
プレ男太陽の神さまの娘と、人間の王さまの恋? どうやって結婚したの?

メル美娘は「お父さんにたのんで」って言ったんだって。そこで、聖仙が太陽までおねがいに行くの!
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はインド神話の太陽の娘タパティーです。『マハーバーラタ』第1巻アーディ・パルヴァの「チャイトララタの巻」第172〜175章(K.M.ガングリ英訳、プロジェクト・グーテンベルク)を読みました。同じ『マハーバーラタ』の愛の物語はサーヴィトリーへ。クルの一族の話はビーシュマの誓いへ。
プロフィール
| タパティー | 太陽神ヴィヴァスヴァット(スーリヤ)の娘。サーヴィトリーの妹。三界でならぶ者のない美しさ |
| サンヴァラナ | リクシャの子で、クルの一族の王。いつも太陽をうやまっていた |
| ヴァシシュタ | 王の祭官の聖仙。太陽のもとへのぼって、乙女をもらいうけた |
| 2人の子 | クル。そのため、クルの一族は「タパティーの子孫(タパティヤ)」ともよばれる |
| 語り手 | ガンダルヴァの王。アルジュナに「タパティヤ」とよびかけたわけとして話した |
1. 「タパティヤ」というよび名
- パーンダヴァの5兄弟がガンガー川のほとりを旅していたとき、アルジュナは、ガンダルヴァの王アンガーラパルナとたたかって勝ちました。命をゆるされたガンダルヴァは、アルジュナと友になりました
- ガンダルヴァは、アルジュナを何度も「タパティヤ(タパティーの子孫)」とよびました。アルジュナがそのわけをたずねると、ガンダルヴァは、三界で名高いこの物語を語りはじめました
2. 太陽の娘
- 天をその光でみたす太陽神には、タパティーという娘がいました。サーヴィトリーの妹で、神々にもアスラにもガンダルヴァにも、ならぶ者のない美しさでした
- 父の太陽神は、娘にふさわしい夫がいないかと、いつも心をなやませていました
- そのころ、クルの一族の王サンヴァラナは、花やかおりやささげもので、心から太陽をうやまっていました。太陽神は、すぐれた王サンヴァラナこそ、娘の夫にふさわしいと考えました
3. 山の出会い
- ある日、サンヴァラナは山へ狩りに出かけましたが、乗っていた馬がつかれはてて死に、ひとりで山を歩くことになりました
- そこで王は、目の大きな、くらべもののない美しい乙女に出会いました。その姿は太陽の光のかたまりのようで、山の草木まで金にかわったように見えました。王は、その場に立ちつくしてしまいました
- 王が「あなたはだれですか」とたずねても、乙女は何も言わずに、稲妻のように消えてしまいました。王は森じゅうをさがし、悲しみにくれてたおれました
4. 「父にたのんでください」
- すると乙女がふたたびあらわれ、ほほえんで言いました。「おきてください、王よ。名高いあなたが、心をうしなってはいけません」
- 王が思いをうちあけると、乙女は答えました。「王よ、わたしは自分で自分のことを決められません。父のもとにいる娘です。わたしを思ってくださるなら、父にもうしこんでください。あなたも、ひと目でわたしの心をうばいました」
- 「わたしの名はタパティー。サーヴィトリーの妹で、世界をてらす太陽の娘です。父がわたしをあなたにさずければ、わたしはあなたの妻になります」。そう言うと、タパティーは空へのぼっていきました

メル美「あなたも、ひと目でわたしの心をうばいました」…。両思いだったんだね!
5. 12日のいのり
- 王は家来たちを帰し、大臣だけをのこして、山の上で手をあわせ、顔をあげて太陽をおがみつづけました。そして、祭官の聖仙ヴァシシュタのことを思いました
- 12日め、ヴァシシュタがやってきました。ヴァシシュタは苦行の力で、王がタパティーを思っていることを知り、王の見ている前で、太陽のもとへのぼっていきました
- ヴァシシュタは太陽神に言いました。「あなたの娘タパティーを、サンヴァラナにください。サンヴァラナは、すぐれたおこないの、気高い王です」
- 太陽神は答えました。「サンヴァラナは王の中でいちばんすぐれ、あなたは聖仙の中でいちばんすぐれ、タパティーは女性の中でいちばんすぐれている。さずけないわけがあろうか」
- 太陽神は娘をヴァシシュタにあずけ、タパティーは稲妻のように天からおりてきて、王はたいそうよろこびました。2人は山の上で、正しい儀式で結ばれました
6. 雨がもどった国
- 王はヴァシシュタに国をまかせて、山でタパティーと12年をすごしました。そのあいだ、王の国には雨がふらず、作物は育たず、人々は苦しみました
- ヴァシシュタが王とタパティーを都へつれもどすと、インドラが雨をたっぷりふらせ、作物がまた育ち、国はよろこびにわきました
- 王とタパティーのあいだに生まれた子がクルです。だから、クルの一族に生まれたアルジュナは「タパティヤ」とよばれるのだ、とガンダルヴァは結びました

プレ男王さまがいないと、国に雨もふらなかったんだ。王さまの大事さを語るお話でもあるんだね。

ガングリ訳の『マハーバーラタ』では、聖仙ヴァシシュタが太陽のもとへのぼり、太陽神は「サンヴァラナは王の中で、あなたは聖仙の中で、タパティーは女性の中でいちばんすぐれている」と言って、娘をさずけました。
まとめ
- 太陽神の娘タパティーは、山で王サンヴァラナと出会い、心をよせあった
- タパティーは「父にもうしこんでください」と言って天へ帰った
- 王は12日太陽をおがみ、聖仙ヴァシシュタが太陽のもとへのぼって、タパティーをもらいうけた
- 2人の子クルから、クルの一族は「タパティヤ(タパティーの子孫)」ともよばれる
- 同じ『マハーバーラタ』のサーヴィトリーとビーシュマの誓い、『リグ・ヴェーダ』の暁の女神ウシャスもどうぞ
参考文献
- Kisari Mohan Ganguli(英訳). The Mahabharata of Krishna-Dwaipayana Vyasa, Volume 1. Adi Parva, Chaitraratha Parva, Sections CLXXII–CLXXV. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/15474 (閲覧日:2026年10月12日)
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