
プレ男息子の若さと、お父さんの老いを交換!? そんなことできるの?

メル美『マハーバーラタ』のヤヤーティ王は、それをしたんだって。でも、千年たって気づいたことがあるの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はインド神話のヤヤーティ王と息子の若さです。『マハーバーラタ』第1巻アーディ・パルヴァの「サンバヴァの巻」第75章(K.M.ガングリ英訳、プロジェクト・グーテンベルク)を読みました。同じ『マハーバーラタ』のルルとプラマドヴァラーやサーヴィトリーもどうぞ。インド神話の全体はインド神話の入門へ。
プロフィール
| ヤヤーティ | 全世界をおさめ、どんな敵にも負けなかった王 |
| 妻 | デーヴァヤーニーとシャルミシュター |
| 息子 | ヤドゥ、トゥルヴァス(デーヴァヤーニーの子)、ドラヒュ、アヌ、プール(シャルミシュターの子) |
| 老いたわけ | 聖仙ウシャナス(シュクラ)ののろい |
| ひきうけた子 | 末っ子のプール |
| 気づいたこと | 「のぞみは、火にそそいだバターのように、満たすほどもえあがる」 |
1. 急におとずれた老い
- ヤヤーティ王は、全世界をおさめ、たくさんのいけにえの祭りをおこない、祖先をうやまい、神々をうやまって、どんな敵にも負けませんでした。息子たちはみな、すぐれた弓の名手でした
- ところが、長いあいだ正しく国をおさめたあと、王はみにくい老いにおそわれ、その美しさをうしなってしまいました。聖仙ウシャナス(シュクラ)にのろわれたためでした
2. 「だれか、老いをひきうけてくれ」
- 王は、息子たちに言いました。「むすこたちよ、わたしは若くなって、もう一度、人生をたのしみたい。どうか助けておくれ。だれか、わたしの老いをひきうけて、わたしの体で国をおさめてくれ」
- けれども、息子たちは、だれもひきうけませんでした
- そのとき、末っ子のプールが言いました。「王さま、若がえった体で、もう一度おたのしみください。わたしがあなたの老いをひきうけ、おおせのとおり国をおさめましょう」
- 王は、修行の力で、自分の老いをプールにうつし、プールの若さで若者になりました。そして、老いたプールが国をおさめたのです

メル美お兄さんたちがことわったのに、末っ子のプールだけが…。やさしい子だね。
3. 千年たって気づいたこと
- 千年がたっても、ヤヤーティ王は、トラのように強く、力にあふれていました。けれども、どれほどたのしんでも、王ののぞみは満たされませんでした
- 王は、古い書物にある真理を思いだしました。「まことに、人ののぞみは、たのしむことで満たされることはない。いけにえの火にそそいだバターのように、たのしめばたのしむほど、もえあがる」
- 「たとえ大地のすべての富を手に入れても、満たされはしない。考えでも、おこないでも、ことばでも、どんな生きものにも罪をおかさないとき、人は清らかになる。何もおそれず、何からもおそれられず、何ものぞまず、何もきずつけないとき、人は清らかさにいたる」

プレ男千年も若さをたのしんでも、満足できなかったんだ…。「もっと、もっと」って、きりがないんだね。
4. 返された若さ
- のぞみはきりがないと悟った王は、めい想で心をしずめ、息子から自分の老いをとりもどし、若さを返しました
- そして、プールを王位につけて言いました。「おまえこそ、わたしのまことの後つぎ、まことの息子だ。わたしの一族は、おまえの名で世に知られるだろう」
- ヤヤーティは、ブリグの山へ行って修行をし、長い年月ののち、天へのぼった、と書かれています

『マハーバーラタ』では、ヤヤーティ王は「人ののぞみは、いけにえの火にそそいだバターのように、たのしめばたのしむほど、もえあがる」と気づき、息子プールに若さを返しました。
まとめ
- ヤヤーティ王は、聖仙ウシャナスののろいで年老いた
- 息子たちに老いと若さの交換をたのみ、末っ子のプールだけがひきうけた
- 千年たっても満たされず、「のぞみは、火にそそいだバターのようにもえあがる」と気づいた
- 王はプールに若さを返し、王位をゆずって、「一族はおまえの名で知られる」と言った
- 同じ『マハーバーラタ』のルルとプラマドヴァラー、サーヴィトリー、ナラとダマヤンティーもどうぞ
参考文献
- Kisari Mohan Ganguli(英訳). The Mahabharata of Krishna-Dwaipayana Vyasa, Volume 1. Adi Parva, Sambhava Parva, Section LXXV. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/15474 (閲覧日:2026年10月12日)
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