13章「道徳と哲学の文学」を読みました。古代エジプトの人がたいせつにした生きかたは、死者の書の42の告白にもあらわれています。ことばの力をえがいた物語は雄弁な農夫へ。
プロフィール
| プタハヘテプの教え | アニの教え | |
|---|---|---|
| 書いた人 | プタハヘテプ。メンフィスの長官で、王の相談役。第5王朝のアッサ王の時代の人とされる | 「アニ」の名で知られる教え |
| のこっている所 | 大英博物館やパリの国立図書館のパピルス。学校で写した石灰岩のかけらもある | カイロのエジプト博物館のパピルス |
| だれのために | 若い王子のため | プタハヘテプの教えをおぎなうため |
| バッジの説明 | エジプトでいちばん古い教訓の書 | 中王国・新王国の書記たちがつけくわえた教え |
1. 老いのなげきと、王のことば
- プタハヘテプは、まず老いのつらさをなげきます。「目はかすみ、耳は聞こえず、力はおとろえ、きのうのことも思いだせない。……老いは、人にふりかかるいちばんの苦しみだ」
- そして、「だれが、わたしに語ることをゆるしてくれるだろう。むかしの賢者たちの教えを、王子にくりかえし伝えることを」と問います
- 王は答えます。「むかしの知恵のことばで、わが子を教えよ。そうした教えこそが、人の子の心をつくり、正しく判断する力をそだてる」
2. プタハヘテプの教え
バッジが訳した教えから、いくつかを紹介します。
- 「知識があるからといって、えらぶるな。学のない人とも、学のある人とも、話しなさい」
- 「人々をおどすな。神は、人々がやすらかにくらすことをのぞんでいる」
- 「使いとして、ある人のことばを別の人に伝えるときは、言われたとおり、正しく伝えなさい。ことばをゆがめて、人と人をあらそわせてはいけない」
- 「いつも、まめにはたらきなさい。言われた以上のことをしなさい。はたらける時間をむだにしてはいけない」
- 「家では、きびしくしてはいけない。力よりも、話しあいのほうが心を動かす」
- 「会議では、話しすぎず、だまっているほうがよい。話すときは、自分のことばにどんな反論があるか、知っておきなさい」
- 「貧しい身から町のかしらになっても、その立場を自分のためにつかってはいけない。あなたは、神の食べものをあずかる者にすぎないのだから」

メル美「伝言は、言われたとおり正しく伝える」…。いまの仕事でも、ほんとうに大事なことだね。
3. アニの教え ― ことばについて
- 「人のほろびは、その舌にある。自分をきずつけないよう、気をつけなさい」
- 「人の心は、さまざまな答えがつまった穀物倉のようなもの。よい答えをえらんで口にし、悪い答えは、しっかりしまっておきなさい。あらいことばは、武器をふりまわすようなもの。やさしく、しずかに話せば、いつも愛される」
- 「いかっている人には、言いかえすな。その人からはなれなさい。いかって話した人には、やさしく話しかけなさい。やさしいことばは、その人の心の薬になる」
- 「いじわるなことばを言う人は、よいおこないがかえってくるとは思わないことだ」
4. アニの教え ― 人への思いやり
- 「ほかの人が立っているのに、すわったままでいてはいけない。とくに、相手が年よりなら。たとえ自分の身分のほうが上でも」
- 「そばに人が立っているのに、パンを食べてはいけない。手で、その人にもパンをすすめなさい」
- 「墓にねむる父と母に、水をそなえなさい。あなたが親にするように、あなたの子も、あなたにしてくれるだろう」
- 「母は、あなたを生むために大きな荷をせおい、3年のあいだ乳をあたえた。あなたが学校に行くようになると、毎日、パンとビールを先生のもとへとどけてくれた。いま、あなたも妻と家をもった。母があなたを育てたように、子どもを育てなさい。母を苦しめるようなことは、何ひとつしてはいけない」

プレ男お母さんが毎日、先生にお弁当をとどけてくれたって…。ずっとむかしでも、親の苦労は同じなんだね。

バッジの英訳では、アニの教えは「いかって話した人には、やさしく話しかけなさい。やさしいことばは、その人の心の薬になる」と語っています。
まとめ
- プタハヘテプの教えは、メンフィスの長官が王子のために書いたとされる、エジプトでいちばん古い教訓の書
- 「えらぶるな」「人をおどすな」「伝言は正しく」「話しすぎるな」と説いた
- アニの教えは、「人の心は穀物倉。よい答えをえらべ」「やさしいことばは心の薬」と、ことばの大切さを語った
- 年よりをうやまうこと、母への恩をわすれないことも教えた
- 古代エジプトの人の生きかたがわかる死者の書の42の告白、ことばで王をうごかした雄弁な農夫、文字と知恵の神トトもどうぞ
参考文献
- E. A. Wallis Budge. The Literature of the Ancient Egyptians(1914年). Chapter XIII “Moral and Philosophical Literature”(The Precepts of Ptah-hetep; The Maxims of Ani). Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/15932 (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

