
メル美友だちが、彼と5年いっしょに住んでる「事実婚」なんだって。籍を入れていないと、別れたときや病気のとき、法律では他人あつかいなのかな?

プレ男同棲と事実婚って、法律ではちがうの?ぼくもいつか同棲してみたいから気になる。
今回は、内縁(事実婚)と法律です。最高裁判所の判例(裁判所ウェブサイトの判示事項・裁判要旨)と、民法・健康保険法・厚生年金保険法の条文(e-Gov法令検索)で確かめました。
この記事は一般的な解説で、法律相談の代わりにはなりません。内縁にあたるかどうか、何を請求できるかは、具体的な事情で変わります。困ったときは弁護士や法テラス(サポートダイヤル 0570-078374)へ。
民法には「内縁」の条文がない
- e-Gov法令検索の民法の本文には、「内縁」という言葉は出てきません
- 内縁の扱いは、主に裁判所の判例と、健康保険・年金などの個別の法律で決まっています
- 判例が「内縁」と呼んでいるのは、婚姻届は出していないものの、事実上の夫婦として共同生活をしている関係です。ただ「いっしょに住んでいる」だけで内縁になるわけではなく、どう判断されるかは事情によります
判例でわかる、内縁の4つのルール
| 内容 | 判例 | 裁判要旨・判示事項(要約) |
|---|---|---|
| 内縁を不当に破棄されたら | 最高裁 昭和41年12月8日(昭和41年(オ)第819号) | 内縁を不当に破棄された人は、相手に不法行為を理由として損害賠償を求めることもできる |
| 第三者が内縁をこわしたら | 最高裁 昭和38年2月1日(昭和37年(オ)第801号) | 内縁の当事者でない人でも、内縁関係に不当な干渉をしてこれを破綻させた人は、不法行為者として損害賠償の責任を負う |
| 生活費の分担 | 最高裁 昭和41年2月22日(昭和39年(オ)第714号) | 民法760条(婚姻費用の分担)は、内縁に類推適用される。内縁を破綻させた第三者の不法行為責任も認めた |
| 相手が亡くなったとき | 最高裁 平成12年3月10日決定(平成11年(許)第18号) | 内縁の夫婦の一方の死亡で内縁が解消した場合に、離婚の財産分与の規定(民法768条)を類推適用することはできない |

プレ男別れるときは損害賠償が問題になりうるのに、相手が亡くなったときは財産分与ができないんだ…。

メル美平成12年の決定の参照法条には、相続の一般的効力(民法896条)も挙がっているよ。亡くなった人の財産は相続人が引き継ぐ、という条文なの。
- 民法760条は「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と定めています
- 民法768条は、協議離婚した人の一方が相手に財産の分与を請求できるという規定です(2026年10月22日に閲覧した現行の条文では、家庭裁判所に処分を求められるのは「離婚の時から五年」以内)
「結婚しない関係」を選んできた場合は(平成16年)
最高裁判所第一小法廷 平成16年11月18日判決(平成15年(受)第1943号)は、婚姻外の男女の関係を一方的に解消したことについて不法行為責任が否定された事例です。裁判要旨によると、この事件では:
- 関係が続いていた間、2人は住居が別々で、共同生活をしたことはまったくなく、それぞれが自分の生計を維持し、共有する財産もなかった
- 民法の定める結婚をする意思が一致したことはなく、かえって2人は意図的に結婚を避けていた
- 相手に無断でほかの人と結婚して関係から離れてはいけない、という関係を続けることについての合意がされた形跡もない
こうした事情のもとでは、男性が関係を突然・一方的に解消してほかの女性と結婚したことを、慰謝料請求ができる不法行為と評価することはできない、とされました。

メル美「長く付き合っていた」だけでは内縁と同じには扱われない、ということだね。共同生活の実態や、結婚の意思があったかが見られているんだ。
健康保険・年金では「事実婚」も配偶者
| 法律 | 条文 | 内容 |
|---|---|---|
| 健康保険法 | 3条7項1号 | 被扶養者になれる「配偶者」には、「届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む」 |
| 厚生年金保険法 | 3条2項 | 「配偶者」「夫」「妻」には、「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む」 |
| 国民年金法 | 5条7項 | 同じく、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む |
- ただし、実際に被扶養者や遺族年金の対象と認められるかは、それぞれの制度の要件と審査によります。手続は加入している健康保険の窓口や年金事務所で確認してください
解消の話し合いがつかないときは
- 裁判所ウェブサイトによると、事実上の夫婦関係にある当事者の間で、内縁関係の解消について話し合いがまとまらない、または話し合いができないときは、家庭裁判所の「内縁関係調整調停」を利用できます
- 調停では、解消だけでなく、解消にあたっての財産分与や慰謝料についても一緒に話し合えます。解消したほうがよいか迷っている場合にも使えます
- 申立先は相手方の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所。費用は収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手(郵便料は裁判所ごとにちがう)です
まとめ
- 民法に「内縁」の条文はなく、ルールは主に判例で決まっている
- 内縁を不当に破棄されたら損害賠償を請求できる。内縁をこわした第三者も責任を負う。生活費の分担(760条)は内縁にも類推適用
- 相手が亡くなったときに、離婚の財産分与(768条)を類推することはできない(平成12年)
- 別々に暮らし、意図的に結婚を避けてきた関係では、一方的な解消でも慰謝料が否定された例がある(平成16年)
- 健康保険・厚生年金・国民年金では「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」も配偶者に含まれる
- 話し合いがつかなければ家庭裁判所の内縁関係調整調停。婚約の破棄は婚約破棄と慰謝料、同性カップルの制度はLGBTQと法律、結婚・離婚全体は結婚・離婚・浮気の法律もどうぞ
参考文献
- 民法(明治29年法律第89号)第760条、第768条、第896条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 (閲覧日:2026年10月22日)
- 最高裁判所第一小法廷 昭和41年12月8日判決(昭和41年(オ)第819号 婚姻予約不履行損害賠償請求事件). 集民85号629頁. 裁判所ウェブサイト. https://www.courts.go.jp/hanrei/66571/detail2/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 最高裁判所第二小法廷 昭和38年2月1日判決(昭和37年(オ)第801号 損害賠償請求事件). 民集17巻1号160頁. 裁判所ウェブサイト. https://www.courts.go.jp/hanrei/53823/detail2/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 最高裁判所第三小法廷 昭和41年2月22日判決(昭和39年(オ)第714号 慰藉料等請求事件). 集民82号453頁. 裁判所ウェブサイト. https://www.courts.go.jp/hanrei/66359/detail2/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 最高裁判所第一小法廷 平成12年3月10日決定(平成11年(許)第18号 財産分与審判に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件). 民集54巻3号1040頁. 裁判所ウェブサイト. https://www.courts.go.jp/hanrei/52278/detail2/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 最高裁判所第一小法廷 平成16年11月18日判決(平成15年(受)第1943号 損害賠償請求事件). 集民215号639頁. 裁判所ウェブサイト. https://www.courts.go.jp/hanrei/62571/detail2/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 健康保険法(大正11年法律第70号)第3条第7項. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/211AC0000000070 (閲覧日:2026年10月22日)
- 厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)第3条第2項. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 (閲覧日:2026年10月22日)
- 国民年金法(昭和34年法律第141号)第5条第7項. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141 (閲覧日:2026年10月22日)
- 裁判所. 内縁関係調整調停. https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_19/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 厚生労働省. その他の相談先(法テラス・サポートダイヤル). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_sonota.html (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。