
プレ男トトって、くちばしの長い鳥の頭の神さまだよね?

メル美トキっていう鳥なんだって。知恵の神で、いろんな物語でみんなを助けてるみたい。
こんにちは、Dr. Taro です。 神さまの解説、今回はエジプト神話のトトです。大英博物館のE.A.ウォリス・バッジ訳『神々の伝説』(1912年、プロジェクト・グーテンベルク)の英訳を読みました。エジプト神話の全体はエジプト神話の入門へ。

「マアトの羽根をもつトキの姿のトト(はめこみ飾り)」紀元前360〜343年、末期王朝時代(第30王朝)。ファイアンス。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)
プロフィール
| すがた | トキ(アイビス)、ヒヒ、またはトキの頭の人 |
| 立場 | 太陽神ラーの代理。「マアト(真理)の長」 |
| 力 | 呪文と「マア・ケルウ(声の正しい者)」の大いなることば |
| 生まれたもの | ラーの言葉遊びで、トトのトキ、ヒヒ、そして月の神が生まれた |
1. 「わたしの代わりになれ」
セティ1世の墓に書かれた「人類滅亡の伝説」の第4章です。かっこの中の言葉の響きあわせは、バッジの英訳と注によります。
- 人間とくらすのに疲れた太陽神ラーは、「トトをよんできなさい」と言いました
- ラーはトトに言います。「天から、わたしの場所から、はなれていこう。地の下の国(トゥアト)に光を作るのだ。おまえはそこにあるものを書きとめ、そむく悪いおこないをした者をばっしなさい」
- 「おまえは、わたしの場所(アスト)にいなさい(アスティ)。だから、トトよ、おまえは『ラーのアスティ(代理)』とよばれる」
- ラーは、言葉の響きにかけて、トトに力をあたえていきます
- 「おまえに送り出す(ハブ)力をあたえよう。それで、トトのトキ(ハビ)が生まれる」
- 「ふたつの天を、おまえの美しさと光でだきしめる(アンフ)力をあたえよう。それで、トトの月の神(アアフ)が生まれる」
- 「ハウ・ネブ(北の海の民)を追いかえす(アナン)力をあたえよう。それで、トトのヒヒ(アナン)が生まれ、わたしの代わりに治めるだろう」

メル美ダジャレみたいに、言葉の音から、トキやヒヒや月が生まれたんだ!
2. 呪文の作法
- 同じ伝説の第5章は、この言葉をとなえる人の作法を書いています。オリーブ油と香油を体にぬり、両手に香をもち、耳のうしろに天然ソーダ、くちびるに香りのよい軟膏、新しい二重の衣に白い革のサンダル、そして舌の上に、緑の顔料で女神マアトの姿を描く
- 「トトがラーのためにこの書をとなえるときは、3日間、7度の清めをしなければならない」
3. 毒にたおれたホルスを助ける
紀元前4世紀のメッテルニヒ石碑の話です(くわしくはイシス)。
- 子どものホルスがサソリにさされ、母イシスのさけびで太陽の舟が止まると、舟からトトがおりてきました
- トトは「マア・ケルウ(声の正しい者)」の大いなることばをもっています。バッジの注によると、神や人が「声の正しい者」と宣言されると、その力にかぎりはなくなり、命じたことがすぐそのとおりになったといいます
- トトは言いました。「イシスよ、何があったのか。ホルスにわるいことはおこらない。ラーの舟がホルスを守っているのだから。わたしは、イシスのためにホルスをなおし、刃物の下にある(苦しむ)すべての者をなおすために、きょう、円盤の聖なる舟でやってきた」
4. エドフの伝説での名づけ
エドフの神殿の伝説でも、トトはたびたび登場します(くわしくはホルス)。
- ホルスが翼のある円盤になって敵をうつと、トトは「ホルスが大きな翼のある円盤の姿であらわれたのだから、ヘル・ベフデト(エドフのホルス)とよぼう」と言いました
- 汚い言葉でホルスをののしったセトには、トトは「ネハハ・ヘル(くさい顔)」とあだ名をつけ、その名はずっと残りました

プレ男名前をつけたり、あだ名をつけたり。トトって、ことばの神さまなんだね。

「人類滅亡の伝説」で、ラーはトトに「わたしの場所にいなさい。おまえはラーの代理とよばれる」と言っています。
まとめ
- トトは、トキの姿で表される知恵の神
- 年をとったラーに「わたしの代わりになれ」と言われ、ラーの代理になった。言葉の響きから、トトのトキ・ヒヒ・月の神が生まれた
- 呪文をとなえるときは、舌の上にマアトの姿を描くなどの作法があった
- 毒にたおれた子どものホルスを、「声の正しい者」の力で助けた
- エドフの伝説で、ホルスを「エドフのホルス」と名づけ、セトを「くさい顔」とよんだ
- ラー、ホルス、イシス、死者の審判でトトとならぶアヌビス、ききんの王がトトの神殿で答えをさがそうとしたクヌムの記事もどうぞ
参考文献
- E.A. Wallis Budge. Legends of the Gods: The Egyptian Texts, edited with Translations(1912年). The Legend of the Destruction of Mankind, Chapters IV–V; The Legend of the Death and Resurrection of Horus, and Other Magical Texts; The Legend of Heru-Behutet and the Winged Disk. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/9411 (閲覧日:2026年10月10日)
- メトロポリタン美術館. Inlay depicting Thoth as the ibis with a Maat feather, Late Period, Dynasty 30, 360–343 BCE(26.7.992、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/544093 (閲覧日:2026年10月10日)
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