
プレ男動物の恩返しって、「つるの恩返し」みたいな話?

メル美晋の時代の中国の本にも、スズメやヘビやアリの恩返しが、たくさん書かれているんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は中国『捜神記』の動物の恩返しです。晋の干宝が書いた『捜神記(そうじんき)』第20巻の原文(ウィキソース)から、5つの話を読みました。同じ『捜神記』の宋定伯、鬼をとらえる、李寄、大蛇を斬るもどうぞ。中国神話の全体は中国神話の入門へ。
プロフィール
| 話 | 助けた人 | 助けられた動物 | 恩返し |
|---|---|---|---|
| 1. 黄雀と白い環 | 楊宝(9歳) | 黄色いスズメ | 白い環4つ |
| 2. 隋侯の珠 | 隋侯 | 傷ついた大蛇 | 夜に光る珠 |
| 3. アリの王 | 董昭之 | アシにつかまったアリ | 牢屋からの脱出 |
| 4. トラのお産 | 蘇易(お産を手伝う女性) | お産に苦しむトラ | 野の肉 |
| 5. カメの印 | 孔愉 | かごのカメ | 左をふりむくカメの印 |
1. 黄雀と白い環
- 漢の時代、弘農の楊宝は、9歳のとき、華陰山の北で、フクロウにおそわれて木の下に落ち、アリにたかられている黄色いスズメを見つけました
- 楊宝はかわいそうに思って家につれて帰り、箱に入れて、黄色い花を食べさせました。100日あまりで羽がはえそろうと、スズメは朝に飛んでいき、夕方にもどってくるようになりました
- ある夜ふけ、楊宝が本を読んでいると、黄色い服の子どもがあらわれて、2度おじぎをして言いました。「わたしは西王母の使いです。蓬莱へ使いに行くとちゅう、うっかりフクロウにおそわれました。あなたの思いやりに助けられ、心から感謝しています」
- 子どもは、白い環を4つわたして言いました。「あなたの子孫が、この環のように清らかで、高い位にのぼりますように」

メル美助けたスズメが、西王母の使いだったなんて! 100日も世話をしたやさしさが、むくわれたんだね。
2. 隋侯の珠
- 隋県の溠水(さすい)のほとりに、「断蛇丘(だんじゃきゅう)」という丘があります。隋侯が出かけたとき、傷ついて体がちぎれかけた大蛇を見つけました
- ふしぎな力のあるヘビかもしれないと思った隋侯は、人に命じて薬で手当てさせました。すると、ヘビは動けるようになりました。それで、そこを断蛇丘とよぶのです
- 1年あまりたって、ヘビは明るい珠をくわえてきて、恩を返しました。珠は直径1寸あまり、まっ白で、夜には月の光のように明るく光り、へやを照らせるほどでした。それで「隋侯の珠」「霊蛇の珠」「明月の珠」とよばれます
3. アリの王
- 呉の富陽県の董昭之が、船で銭塘江をわたっていると、川のまんなかで、短いアシにつかまった1匹のアリが、はしからはしへ、あわてて行ったり来たりしていました
- 「死ぬのがこわいのだな」と、董昭之はアリを船にあげようとしました。船の人は「毒のある虫だ。ふみつぶしてやる」とののしりましたが、董昭之はアリをかわいそうに思い、アシをなわでむすんで船につなぎ、岸までつれていきました
- その夜、黒い服の人が百人ほどをつれて夢にあらわれました。「わたしはアリの王です。川に落ちたのを助けてもらいました。こまったことがあったら、知らせてください」
- 10年あまりのち、董昭之は、ぬれぎぬで盗賊のかしらとされ、牢屋に入れられてしまいました。アリの王の夢を思いだすと、同じ牢の人が「アリを2〜3匹手のひらにのせて、話しかけてごらん」と教えてくれました
- その夜、夢に黒い服の人があらわれて、「いそいで余杭山へにげなさい。天下がみだれているので、まもなく罪がゆるされます」と言いました。目がさめると、アリが手かせをかみきっていました。董昭之は牢を出て山ににげ、まもなく罪をゆるされました

プレ男アリが手かせをかみきった! 小さなアリを助けたことが、10年後に自分を助けたんだ。
4. トラのお産
- 廬陵の蘇易は、お産の手伝いが上手な女性でした。ある夜、とつぜんトラにくわえられ、6〜7里はなれた大きな穴へつれていかれました
- トラは蘇易を地面におろし、すわりこんで見はっています。見ると、メスのトラがお産で苦しんでいて、子が生まれず、はいずりまわって死にそうでした。そして、ときどき蘇易を見あげます
- 蘇易は手伝って、3匹の子をとりあげました。お産がすむと、メスのトラは蘇易をせおって家まで送り、そのあと何度も、野の肉を家の戸の中にとどけました
5. カメの印
- 会稽の孔愉は、若いころ、余不亭(よふてい)を通りかかったとき、道ばたでかごに入れられたカメを見て、買いとり、川にはなしてやりました。カメは川のまんなかで、何度も左をふりむきました
- のちに孔愉は、手がらで「余不亭侯」に任じられました。役目の印をつくると、印のつまみのカメが左をふりむいていました。3回つくりなおしても、同じでした
- 印をつくる職人から聞いた孔愉は、あのカメの恩返しだと気づき、その印を身につけました

『捜神記』では、楊宝が100日あまり世話をした黄色いスズメは西王母の使いで、白い環を4つあたえて、子孫が環のように清らかであるようにと言いました。
まとめ
- 楊宝が助けた黄色いスズメは西王母の使いで、白い環を4つくれた
- 隋侯が手当てした大蛇は、夜に月のように光る隋侯の珠をくわえてきた
- 董昭之が助けたアリの王は、10年あまりのち、手かせをかみきってくれた
- 蘇易はトラのお産を手伝い、野の肉をとどけられた
- 孔愉がはなしたカメは、印のつまみの姿になって左をふりむいた
- 同じ『捜神記』の仙人たち、黄色いスズメを使いにした女神西王母、同じ『捜神記』の宋定伯と李寄もどうぞ
参考文献
- 干寶『搜神記』第二十卷(楊寶、隋侯、董昭之、蘇易、孔愉の条). ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/搜神記/第20卷 (閲覧日:2026年10月10日)
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