
プレ男七夕って、もとは中国の話だよね。彦星と織姫!

メル美いちばん古い記録は、紀元前の歌集にあるんだって。そこから少しずつお話がふくらんでいったの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は中国の牽牛(けんぎゅう)と織女(しょくじょ)、七夕のもとになった伝説です。『詩経』小雅「大東」、『古詩十九首』の「迢迢牽牛星」、梁の宗懍(そうりん)の『荊楚歳時記』の原文(ウィキソース)を読みました。中国神話の全体は中国神話の入門へ。

野村休谷「七夕の牽牛と織女の物語の印籠」19世紀前半、日本・江戸時代。漆と螺鈿、象牙ほか。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)
プロフィール
| 牽牛 | 織女 | |
|---|---|---|
| 星 | 牽牛星(『荊楚歳時記』では、荊州で「河鼓(かこ)」ともよぶ) | 織女星 |
| 役目(『荊楚歳時記』の注) | 「関所と橋」をつかさどる | 「瓜と果物」をつかさどる |
| すがた | 牛をひく男 | 機(はた)を織る女性 |
| 会う日 | 7月7日の夜(『荊楚歳時記』) |
1. 『詩経』:織りあげられない布
『詩経』小雅「大東」の一節です。
- 「天には天の川(漢)があり、見おろせば光がある」
- 「あの織女星は、一日じゅう、7回も位置をうつしていく。7回うつっても、模様のある布を織りあげることはない」
- 「かがやくあの牽牛星は、車をひくことはない」
- この歌では、織女星は布を織りあげず、牽牛星は車をひかない、とうたわれています
2. 漢の古い詩:水ひとすじをへだてて
『古詩十九首』の第10首「迢迢牽牛星(ちょうちょうたる牽牛星)」です。作者はわかっていません(『文選』の注は「枚乗という人もいるが、はっきりしない」と書く、とウィキソースは紹介しています)。
- 「はるかな牽牛星。白くかがやく天の川の女(織女)」
- 「ほっそりした白い手をあげて、さつさつと機の杼(ひ)をうごかす」
- 「一日じゅう織っても模様にならず、涙が雨のようにこぼれる」
- 「天の川は清く浅い。へだたりは、どれほどもない」
- 「満ちあふれる水ひとすじをへだてて、じっと見つめあうだけで、話すことができない」

メル美天の川は浅いのに、わたれない。すぐそこにいるのに話せないって、せつないね。
3. 『荊楚歳時記』:7月7日は会う夜
6世紀、梁の宗懍(そうりん)が書いた年中行事の本『荊楚歳時記』です。
- 「7月7日は、牽牛と織女がいっしょになる夜である」
- 隋の杜公瞻(とこうせん)の注は、むかしの本をいくつも引いています。晋の傅玄の詩に「7月7日、牽牛と織女は天の川で会う」とあること。また、ある道教の本には「牽牛は織女をめとるとき、天帝から2万銭を借りて結納にしたが、いつまでも返さなかったので、追いはらわれた」と書かれている、ともいいます

プレ男結納のお金を返さなかったから!? 神話なのに、急にリアルな理由…。
4. 天の川をたずねた人
- 同じ注は、こんな話も紹介しています。むかし、天の川は海とつながっているといわれ、海辺に住むある人が、毎年8月にやってくるいかだに乗って旅に出ました
- 10か月あまりで、城のような場所に着くと、宮殿の中に機を織る女性がいて、ひとりの男が牛をひいて水を飲ませていました。男はおどろいて「どうやってここへ来たのか」とたずね、「蜀の都に帰って、厳君平(げんくんぺい)にたずねなさい」と言いました
- のちにその人が厳君平をたずねると、「某年某月、客星(きゃくせい)が牽牛星の宿をおかした」と言われ、それはちょうど、その人が天の川に着いたときだった、といいます
5. 乞巧:針に糸をとおす夜
- 『荊楚歳時記』によると、「この夜、家々の女性たちは、色とりどりの糸を結び、七つの穴のある針に糸をとおし、庭に机をならべて、酒・干し肉・瓜・果物をそなえて、手しごとの上達をねがう(乞巧)。クモが瓜の上に網をはれば、ねがいがかなうしるしとした」
- 注は、晋の周処の『風土記』を引いて、この夜、庭をきよめて机をならべ、牽牛と織女をまつり、「天の川に白い気や五色の光が見えたら、それを拝むと福が得られる」といわれた、とも書いています

『荊楚歳時記』は、7月7日を牽牛と織女がいっしょになる夜とし、女性たちが七つの穴のある針に糸をとおして、手しごとの上達をねがったと書いています。
まとめ
- 牽牛と織女は、天の川をはさんで光る2つの星
- 『詩経』では、織女星は「布を織りあげられない」星としてうたわれた
- 漢の古い詩では、「水ひとすじをへだてて話せない」2人としてえがかれた
- 『荊楚歳時記』では、7月7日は2人が会う夜で、女性たちは針に糸をとおして乞巧をねがった
- 天の川をいかだでたずねた人の話や、結納のお金の話も伝わっていた
- 天の織女が孝行な若者を助けた話董永と天女、中国神話の女神西王母、女媧、中国神話の入門もどうぞ
参考文献
- 『詩經』小雅「大東」. ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/詩經/大東 (閲覧日:2026年10月10日)
- 「迢迢牽牛星」(古詩十九首 第十首). ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/迢迢牽牛星 (閲覧日:2026年10月10日)
- 宗懍『荊楚歲時記』(杜公瞻注). ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/荊楚歲時記 (閲覧日:2026年10月10日)
- メトロポリタン美術館. Nomura Kyūkoku, Inrō with Tanabata Story of the Weaver and the Herdboy, first half of the 19th century(14.40.878a, b、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/58628 (閲覧日:2026年10月10日)
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