
プレ男コノハナサクヤヒメって、名前がきれいだよね。桜の女神さまだっけ?

メル美富士山の神社にまつられているんだって。『古事記』のお話は、けっこうドラマチックだよ。
こんにちは、Dr. Taro です。 神さまの解説、今回は日本神話のコノハナサクヤヒメです。青空文庫の『古事記』(武田祐吉訳)と、富士山本宮浅間大社の公式サイトを読みました。日本神話の全体は日本神話の入門へ。

葛飾北斎「冨嶽三十六景 凱風快晴(赤富士)」1830〜1832年ごろ。木版画。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)。富士山本宮浅間大社は、富士山を御神体とし、コノハナサクヤヒメ(浅間大神)を主祭神としています
プロフィール
| 名前 | 『古事記』では「木の花の咲くや姫」(武田訳)。神社では木花之佐久夜毘売命 |
| 父 | 山の神オオヤマツミ |
| 姉 | 石長姫(いわながひめ) |
| 夫 | アマテラスの孫、ニニギ |
| 子 | ホデリ(海幸彦)、ホスセリ、ホヲリ(山幸彦) |
| まつる神社 | 富士山本宮浅間大社など。全国の浅間神社の神「浅間大神」 |
1. 海辺の出会い
- タケミカヅチが地上の国をしずめたあと、アマテラスの孫ニニギは、サルタヒコの道案内で、天から高千穂の峰におりると、「ここは、海のかなたに向かい、カササの岬に通じて、朝日が照りかがやき、夕日がかがやく国だ。ここはとてもよいところだ」と言って、宮殿を建てました
- ニニギは、そのカササの岬で、美しい乙女に出会います。「どなたの娘ですか」とたずねると、「わたくしは、オオヤマツミの神の娘、木の花の咲くや姫です」と答えました
- 「兄弟はいますか」「姉に石長姫がいます」。ニニギが「あなたと結婚したい」と言うと、姫は「わたくしからは何とも申せません。父のオオヤマツミが申しあげるでしょう」と答えました
2. 石のような命と、花のような命
- オオヤマツミはとてもよろこび、姉の石長姫もいっしょに、たくさんのおくりものをつけて、ニニギのもとに送りました
- ところがニニギは、姉の石長姫を送りかえし、妹の木の花の咲くや姫だけをとどめました。『古事記』は、その理由を姉の見た目のためと書いています
- オオヤマツミは、深くはじて、こう言い送りました
- 「2人をならべてさしあげたのは、石長姫をおそばにおけば、天の神の御子の命は、雪がふっても風がふいても、石のように、いつまでもかたくゆるがない。木の花の咲くや姫をおそばにおけば、木の花がさくように栄える、とちかったからです」
- 「それなのに石長姫を返して、木の花の咲くや姫ひとりをとどめたので、天の神の御子の命は、木の花のようにもろく、はかないでしょう」
- 「こういうわけで、いまにいたるまで、天皇の命は長くないのです」と『古事記』は書いています

メル美見た目で人をえらんだら、大事なものを失ってしまった…。命が限りあるものになったわけを語るお話なんだね。
3. 炎の中のお産
- やがて木の花の咲くや姫は、ニニギのもとに来て言いました。「わたくしは身ごもり、いま子を生むときになりました。天の神の御子ですから、だまって生むわけにはまいりません」
- ところがニニギは、「ひと夜で身ごもったというが、国の神の子ではないか」と疑います
- 姫は答えました。「わたくしの子が国の神の子なら、生むときに無事ではないでしょう。天の神の御子なら、無事でしょう」
- 姫は戸口のない大きな家を作ってその中に入り、粘土ですっかりぬりふさいで、生むときに家に火をつけました
- 火がさかんにもえているときに生まれたのがホデリ、つぎにホスセリ、つぎにホヲリ(またの名をヒコホホデミ)です。ホデリとホヲリは、のちの「海幸彦と山幸彦」(ホヲリの妻はトヨタマヒメ)の兄弟です(くわしくは日本神話の入門)

プレ男疑われて、自分で火をつけて身の潔白を証明するなんて…すごい覚悟だ。
4. 富士山の女神として
富士山本宮浅間大社の公式サイトによると
- 主祭神は木花之佐久夜毘売命(別称:浅間大神)。相殿神として、夫の瓊々杵尊、父の大山祇神がまつられています
- 富士山を御神体とし、「この霊山を御神体として鎮まりますのは、浅間大神・木花之佐久夜毘売命」と説明されています
- 火の中で無事に3人の皇子を生んだ故事にちなみ、家庭円満・安産・子安・水徳の神とされている、とも書かれています
- 「木花という御神名から桜が御神木とされています」。境内には500本もの桜が奉納されています
- 全国の浅間神社の組織(全国浅間神社連合会)の事務局は、富士山本宮浅間大社におかれています

『古事記』によると、石長姫を返したことで、天の神の御子の命は「木の花のようにもろく」なったとオオヤマツミは言い送っています。
まとめ
- コノハナサクヤヒメは、山の神オオヤマツミの娘。天孫ニニギと、カササの岬で出会った
- ニニギが姉の石長姫を返したため、天の神の御子の命は「木の花のようにもろく」なった
- 一夜で身ごもったことを疑われ、戸のない家に火をつけて、炎の中でホデリ・ホスセリ・ホヲリを生んだ
- 富士山本宮浅間大社などでは、富士山の神「浅間大神」としてまつられ、桜が御神木とされる
- 日本神話の全体は日本神話の入門へ。夫ニニギの祖母アマテラス、ツクヨミの記事もどうぞ
参考文献
- 稗田阿礼・太安万侶(武田祐吉訳). 古事記(現代語訳)上巻「六、ニニギの命」(底本:古事記、角川文庫、1956年). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001518/card51732.html (閲覧日:2026年10月10日)
- 富士山本宮浅間大社. 浅間大社について(御祭神・起源). http://fuji-hongu.or.jp/sengen/history/ (閲覧日:2026年10月10日)
- 富士山本宮浅間大社. トップページ(全国浅間神社連合会発会のお知らせ). http://fuji-hongu.or.jp/sengen/ (閲覧日:2026年10月10日)
- メトロポリタン美術館. Katsushika Hokusai, South Wind, Clear Sky (Gaifū kaisei), also known as Red Fuji, ca. 1830–32(JP9、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/36490 (閲覧日:2026年10月10日)
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