
プレ男神さまの使いが、犬!? インドの神話には、かっこいい犬がいるんだね。

メル美インドラの猟犬サラマーなんだって。盗まれた牛をさがして、悪者たちと口げんかするの。どんなにさそわれても、ぜんぜんゆずらないのがかっこいい!
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はインド神話のサラマーとパニたちです。インドの最古の聖典『リグ・ヴェーダ』第10巻108番の歌(ラルフ・T・H・グリフィス英訳、訳注を含む、インターネット・アーカイブ)を読みました。サラマーをつかわした神はインドラへ。サラマーの子の2匹の犬が出てくる話はヤマへ。
プロフィール
| サラマー | インドラの猟犬で、神々(またはインドラ)の使い |
| パニたち | グリフィスの注によると、牛を盗んでいった、ねたみぶかい悪霊 |
| 盗まれたもの | 牛。グリフィスの注では「牛、または光」 |
| かくし場所 | 岩でかためた宝の部屋 |
| ラサー | とおい川。注によると、大気と大地をめぐって流れる神話の川 |
| 歌のかたち | パニたちとサラマーが、かわるがわる語る問答の歌 |
1. ラサーの川をこえて
- 歌は、パニたちのことばではじまります。「サラマーは、何をのぞんでここへ来たのか。道は、はるか遠くまでつづいている。何の用か。どこへ行くのか。どうやってラサーの水をわたってきたのか」
- サラマーは答えます。「わたしは、インドラにつかわされた使い。パニたちよ、おまえたちのたくわえた富をさがしに来た。インドラの守りがあったので、わたるおそれもなく、ラサーの水をこえてきた」
2. 「インドラとは、どんな者か」
- パニたちはたずねます。「おまえを遠くからつかわしたインドラとは、どんな者か。どんな姿をしているのか。来させてみよ。わたしたちは友となり、わたしたちの牛の番人にしてやろう」
- サラマーは言いました。「あの方が、きずつけられることはありません。わたしをつかわしたあの方は、罰をあたえることができる。深い川も、あの方をかくせはしない。パニたちよ、インドラにうたれて、たおれることになるでしょう」

メル美「インドラを牛の番人にしてやろう」なんて、えらそうなパニたち。サラマーは一歩もひかないね。
3. 岩の宝の部屋
- パニたちは言います。「サラマーよ、おまえがさがしているのは、天のはてまでにげていくこの牛たちだ。たたかわずに、だれがおまえのために牛をはなすものか。わたしたちの武器はするどいぞ」
- 「この宝の部屋は、岩でかためてある。宝、牛、馬でいっぱいだ。見はりのパニたちがまもっている。こんなさびしいところまで来ても、むだだったな」
- サラマーは言いかえします。「ソーマで力をえた聖仙たち、つかれを知らないアンギラスたちが来るでしょう。この牛小屋をわけあうでしょう。そのとき、パニたちは、言ったことを後悔するでしょう」
4. 「妹になれ」
- パニたちは、さそいます。「サラマーよ、おまえは、天の力におされて、ここまで来させられたのだ。帰らないでくれ。おまえを、わたしたちの妹にしよう。さいわいな者よ、牛をわけてやろう」
- サラマーは、きっぱりことわりました。「兄弟も、姉妹も、わたしは知りません。おそろしいアンギラスたちと、インドラが知っています。わたしが出てくるとき、かれらは牛をもとめていました。パニたちよ、ここから遠くへ去れ」
- そしてさいごに言います。「パニたちよ、遠くへ去れ。牛たちを、聖なるおきてのとおり、鳴きながら外へ出させよ。ブリハスパティとソーマ、聖仙や賢者たち、ソーマをしぼる石が見つけた、かくされた牛たちを」

プレ男牛をわけてもらえるって言われても、「きょうだいなど知らない」…。使いの役目をきっちり守ったんだね。

グリフィス訳の『リグ・ヴェーダ』では、牛をわけるから妹になれとさそうパニたちに、サラマーは「兄弟も、姉妹も、わたしは知りません。パニたちよ、ここから遠くへ去れ」と答えています。
まとめ
- サラマーは、インドラの猟犬で、神々の使い
- 牛を盗んで岩の宝の部屋にかくしたパニたちのもとへ、ラサーの川をこえてやってきた
- パニたちは、インドラをあなどり、武器でおどし、さいごは「妹になれ、牛をわけてやろう」とさそった
- サラマーは「きょうだいなど知らない。遠くへ去れ」とことわり、牛を外へ出せと命じた
- サラマーをつかわしたインドラ、サラマーの子の犬が出てくるヤマ、同じ『リグ・ヴェーダ』の暁の女神ウシャスもどうぞ
参考文献
- Griffith, Ralph T.H.(英訳). The Hymns of the Rigveda, Vol. II. Book X, Hymn CVIII(訳注を含む). Internet Archive. https://archive.org/details/in.gov.ignca.16312 (閲覧日:2026年10月12日)
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