
プレ男王さまを「小さなカラス」よばわり!? おこられなかったの?

メル美それが、王さまは笑って、そのあだ名をもらったんだって。しかも金の腕輪までプレゼントしたの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は北欧の伝説の王ロルフ・クラキです。ラスマス・B・アンダーソン英訳『新エッダ(スノッリのエッダ、散文のエッダ)』(プロジェクト・グーテンベルク)の「詩のことば」の章から「ロルフ・クラキ」を読みました。この章は、詩で金を「クラキの種」とよぶわけを説明するものです。金を「フロジの粉」とよぶわけはグロッティの石臼へ。
プロフィール
| ロルフ・クラキ | デンマークの王。都はフレイズラ。むかしの王の中でいちばん名高く、おだやかで勇敢で、へりくだった人 |
| クラキ | あだ名。英訳では「小さなカラス(little crow)」 |
| ヴォグ | 王にあだ名をつけた、まずしい若者 |
| アジルス | ウプサラの王。ロルフの母ユルサの夫 |
| 12人のベルセルク | ロルフの戦士たち。ボズヴァル・ビャルキ、勇者ヒャルティなど |
| 金のよび名 | 「クラキの種」「フュリスの野の種」 |
1. 小さなカラス
- まずしい若者ヴォグが、まだ若くてほっそりしていたロルフ王の広間に来て、王の顔をじっと見あげました
- 王が「なぜ、そんなにわたしを見るのか」とたずねると、ヴォグは言いました。「故郷では、フレイズラのロルフ王は北の国でいちばんえらい人だと聞いていました。けれども、王座にすわっているのは小さなカラス(クラキ)で、それを王とよんでいるのですね」
- 王は答えました。「おまえは、わたしに名をつけてくれた。これからは、ロルフ・クラキとよばれよう。けれども、名をつけたら、おくりものをするのがならわしだ。おまえには、わたしにあうおくりものがないから、もっている者があげよう」
- 王は、手から金の腕輪をはずして、ヴォグにあたえました。ヴォグは「あなたは、だれよりもすぐれた王のようにあたえてくださった」とよろこび、王は「小さなことで、ヴォグはよろこぶ」と笑いました

メル美からかわれても、おこらずにあだ名をもらって、おくりものまで。器が大きい王さまだね。
2. ウプサラへの旅
- ウプサラの王アジルスは、ロルフの母ユルサの夫でした。アジルスはノルウェーの王との戦いで助けをもとめ、ほうびと、ロルフがえらぶ3つの宝を約束しました
- ロルフは、ほかの戦いでいそがしかったので、12人のベルセルクを送りました。ところが、戦いのあと、アジルスは約束のほうびも宝もわたしませんでした
- ロルフは12人のベルセルクとともにウプサラへむかいました。母ユルサがロルフたちをむかえ、大きな火をたいてビールを出しましたが、アジルスの家来たちは、さらにたきぎをくべて、火を大きくし、「ロルフ・クラキとベルセルクたちは、火にも鋼にもにげないというのは本当か」と言いました
- ロルフは盾を火になげいれ、もえる火の上をとびこえて言いました。「火をとびこえる者は、火からにげはしない」。家来たちもつぎつぎに、火をとびこえました
3. フュリスの野の金
- 母ユルサは、金がいっぱいつまったシカの角と、名高い腕輪スヴィアグリスをロルフにわたし、すぐに軍のもとへ帰るように言いました
- ロルフたちがフュリスの野を馬でかけていくと、アジルスが全軍をひきいて追ってきました
- ロルフは、右手で角から金をつかみ、道いっぱいにまきちらしました。スウェーデンの兵たちはそれを見ると、鞍からとびおりて、めいめいできるだけ金をひろいました
- いちばん速い馬に乗ったアジルスがせまってくると、ロルフは腕輪スヴィアグリスを「おくりものだ」となげました。アジルスは槍の先で腕輪をひろいあげ、そのあいだに、ロルフは遠くへのがれました

プレ男金をまいて追っ手をふりきる! 気前がよくて、頭もいい王さまだ。
4. クラキの種
- こうして、詩では、金のことを「クラキの種」とも「フュリスの野の種」ともよぶのだ、と『エッダ』は説明しています
- 『エッダ』のこの章は、詩で金をよぶ名前のいわれを、物語で説明しているのです

アンダーソン訳の『新エッダ』では、ロルフ・クラキがフュリスの野に金をまきちらして追っ手をのがれたことから、金は「クラキの種」「フュリスの野の種」とよばれる、と説明されています。
まとめ
- ロルフ・クラキは、デンマークの名高い王で、おだやかで勇敢で、へりくだった人だった
- まずしい若者に「小さなカラス(クラキ)」とよばれると、笑ってその名をうけいれ、金の腕輪をあたえた
- ウプサラでは、もえる火をとびこえて勇気をしめした
- 追ってくる軍勢に金をまきちらしてフュリスの野をのがれ、金は「クラキの種」とよばれるようになった
- 金を「フロジの粉」とよぶわけのグロッティの石臼 、北欧の神々の王オーディン、北欧神話の入門もどうぞ
参考文献
- Rasmus B. Anderson(英訳). The Younger Edda; Also called Snorre’s Edda, or The Prose Edda. Extracts from the Poetical Diction “Rolf Krake”. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/18947 (閲覧日:2026年10月12日)
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