
プレ男サルタヒコって、鼻の長い天狗みたいな神さまだよね?

メル美『日本書紀』に「鼻が長い」って書いてあるんだって。道案内の神さまなんだよ。
こんにちは、Dr. Taro です。 神さまの解説、今回は日本神話のサルタヒコ(猿田彦)です。『古事記』(武田祐吉訳、青空文庫)と、『日本書紀』巻第二(神代下)の原文(ウィキソース)を読みました。日本神話の全体は日本神話の入門へ。

魚屋北渓「春の岩戸 其二(猿田彦)」1825年。摺物、木版多色摺。クリーブランド美術館所蔵(CC0)
プロフィール
| 名前 | サルタ彦(『古事記』)、猨田彦大神(『日本書紀』) |
| 立場 | 国つ神(地上の神)。天孫ニニギの道案内 |
| すがた(『日本書紀』の一書) | 鼻の長さ七咫、背の高さ七尺あまり(七尋というべきか)。口もとが明るくかがやき、目は八咫鏡のようで、ホオズキのように赤く照る |
| 出会った神 | アメノウズメ |
| 行き先 | 伊勢の狭長田(さなだ)の五十鈴川のほとり |
1. 天と地を照らす神
『古事記』の「天降(あまくだり)」の段です。
- アマテラスの孫ニニギが、天から地上へ降りようとしたとき、道のまんなかに、上は天を照らし、下は葦原の中つ国を照らす神がいました
- アマテラスと高木の神は、アメノウズメに命じます。「あなたは女ではあるが、出会った神に向きあって負けない神だ。だから行って、わが御子の降りる道にいるのはだれか、たずねなさい」
- アメノウズメがたずねると、その神は答えました。「わたくしは国の神で、サルタ彦という者です。天の神の御子がお降りになると聞いて、先導をおつとめしようと、お迎えに来ております」

メル美こわそうな見た目だけど、じつはお迎えに来てくれていたんだね。
2. 『日本書紀』のすがた
『日本書紀』巻第二、第九段の一書(第一)です。
- ニニギが降りようとしたとき、先に行った者がもどってきて報告します。「天の八衢(やちまた、道がいくつにも分かれるところ)に、1柱の神がいます。その鼻の長さは七咫、背の高さは七尺あまり。口もとは明るくかがやき、目は八咫鏡のようで、ホオズキのように赤く照っています」
- 神々を送ってたずねさせても、八十万の神々はみな、その目ににらみ勝てず、たずねることができません。そこで、「人ににらみ勝つ」アメノウズメが行って、向かいあいました
- その神は言いました。「天照大神の御子が降りられると聞いて、お迎えに待っていた。わたしの名は猨田大神(さるたのおおかみ)だ」
- アメノウズメが「あなたが先に行くのか、わたしが先に行くのか」とたずねると、「わたしが先に道をひらく」と答えます。そして「天の神の子は、筑紫の日向の高千穂の峯に着くだろう。わたしは、伊勢の狭長田の五十鈴川のほとりに行く」と言いました

プレ男八十万の神々がにらみ負けるほどの目力! それに勝ったアメノウズメもすごい。
3. 猿女の君のはじまり
- サルタヒコは、アメノウズメに「わたしの名を明かしたのはあなただ。だから、わたしを送りとどけてくれ」とたのみます(『日本書紀』)
- ニニギは、高千穂に降りると、アメノウズメに言いました(『古事記』)。「お仕えしたサルタ彦の大神を、名を明かしたあなたが送りなさい。そして、その神の名をあなたが受けついで、仕えなさい」
- こうして、アメノウズメの子孫の女性たちは、サルタヒコの名を受けついで「猿女(さるめ)の君」とよばれるようになった、と『古事記』は書いています
4. 貝にはさまれた手
『古事記』の「猿女の君」の段です。
- サルタヒコは、アザカにいたとき、漁をしていてヒラブ貝に手をはさまれ、海におぼれてしまいました
- 海の底にしずんでいたときの名を「底につく御魂」、海水につぶつぶと泡が立つときの名を「粒立つ御魂」、水面に出て泡がひらくときの名を「泡咲く御魂」といいます

メル美天と地を照らす神さまが、貝に手をはさまれるなんて…。泡の名前がきれいだね。

『古事記』のサルタヒコは、天から降りるニニギの道で、上は天を照らし、下は葦原の中つ国を照らしながら、先導をつとめようとお迎えに来ていました。
まとめ
- サルタヒコは、天から降りるニニギを道のまんなかで出むかえた国つ神
- 『古事記』では、上は天を、下は地上を照らす神
- 『日本書紀』では、鼻の長さ七咫、目は八咫鏡のようにかがやく神
- アメノウズメに名を明かして道案内をつとめ、伊勢の五十鈴川のほとりへ帰った
- 名を受けついだアメノウズメの子孫が「猿女の君」
- 漁のときヒラブ貝に手をはさまれ、海でおぼれた
- アメノウズメが活躍するアマテラスの岩戸の話、ニニギの妻コノハナサクヤヒメ、日本神話の入門もどうぞ
参考文献
- 『古事記』武田祐吉訳. 上卷「天降」「猿女の君」. 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001518/card51732.html (閲覧日:2026年10月10日)
- 『日本書紀』卷第二(神代下)第九段 一書第一. ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/日本書紀/卷第二 (閲覧日:2026年10月10日)
- クリーブランド美術館. Totoya Hokkei, Sarutahiko from The Cave Door of Spring, 1825(1940.990.2、CC0). https://clevelandart.org/art/1940.990.2 (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。



