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プレ男友だちが、3年付き合ってプロポーズもOKだった彼女に、急に「やっぱり結婚できない」って言われたんだって。指輪も式場の下見も済んでたのに…。

メル美婚約って、法律ではどういう扱いなんだろう。口約束だけでも守られるのかな。
今回は、婚約を破棄されたときの法律です。民法の条文(e-Gov法令検索)と、最高裁判所の判例(裁判所ウェブサイトの判示事項・裁判要旨)で確かめました。
この記事は一般的な解説で、法律相談の代わりにはなりません。具体的な事情によって結論は変わります。もめているときは、弁護士や法テラス(サポートダイヤル 0570-078374)に相談してください。
民法には「婚約」の条文がない
- 民法の第4編「親族」には結婚(婚姻)についての規定がありますが、e-Gov法令検索の民法の本文を調べると、「婚約」という言葉そのものは出てきません
- それでも裁判所は、結婚の約束を「婚姻予約」と呼び、正当な理由なく破られた場合には、損害賠償(慰謝料)の対象になる約束として扱ってきました
- 損害賠償のもとになる条文は、民法709条(故意または過失で他人の権利や法律上保護される利益を侵害した者は、損害を賠償する)と、710条(財産以外の損害、つまり精神的な苦痛も賠償する)です
最高裁(昭和38年):結納も同棲もなくても、慰謝料を認めた
最高裁判所第一小法廷 昭和38年9月5日判決(昭和37年(オ)第1200号 慰藉料請求事件)の裁判要旨は、おおよそ次のとおりです。
- 当事者が、真実夫婦として共同生活を営む意思で結婚を約束し、長い期間にわたって関係を続けていたなどの事情のもとで
- 一方が正当の理由なくこれを破棄したときは
- たとえ、その関係を両親や兄弟に打ち明けていなくても、世間の習慣にしたがって結納をかわしていなくても、同棲していなくても
- 相手方は、慰謝料を請求できる

プレ男結納や同棲がなくても認められることがあるんだ。「形式」より「本気で結婚の約束をしていたか」が大事なんだね。

メル美うん。ただ、判決は「原審が認めた事情のもとで」という言い方をしているから、どんな場合でも認められるわけじゃないよ。
- 判決が重く見ているのは、「真実夫婦として共同生活を営む意思」で約束していたかどうかと、破棄に「正当の理由」があるかどうかです
- どんな理由なら「正当」なのかは、事件ごとの事情で判断されます。この記事では、個別の理由の当てはめまでは扱いません
結納は返す?返さない?(最高裁 昭和39年)
最高裁判所第二小法廷 昭和39年9月4日判決(昭和38年(オ)第1124号 物品等返還結納金等請求事件)の裁判要旨:
- 挙式後8か月余り夫婦生活を続け、その間に婚姻届も出して法律上の結婚が成立した場合には
- その後、結納を受けとった妻の申し出で協議離婚することになっても
- 妻は、その結納を返す義務はない
参照法条には、民法第4編第2章(婚姻)とともに、民法703条(法律上の原因なく利益を受けた人は、その利益の残っている限度で返す義務を負う=不当利得)が挙げられています。

メル美結婚が成立して、実際に夫婦として暮らしたなら、結納の目的は果たされた、ということだね。
- 逆に、結婚まで進まずに婚約が解消された場合に結納をどうするかは、この判決は直接は判断していません
- 婚約指輪や、付き合っていたころのプレゼントの考え方は、別れた相手に「プレゼントを返して」と言われたらの記事にまとめています
話し合いがつかないときは、家庭裁判所の調停も
- 家事事件手続法244条では、家庭裁判所は「人事に関する訴訟事件その他家庭に関する事件」について調停を行うとされています。調停をすることができる事件で訴えを起こそうとする人は、まず家事調停を申し立てるのが原則です(257条、調停前置主義)
- 最高裁は昭和37年12月25日の判決(昭和35年(オ)第365号)で、婚姻予約不履行を理由とする慰謝料請求事件は、当時の家事審判法17条のいう「家庭に関する事件」にあたる、と判断しています
- 調停の申立書の書式や費用は、裁判所ウェブサイトの「慰謝料請求調停」などのページで案内されています。どの手続が合うかは、家庭裁判所の窓口や弁護士に確認してください
婚約をめぐるトラブルで、してはいけないこと
- 破棄された側でも、「払わないと会社にばらす」などとおどしてお金を払わせると、恐喝罪になりえます。権利があっても、方法が行きすぎると違法になる、というのが最高裁の考え方です。くわしくは「慰謝料を払え、払わないとばらす」は恐喝?で
- 別れた相手に何度もLINEを送る、家の前で待ち伏せする、といった行為はストーカー規制法の対象になりえます

最高裁は、結納をかわしていなくても、同棲していなくても、真剣な婚約を正当な理由なく破棄された人は慰謝料を請求できる、と判断しています。
まとめ
- 民法には「婚約」の条文はないが、裁判所は結婚の約束(婚姻予約)を法律で守られるものとして扱ってきた
- 最高裁 昭和38年9月5日:真実夫婦として暮らす意思で結婚を約束していた相手が正当な理由なく破棄したら、結納・同棲・親への報告がなくても慰謝料を請求できる
- 最高裁 昭和39年9月4日:挙式後8か月余り夫婦として暮らし、婚姻届も出していたなら、離婚しても結納は返さなくてよい
- 話し合いがつかなければ家庭裁判所の調停。おどして払わせるのは恐喝になりうる
- 事実婚(内縁)を解消するときは内縁・事実婚の解消と法律、結婚・離婚全体は結婚・離婚・浮気の法律もどうぞ
- 困ったら弁護士や法テラス(0570-078374)へ
参考文献
- 民法(明治29年法律第89号)第703条、第709条、第710条、第4編第2章. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 (閲覧日:2026年10月22日)
- 最高裁判所第一小法廷 昭和38年9月5日判決(昭和37年(オ)第1200号 慰藉料請求事件). 民集17巻8号942頁. 裁判所ウェブサイト. https://www.courts.go.jp/hanrei/54939/detail2/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 最高裁判所第二小法廷 昭和39年9月4日判決(昭和38年(オ)第1124号 物品等返還結納金等請求事件). 民集18巻7号1394頁. 裁判所ウェブサイト. https://www.courts.go.jp/hanrei/53846/detail2/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 最高裁判所第三小法廷 昭和37年12月25日判決(昭和35年(オ)第365号 婚姻予約不履行に基づく慰藉料請求事件). 集民63号939頁. 裁判所ウェブサイト. https://www.courts.go.jp/hanrei/65866/detail2/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 家事事件手続法(平成23年法律第52号)第244条、第257条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/423AC0000000052 (閲覧日:2026年10月22日)
- 裁判所. 慰謝料請求調停. https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_05/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 厚生労働省. その他の相談先(法テラス・サポートダイヤル). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_sonota.html (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。