
プレ男「何が見える?」って、ただの質問じゃないの?

メル美『マハーバーラタ』では、その答えで、弓の名人がわかったんだって。集中力のお話よ。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はインド神話のドローナの弓の試験です。『マハーバーラタ』第1巻アーディ・パルヴァの「サンバヴァの巻」第134〜135章(K.M.ガングリ英訳、プロジェクト・グーテンベルク)を読みました。同じ『マハーバーラタ』で、ユディシュティラが知恵をためされる話はヤクシャの問いへ。インド神話の全体はインド神話の入門へ。
プロフィール
| ドローナ | 王子たちに武芸を教えた師 |
| 教え子 | ユディシュティラ、ビーマ、アルジュナなどのパーンダヴァの王子たち、ドゥルヨーダナなどドリタラーシュトラの息子たち、ほかの国の王子たち |
| 的 | 木の上におかれたつくりものの鳥 |
| ためしたこと | 「何が見えるか」 |
| 合格した人 | アルジュナ。「鳥の頭だけが見えます」 |
1. 木の上の鳥
- 王子たちの学びがおわったころ、ドローナは、教え子たちの武芸の腕をくらべてみようと考えました
- 教え子たちをあつめる前に、ドローナは、つくりものの鳥を、近くの木のてっぺんにおかせておきました
- そして言いました。「すぐに弓をとって、矢を弦につがえ、あの木の上の鳥をねらって立ちなさい。わたしが合図したら、鳥の頭を射おとすのだ。ひとりずつ順番にためそう」
2. 「何が見えるか」
- まず、ユディシュティラが弓をとり、鳥をねらって立ちました。ドローナはすぐにたずねました。「王子よ、木の上の鳥が見えるか」。ユディシュティラは「見えます」と答えました
- ドローナはまたたずねました。「いま何が見える。木か、わたしか、兄弟たちか」。ユディシュティラは答えました。「木も、先生も、兄弟たちも、鳥も見えます」
- 何度たずねても同じ答えだったので、ドローナは「うしろにさがりなさい。おまえには、この的は射られない」と言いました
- ドゥルヨーダナたちも、ビーマも、ほかの国の王子たちも、ためされましたが、答えはみな同じでした。「木も、先生も、仲間たちも、鳥も見えます」。みな、うしろへさげられました

メル美ちゃんと見えてるのに、「さがりなさい」…。まわりがぜんぶ見えていることが、だめだったんだ!
3. アルジュナの答え
- みなが失敗したあと、ドローナはほほえんでアルジュナをよびました。「この的は、おまえが射なければならない。目をそこに向けなさい」
- アルジュナが弓を引きしぼって鳥をねらうと、ドローナはたずねました。「アルジュナ、あそこの鳥と、木と、わたしが見えるか」
- アルジュナは答えました。「鳥しか見えません。木も、先生も見えません」
- ドローナはよろこんで、さらにたずねました。「鳥が見えるなら、それを話してみなさい」。アルジュナは答えました。「鳥の頭だけが見えます。体は見えません」
- このことばに、ドローナの体の毛は、よろこびでさかだちました。「射よ」。アルジュナはすぐに矢をはなち、木の上の鳥の頭を射おとしました。ドローナはアルジュナをだきしめました

プレ男「鳥の頭だけ」…。ねらうものだけに心を集中していたんだね。テスト勉強のときに思い出したい!

『マハーバーラタ』では、ほかの王子たちは「木も、先生も、仲間も、鳥も見える」と答えましたが、アルジュナだけが「鳥の頭だけが見えます」と答え、的を射おとしました。
まとめ
- 師ドローナは、木の上につくりものの鳥をおき、王子たちに「何が見えるか」とたずねた
- ユディシュティラも、ほかの王子たちも「木も、先生も、仲間も、鳥も見える」と答え、うしろへさげられた
- アルジュナだけが「鳥の頭だけが見えます」と答え、みごとに射おとした
- ドローナはよろこび、アルジュナをだきしめた
- 同じ『マハーバーラタ』のヤクシャの問いとヤヤーティ王と息子の若さ、鳥の王ガルダもどうぞ
参考文献
- Kisari Mohan Ganguli(英訳). The Mahabharata of Krishna-Dwaipayana Vyasa, Volume 1. Adi Parva, Sambhava Parva, Sections CXXXIV–CXXXV. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/15474 (閲覧日:2026年10月12日)
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