
プレ男生きたまま天国へ行きたい王さま!? そんなこと、できるの?

メル美神さまたちは反対したんだけど、ものすごい力をもった仙人が手をかしたの。そしたら、空に新しい星までできちゃったんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はインド神話のトリシャンク王です。『ラーマーヤナ』第1巻の第57〜60章(ラルフ・T・H・グリフィス英訳、プロジェクト・グーテンベルク)を読みました。この話は、仙人ヴィシュヴァーミトラの物語の一部として語られます。同じ仙人が若いラーマをつれて歩く場面はヴァーマナへ。インド神話の全体はインド神話の入門へ。
プロフィール
| トリシャンク | イクシュヴァーク家の王。「生きたまま、からだごと天へ行きたい」とねがった |
| 師 | ヴァシシュタ。王のねがいを「むりだ」とことわった |
| ヴァシシュタの子ら | 100人。王をとがめ、のろいで姿を変えた |
| たすけた仙人 | ヴィシュヴァーミトラ(クシカの子孫)。苦行で大きな力をえていた |
| インドラ | 神々の王。天に来た王を「ここにおまえの家はない」とつきおとした |
| 結末 | 王は南の空に、頭を下にして、新しい星々にかこまれてかがやく |
1. 王のねがい
- 仙人ヴィシュヴァーミトラは、長い苦行のすえ、ブラフマー神から「王の仙人」の位をさずけられましたが、それに満足せず、さらにきびしい苦行をつづけていました
- そのころ、イクシュヴァーク家に、トリシャンクという王がいました。王は、神々に大きなささげものをして、「生きたまま天へ行きたい」と強くねがいました
- 王は師ヴァシシュタにたのみましたが、ヴァシシュタは「それは王の手のとどくことではない」とことわりました
- 王は南の地へ行き、ヴァシシュタの100人の子にたのみました。「からだのまま天にのぼり、神々とともにすみたいのです」
2. のろい
- 100人の子はおこりました。「うそをついたことのない父がことわったのに、なぜほかにたよるのか。都へ帰りなさい」
- 王が「では、ほかの助けをさがす」と言うと、子らはさらにおこって、王にのろいをかけました
- その夜、王の姿はすっかり変わり、髪はぬけ、肌はあれ、腕輪は鉄の輪になりました。家来も都の人々も、おそれてにげていきました
- それでも王はくじけず、ひとりでヴィシュヴァーミトラのもとへ行き、たのみました。「運命はすべてをうばいます。どうか、たすけてください。人のこころざしが、運命にうちかつように」

メル美みんなににげられて、ひとりぼっちでたのみに行ったんだ…。
3. 仙人の力
- ヴィシュヴァーミトラはあわれに思い、「おそれることはない。わたしがたすけよう。その姿のままで、からだごと、のぞむところへ行けるだろう」と答えました
- 仙人は聖者たちを儀式によびましたが、ヴァシシュタの子らはことわり、仙人をばかにしました。仙人はおこって、子らに重いのろいをかけました
- 聖者たちは、仙人のいかりをおそれて儀式を手つだいました。しかし、仙人が神々にささげものをとりにくるようよびかけても、神々はだれも来ませんでした
- 仙人は、いかりで目を赤くして、ひしゃくを高くかかげて言いました。「わたしの苦行の力を見よ。からだのまま、天へのぼれ」。そのことばが終わらないうちに、王は空へのぼっていきました
4. さかさまの星
- ところが、神々の王インドラは言いました。「トリシャンクよ、去れ。ここに、おまえの家はない。師ののろいをうけた者よ、まっさかさまに地へ落ちよ」
- 王は「仙人よ、たすけて!」とさけびながら落ちていきました。ヴィシュヴァーミトラは「とまれ、とまれ!」とさけび、苦行の力で、南の空にべつの7人の聖仙を星としておき、たくさんの新しい星々をつくりはじめました
- 仙人は、べつのインドラまでつくろうとし、新しい神々をつくりはじめました。おそれた神々や聖者たちは、仙人をなだめにきました
- 仙人は「王を天へ送るとちかった。その約束はとりけせない。わたしの星々を、天と地のあるかぎり、のこしてほしい」と言いました
- 神々は答えました。「そのとおりにしよう。あなたの星々は、太陽の道のむこうにとどまる。そのあいだに、トリシャンクは神のように、頭を下にしてかがやき、星々は王につきしたがう」

プレ男天にも地にも落ちないで、さかさまのまま星になったんだ! 仙人の力、すごすぎる…。

グリフィス訳の『ラーマーヤナ』では、インドラにつきおとされたトリシャンクを、ヴィシュヴァーミトラが「とまれ」ととどめ、神々は、王が南の空に頭を下にしてかがやくことをみとめました。
まとめ
- トリシャンク王は、「生きたまま、からだごと天へ行きたい」とねがった
- 師ヴァシシュタとその子らにことわられ、のろいで姿を変えられた
- 仙人ヴィシュヴァーミトラは、苦行の力で王を天へのぼらせた
- インドラにつきおとされた王を、仙人は空中にとどめ、南の空に新しい星々をつくった
- 王は、新しい星々にかこまれ、頭を下にしてかがやくことになった
- 同じ仙人が出てくるヴァーマナ、『ラーマーヤナ』の主人公ラーマ、インド神話の入門もどうぞ
参考文献
- Ralph T. H. Griffith(英訳). The Rámáyan of Válmíki, translated into English verse. Book I, Cantos LVII–LX. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/24869 (閲覧日:2026年10月12日)
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