
プレ男蚕って、絹の糸をつくる虫だよね。そのはじまりの話があるの?

メル美『捜神記』にあるんだって。娘の軽い冗談から、ふしぎなことがおきるの。ちょっとこわくて、せつないお話。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は中国の『捜神記』の馬と娘と蚕のはじまりです。干宝がまとめた怪異の本『捜神記』第14巻の原文(ウィキソース)を読みました。『捜神記』には「旧説(むかしからの言いつたえ)」として書かれています。同じ『捜神記』の話は董永と天女と捜神記の動物の恩がえしへ。
プロフィール
| 出てくる人 | 遠くへいくさに出た父と、家にのこったひとり娘 |
| 馬 | 娘が自分で世話をしていたオス馬 |
| 娘の冗談 | 「父をむかえてきてくれたら、あなたのお嫁さんになってあげる」 |
| 蚕になった場所 | 大きな木の枝のあいだ |
| 桑の名 | その木は「桑」と名づけられた。「桑(そう)は喪(そう)」と書かれている |
| 『捜神記』の考察 | 天の星や古い書物をひいて、「蚕と馬は同じ気をもつ」と説明している |
1. 娘の冗談
- 大むかし、ある人が遠くへいくさに出て、家にはひとり娘だけがのこりました。家には1頭のオス馬がいて、娘が自分で世話をしていました
- さびしいところにくらす娘は、父が恋しくなり、馬にむかって冗談を言いました。「あなたが、わたしのためにお父さんをむかえてきてくれたら、お嫁さんになってあげる」
- 馬はそのことばを聞くと、手綱をきってかけだし、まっすぐ父のいるところへ行きました
2. 父をつれて帰った馬
- 父は馬を見ておどろき、よろこんで、それに乗りました。ところが、馬は来たほうを見て、悲しそうにいなないてやみません
- 父は「この馬が、わけもなくこんなようすをするはずがない。家に何かあったのではないか」と思い、いそいで乗って帰りました
- 父は、ふつうの動物にはない心をもった馬だと思い、えさをたっぷりあたえましたが、馬は食べようとしません。娘が出入りするのを見るたびに、よろこんだり、おこったりして、あばれました

メル美馬は、本気にしちゃったんだね…。軽い気持ちで約束しちゃいけないって、こういうことなのかな。
3. 馬の皮
- ふしぎに思った父が、こっそり娘にたずねると、娘はすべてを話しました。父は「だれにも言うな。家の名がけがれる」と言い、娘には出歩かないように言いました
- そして父は、弓で馬をうち、その皮を庭にほしました
- 父が出かけたあと、娘はとなりの娘と、皮のそばであそびました。娘は皮を足でけって言いました。「あなたは動物なのに、人をお嫁さんにしようとしたのね」
- そのことばが終わらないうちに、馬の皮がとつぜん立ちあがり、娘をつつんで、行ってしまいました。となりの娘はおそろしくて助けられず、父に知らせに走りました
4. 蚕のはじまり
- 父が帰ってさがしましたが、娘は見つかりませんでした
- 数日たって、大きな木の枝のあいだで、娘と馬の皮が見つかりました。どちらも、すっかり蚕になって、木の上で糸をはいていました
- そのまゆは、糸のすじが太く大きく、ふつうの蚕とはちがっていました。となりの家の女がそれをとって育てると、何倍もの糸がとれました
- それで、その木を「桑」と名づけました。『捜神記』は「桑は、喪(うしなう)なり」と書いています。それから人々はきそって桑を植え、いま育てている蚕は、そのなごりなのだ、と語られています

プレ男桑の木の名前に、そんな意味がこめられていたなんて…。きれいな絹の糸のうらに、せつない話があったんだね。
5. 蚕と馬
- 『捜神記』は、話のあとに、古い書物をひいて考えをのべています。「天の星の『辰』は馬の星。『蚕書』には、月が大火(星の名)にあたるとき、蚕の種を水にひたすとある。蚕と馬は同じ気をもつのだ」
- また、漢の時代には、皇后みずから桑の葉をつみ、蚕の神をまつった、とも書かれています

干宝の『捜神記』では、娘と馬の皮は大きな木の枝のあいだで蚕になり、その木は「桑」と名づけられた、と語られています。
まとめ
- 父の帰りを待つ娘は、馬に「父をつれて帰ってくれたら、お嫁さんになる」と冗談を言った
- 馬は本当に父をつれて帰ったが、父は馬をうって、その皮を庭にほした
- 馬の皮は娘をつつんで消え、数日後、娘と馬の皮は木の上で蚕になっていた
- その木は「桑」と名づけられ、人々は桑を植えて蚕を育てるようになった、と語られる
- 同じ『捜神記』の董永と天女と捜神記の動物の恩がえし、機織りの天女の牽牛と織女もどうぞ
参考文献
- 干宝『搜神記』第十四卷(「舊說:太古之時」の条). ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/搜神記/第14卷 (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

