
プレ男1杯で1000日ねむるお酒!? そんなの飲んだら、たいへんなことになりそう…。

メル美本当にたいへんなことになっちゃうの。『捜神記』には、こわいだけじゃなくて、くすっと笑える話もあるんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は中国の『捜神記』の千日酒と孔子の大魚です。干宝がまとめた怪異の本『捜神記』第16巻と第19巻の原文(ウィキソース)を読みました。同じ『捜神記』の話は、鬼(き)をとらえた宋定伯、大蛇をたおした李寄、馬と娘と蚕のはじまりへ。
プロフィール
| 話 | あらすじ |
|---|---|
| 千日酒 | 中山の狄希がつくった、1杯で1000日酔ってねむる酒。劉玄石が飲んだ |
| 孔子と大魚 | 陳で苦しい旅をしていた孔子の宿に、黒い衣の大男があらわれた。正体は大きな魚 |
| 五酉 | 孔子のことば。年をへた動物や草木には精がやどり、ばけものになる |
| 鬼はいない? | 「鬼などいない」と言いはった阮瞻のもとに、ある客がやってきた |
1. 千日酒
- 中山の狄希は、「千日酒」をつくることができました。飲めば、1000日のあいだ酔っている酒です
- 酒好きの劉玄石が、それをもとめてやってきました。狄希は「わたしの酒は、まだできあがっていないので、さしあげられません」とことわりました
- 玄石は「まだでも、1杯だけでいいから」とたのみ、狄希はしかたなく飲ませました。玄石は「うまい! もう1杯」と言いましたが、狄希は「帰りなさい。この1杯だけで、1000日ねむれますから」と言いました
- 玄石は家に帰ると、酔って死んだようになってしまいました。家の人たちはうたがわず、泣いて葬りました
2. 3年後の目ざめ
- 3年たって、狄希は「玄石は、もう酔いがさめるころだろう」と思い、玄石の家をたずねました。家の人は「玄石はなくなって、もう喪もあけました」とふしぎがりました
- 狄希はおどろいて「酒がうまかったので、1000日ねむってしまったのです。いまごろ目をさますはずです」と言い、家の人に墓をあけさせました
- 墓の上には、汗のような気が天までたちのぼっていました。棺をひらくと、玄石は目をあけ、口をひらいて、大きな声で言いました。「ああ、いい気持ちに酔わせてくれたものだ!」
- そして狄希に「いったい何をつくったんだ。1杯で大酔いして、今日やっとさめた。日はどれくらい高い?」とたずね、墓のまわりの人はみな笑いました
- ところが、玄石の酒の気が鼻に入って、そこにいた人たちも、みな3か月酔ってねてしまいました

メル美においだけで3か月ねちゃうなんて(笑)。お酒はほどほどに、っていう教えにも聞こえるね。
3. 孔子の宿の大男
- 孔子が陳で苦しい旅をしていたとき、宿で琴をひいて歌っていると、真夜中、背たけ9尺あまりの、黒い衣に高い冠の人があらわれ、大声でどなりました
- 弟子の子貢がすすみでて「だれだ」とたずねると、その人は子貢をつかんで、わきにかかえてしまいました
- 子路が庭へひきだしてたたかいましたが、なかなか勝てません。孔子はよく見て、相手のよろいのような体のあいだが、ときどき手のひらのようにひらくのに気づき、「そのすきまに手を入れて、ひきあげよ」と言いました
- 子路がそうすると、相手はたおれました。それは、長さ9尺あまりの大きな魚だったのです
4. 五酉
- 孔子は言いました。「これは、なぜ来たのか。ものが年をとると、たくさんの精がそれにやどると聞く。わたしたちが苦しい旅で食べものもなく、弟子たちが病んでいるので、来たのだろうか」
- 「家畜や、カメ・ヘビ・魚・スッポン、草や木のたぐいも、年をへると神がやどり、ばけものになることがある。それを『五酉』という。酉とは、年をとるということだ」
- 孔子は、琴と歌をやめませんでした。子路がその魚を料理すると、とてもおいしく、病んでいた者も元気になって、次の日、一行は旅立ちました

プレ男ばけものに出会っても、孔子はおちついて琴をひきつづけたんだ。さすがだね。しかも、おいしいごはんになったし。
5. 鬼はいない?
- 阮瞻は、「鬼(霊)などいない」という説をかたくまもり、だれも言いまかせませんでした
- あるとき、才気のある客がたずねてきて、2人は長いあいだ語りあい、鬼神の話になると、はげしく言いあいました。言いまかされた客は顔色をかえて言いました。「鬼神のことは、むかしからの聖人や賢人がみな伝えてきたことだ。なぜ、あなただけがいないと言うのか。じつは、わたしこそが鬼なのだ」
- そう言うと、客はふしぎな姿にかわり、すぐに消えてしまいました。阮瞻はだまりこみ、たいそう気分をわるくした、と語られています

干宝の『捜神記』では、千日酒を飲んで葬られた劉玄石は、3年後に墓をあけると目をさまし、「ああ、いい気持ちに酔わせてくれたものだ」と言った、と語られています。
まとめ
- 狄希の「千日酒」を1杯飲んだ劉玄石は、死んだと思われて葬られたが、3年後に墓のなかで目をさました
- その酒の気をすった人たちも、3か月酔ってねてしまった
- 旅の孔子の宿にあらわれた黒い衣の大男は、大きな魚だった。孔子は「年をへたものはばける(五酉)」と言った
- 「鬼はいない」と言いはった阮瞻のもとに来た客は、「わたしこそが鬼だ」と言って消えた
- 同じ『捜神記』の宋定伯、李寄、馬と娘と蚕のはじまりもどうぞ
参考文献
- 干宝『搜神記』第十九卷(狄希の千日酒の条、孔子厄於陳の条). ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/搜神記/第19卷 (閲覧日:2026年10月12日)
- 干宝『搜神記』第十六卷(阮瞻の条). ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/搜神記/第16卷 (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
