
プレ男「おそるべき者」って名前、なんだかこわい…。どんな人なの?

メル美お父さんのために、とてもきびしい誓いをたてた王子なんだって。その誓いが「おそるべき」ほどだったの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はインド神話のビーシュマの誓いです。『マハーバーラタ』第1巻アーディ・パルヴァの「サンバヴァの巻」第100章(K.M.ガングリ英訳、プロジェクト・グーテンベルク)を読みました。同じ『マハーバーラタ』のヤヤーティ王と息子の若さもどうぞ。インド神話の全体はインド神話の入門へ。
プロフィール
| デーヴァヴラタ | シャンタヌ王と、川の女神ガンガーの子。ただひとりの王子 |
| 父の悩み | 漁師の長の娘サティヤヴァティーとの結婚に、条件をつけられた |
| 漁師の長の心配 | 娘の子が王になれないのでは、という心配 |
| 誓い | 王位をすて、生涯、妻も子ももたない |
| 新しい名 | ビーシュマ(英訳では the terrible、おそるべき者) |
| 父からのおくりもの | 自分が望むまで、死がおとずれない力 |
1. ふさぎこむ父
- シャンタヌ王は、漁師の長に、娘との結婚をもうしこみましたが、その条件をのむ気にはなれず、なやみながら都ハスティナープラへ帰りました
- 王子デーヴァヴラタは、父に言いました。「国はさかえ、王たちはみな父上にしたがっているのに、なぜ悲しんでいるのですか。馬にも乗らず、顔色も青く、やせてしまいました。どんな病なのか、教えてください。なおす方法をさがします」
- 王は、「おまえは、この大きな一族のただひとりの後つぎだ。もし、おまえに何かあったら、一族はとだえてしまう。それが心配なのだ」と答えました
2. 漁師の長の条件
- 王子は、父に仕える年老いた大臣にたずね、漁師の長が娘のことで出した条件を知りました
- 王子は、年配の王たちをつれて、自分で漁師の長のもとへ行き、父のために娘をもうしこみました
- 漁師の長は言いました。「ただひとつ、心配なことがあります。もうひとりの妻の子として、あなたという強いあいてがいることです。あなたにならぶ者は、魔族でもガンダルヴァでも、安心できません」——つまり、娘が生む子が王になれないのでは、と心配したのです
3. ふたつの誓い
- 王子は、あつまった王たちの前で誓いました。「わたしの誓いを聞け。こんな誓いをたてる勇気のある者は、これまでもいなかったし、これからも生まれないだろう。この娘から生まれる子を、わたしたちの王としよう」
- それでも漁師の長は言いました。「あなたが誓いをやぶらないことはうたがいません。けれども、あなたの子どもたちのことが気がかりです」
- 王子は、さらに言いました。「王たちよ、わたしはすでに王位をすてた。いまから、わたしの子どものことも決めよう。漁師の長よ、わたしは今日から、妻をもたずに学びとめい想に生きる誓い(ブラフマチャリヤ)をたてる。子がないまま死んでも、天のしあわせな世界へ行くだろう」

メル美お父さんの結婚のために、王になることも、家族をもつこともあきらめたんだ…。
4. 「ビーシュマ」
- このことばに、漁師の長の体の毛はよろこびでさかだち、「娘をさしあげます」と答えました
- すると、天女たちや神々、聖仙たちが、天からデーヴァヴラタの頭の上に花をふらせ、「この者はビーシュマ(おそるべき者)だ」とさけびました
- ビーシュマは、サティヤヴァティーに「母上、この車にお乗りください。家へまいりましょう」と言い、都へつれて帰りました。王たちはみな、そのおどろくべき行いをたたえ、「まことに、ビーシュマだ」と言いました
- シャンタヌ王はたいそうよろこび、息子に、こんなおくりものをあたえました。「おまえが生きたいと望むかぎり、死はけっしておとずれない。死は、まずおまえのゆるしをえてから近づくだろう」

プレ男「おそるべき」って、こわいって意味じゃなくて、誓いのきびしさがすごすぎるってことだったんだ。

『マハーバーラタ』では、デーヴァヴラタが王位をすて、生涯妻をもたないと誓うと、神々は天から花をふらせて「この者はビーシュマだ」とさけびました。
まとめ
- 王子デーヴァヴラタは、ふさぎこむ父シャンタヌ王のために、漁師の長のもとへ行った
- 漁師の長は、娘サティヤヴァティーの子が王になれないことを心配した
- 王子は、王位をすて、生涯妻も子ももたないと誓った
- 神々は花をふらせて「ビーシュマ(おそるべき者)」とよび、父王は望むまで死がおとずれない力をあたえた
- 同じ『マハーバーラタ』のヤヤーティ王と息子の若さとドローナの弓の試験、ビーシュマの母の川の話ガンガーの降下もどうぞ
参考文献
- Kisari Mohan Ganguli(英訳). The Mahabharata of Krishna-Dwaipayana Vyasa, Volume 1. Adi Parva, Sambhava Parva, Section C. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/15474 (閲覧日:2026年10月12日)
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