
プレ男なくなったお姫さまが、たましいになって恋人に会いに来るの? こわい話?

メル美こわいというより、とってもせつない恋のお話なんだって。さいごにお姫さまが、恋人をかばうところが心にのこるの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は中国の『捜神記』の紫玉と韓重です。干宝がまとめた怪異の本『捜神記』第16巻の原文(ウィキソース)を読みました。同じ『捜神記』の話は千日酒と孔子の大魚と董永と天女へ。
プロフィール
| 紫玉 | 呉王夫差の末のむすめ。18歳で、才能も姿も美しかった |
| 韓重 | 19歳の若者。道術(ふしぎなわざ)を身につけていた |
| ちかい | 2人はひそかに手紙をかわし、紫玉は韓重の妻になると約束した |
| 父王 | 結婚をゆるさなかった |
| 墓 | 閶門の外 |
| おくりもの | 紫玉が韓重におくった、さしわたし1寸の明るい真珠 |
1. ゆるされなかった結婚
- 呉王夫差の末のむすめ紫玉は、18歳で、才能も姿も美しい人でした。19歳の若者韓重は道術を身につけており、紫玉は韓重をしたって、ひそかに手紙をかわし、妻になると約束しました
- 韓重は、斉と魯の国へ学びに行くことになり、出かける前に、両親に結婚をもうしこんでくれるようたのみました
- けれども王はおこって、ゆるしませんでした。紫玉は思いつめて、そのままなくなり、閶門の外にほうむられました
2. 墓の前の再会
- 3年たって帰ってきた韓重は、両親から紫玉のことを聞き、声をあげて泣き、ささげものをもって墓へとむらいに行きました
- すると、紫玉のたましいが墓から出てきて、涙をながして言いました。「あなたが出かけたあと、ご両親が王にもうしこんでくださったので、きっとねがいがかなうと思っていました。別れたあとに、こんな運命になるなんて」
- 紫玉は、左をむいて、くびをかしげて歌いました。「南の山にカラスがいて、北の山にあみをはる。カラスが高くとびさったら、あみはどうしよう。あなたについていきたかったのに、悪いうわさが多すぎた」
- 「鳥の長は、鳳凰。ひとたびつれあいをうしなえば、3年なげき、たくさんの鳥がいても、つれあいにはしない。……からだは遠くても、心は近い。どうして、ひとときでもわすれられましょう」

メル美「からだは遠くても、心は近い」…。会えなかった3年分の思いが、この歌につまっているんだね。
3. 明るい真珠
- 紫玉は、韓重を墓の中へまねきました。韓重は「死んだ人と生きている人は、道がちがう。おそれがあるので、行けません」とためらいました
- 紫玉は言いました。「道がちがうことは、わたしも知っています。でも、いま別れたら、二度と会えません。わたしが鬼になって、あなたにわざわいをするとでも思うのですか」
- 韓重はそのことばに心をうたれ、紫玉を墓へ送りとどけました。紫玉は韓重をもてなし、3日3晩をともにすごしました
- 別れぎわ、紫玉は、さしわたし1寸の明るい真珠を韓重におくって言いました。「からだを大切にしてください。もし、わたしの家に行くことがあったら、父王によろしく伝えてください」
4. 父王の前に
- 韓重は王のもとへ行き、すべてを話しました。けれども王はおこって言いました。「むすめはもう死んだのに、韓重はうそをついて、なき人をけがしている。墓をあばいて宝をとり、それを鬼神のせいにしているだけだ」
- 王は韓重をとらえさせようとしましたが、韓重はのがれて紫玉の墓へ行き、うったえました。紫玉は「心配いりません。いま、王にお話しします」と言いました
- 王が身じたくをしていると、とつぜん紫玉があらわれました。王はおどろき、悲しみとよろこびで「どうして生きているのか」とたずねました
- 紫玉はひざまずいて言いました。「韓重がわたしをもとめたとき、王はゆるされず、わたしは名もけがされ、思いもたたれて、思いつめて命をおとしました。韓重は遠くから帰ってきて、わたしの死を聞き、墓へとむらいに来てくれました。その心にうたれて、会い、真珠をおくったのです。墓をあばいたのではありません。どうか罪に問わないでください」
- 王妃がそれを聞いてかけより、紫玉をだきしめると、紫玉はけむりのように消えてしまいました

プレ男さいごに、恋人の無実をつたえに来てくれたんだ…。お母さんがだきしめたら消えちゃうなんて、せつないね。

干宝の『捜神記』では、紫玉のたましいは父王の前にあらわれて「墓をあばいたのではありません。どうか罪に問わないでください」と韓重をかばい、王妃がだきしめると、けむりのように消えた、と語られています。
まとめ
- 呉王夫差のむすめ紫玉は、若者韓重と結婚をちかったが、父王にゆるされず、なくなった
- 3年後、墓の前で泣く韓重の前に、紫玉のたましいがあらわれ、「からだは遠くても、心は近い」と歌った
- 紫玉は韓重を墓にまねいてもてなし、明るい真珠をおくった
- 韓重が王にうたがわれると、紫玉は父王の前にあらわれて真実を語り、王妃にだきしめられて、けむりのように消えた
- 同じ『捜神記』の千日酒と孔子の大魚と董永と天女、会えない2人の物語牽牛と織女もどうぞ
参考文献
- 干宝『搜神記』第十六卷(吳王夫差の小女紫玉の条). ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/搜神記/第16卷 (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

