
プレ男大火事の中に、羽のないひなが4羽…。どうやって助かったの?

メル美ひなたちが、火の神さまにうたをささげたんだって。しかも、お母さんを先ににがしてあげたの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はインド神話のカーンダヴァの森の4羽のひなです。『マハーバーラタ』第1巻アーディ・パルヴァの「カーンダヴァの森の火事の巻」第231〜235章(K.M.ガングリ英訳、プロジェクト・グーテンベルク)を読みました。この巻では、火の神アグニが、カーンダヴァの森をやきつくします。火の神についてはアグニへ。
プロフィール
| シャールンガカ | 鳥の名(英訳では Sarngaka)。大火事の中で、この鳥のひなたちだけがやかれなかった |
| 父 | 聖仙マンダパーラ。子をもつために鳥の姿になった |
| 母 | 鳥のジャリター |
| 4羽のひな | ジャリターリ(長男)、サーリスリッカ、スタンバミトラ、ドローナ(末っ子) |
| 火の神 | アグニ。マンダパーラに、ひなをやかないと約束していた |
1. 父の約束
- 聖仙マンダパーラは、きびしい修行をつんで、死後に祖先の世界へ行きましたが、のぞんでいた世界に入れませんでした。神々は「あなたには子がいない。子をもちなさい」と言いました
- マンダパーラは、鳥のシャールンガカの姿になり、ジャリターという鳥とのあいだに、ヴェーダをとなえる4羽の子をもうけました。けれども、ひながまだ卵の中にいるうちに、もうひとりの妻ラピターのもとへ行ってしまいました
- 母ジャリターは、愛情から子をすてられず、ひとりでひなを育てました
- やがてマンダパーラは、火の神アグニがカーンダヴァの森をやきに来るのを見て、子どもたちを心配し、アグニをたたえて言いました。「森をやくとき、わたしの子どもたちを助けてください」。アグニは「そうしよう」と答えました
2. 母とひなの話しあい
- 森に火がもえあがると、まだ羽も足もしっかりしないひなたちは、にげることができません。母ジャリターは泣きました。「どの子をおいて、どの子をつれていけばいいの。わたしの翼でおおって、いっしょに死にましょう」
- ひなたちは言いました。「お母さん、わたしたちへの愛情をすてて、火のないところへ行ってください。わたしたちが死んでも、お母さんがいれば、また子が生まれます」
- 母は「この木のそばの、ネズミの穴に入りなさい。入口を土でふさいであげる」と言いましたが、ひなたちは、穴の中のネズミをおそれました
- ひなたちは言いました。「穴に入れば、死はたしかです。ここにいれば、死はたしかではありません。風も、火を遠くへふきもどしています」

メル美小さなひなたちが、お母さんのことを先に考えるなんて…。胸がいっぱいになるね。
3. アグニへのうた
- 母鳥は、ひなたちにうながされて、火のない安全なところへとびさりました。火がひなたちのそばまでせまってきました
- 長男ジャリターリは言いました。「かしこい者は、死がせまっても目ざめている。だから、死のときにも苦しまない」
- 4羽は、それぞれアグニをたたえるうたをささげました。サーリスリッカはうたいました。「煙をはたじるしとする神よ。母の姿は見えず、父も知りません。羽もまだ生えていません。あなたのほかに、守ってくれる者はいません。どうか、べつの道を通ってください」
- 末っ子ドローナはうたいました。「あなたは太陽の姿になって、地の水をすいあげ、雨としてかえし、すべてを育てる。草も、つる草も、池も、大海も、あなたから生まれた。……どうか、遠くの道を通って、わたしたちを助けてください。大海が、岸の家を守るように」
4. 火はとおりすぎた
- アグニはよろこんで言いました。「ドローナよ、あなたは聖仙だ。あなたの言うことは、ヴェーダの真理だ。おそれることはない。マンダパーラも、子をやかないようにとたのんでいた」
- アグニは、ひなたちのいるところをやかずに通りすぎ、森のほかのところをやいていきました
- 火が去ったあと、母ジャリターがいそいでもどってくると、ひなたちはみなぶじでした。ひなたちは母を見て泣き、母も涙をながして、1羽ずつだきしめました

プレ男お母さんがもどってきたら、みんな無事だった! よかったあ…。
5. もどってきた父
- そこへ、父マンダパーラもやってきて、何度も話しかけましたが、ひなたちも、母ジャリターも、だれも返事をしませんでした
- マンダパーラが「どの子が長男で、どの子が次の子か」とたずねると、ジャリターは「長男も、次の子も、あなたに何の関係があるの。若いラピターのところへお行きなさい」と答えました

ガングリ訳の『マハーバーラタ』では、羽のないひなたちは「お母さん、火のないところへ行ってください」と母鳥をにがし、アグニにうたをささげて、やかれずにすみました。
まとめ
- 火の神アグニがカーンダヴァの森をやいたとき、シャールンガカのひな4羽だけがやかれなかった
- 羽のないひなたちは、母鳥ジャリターに「わたしたちをおいて、にげてください」と言った
- 4羽はアグニをたたえるうたをささげ、末っ子ドローナは「大海が岸の家を守るように、遠くの道を通って」とたのんだ
- アグニは、父マンダパーラとの約束とひなのうたをうけて、ひなたちをやかずに通りすぎた
- 火の神アグニ、神々の王インドラ、同じ第1巻のルルもどうぞ
参考文献
- Kisari Mohan Ganguli(英訳). The Mahabharata of Krishna-Dwaipayana Vyasa, Volume 1. Adi Parva, Khandava-daha Parva, Sections CCXXXI–CCXXXV. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/15474 (閲覧日:2026年10月12日)
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