プレイヤーの法律THE RULEBOOK

RULE 04.17Nightlife & Money

「おれの女に手を出したな、金を払え」(美人局)も、「慰謝料を払え、払わないと会社にばらす」も恐喝罪になりうる:恐喝は10年以下の拘禁刑、未遂も処罰。最高裁は、本当に権利がある場合でも、取り立ての方法が社会通念上ゆるされる程度をこえれば恐喝罪・脅迫罪になるとしている

2026年10月22日 時点

飲み会やアプリで知り合った相手とホテルへ。そこへ「彼氏」を名乗る男が現れて「どうしてくれるんだ、金を出せ」——いわゆる美人局(つつもたせ)です。おどしてお金を出させるのは恐喝罪(刑法249条、10年以下の拘禁刑)で、未遂も罰せられます(250条)。2人以上で共同して実行すれば全員が正犯です(60条)。では、浮気をされた側が「慰謝料を払え、払わないと会社や家族にばらす」と迫るのは?最高裁は昭和27年、権利を持つ人がそれを実行するのは、権利の範囲内で、方法が社会通念上一般に忍容すべき程度をこえない限り違法ではないが、それをこえれば恐喝罪・脅迫罪が成立することがあるとしました。条文と判例の原文で確かめました。

目次
  1. 恐喝罪の条文
  2. 美人局は「2人で組んだ恐喝」
  3. 本当に権利があっても、方法しだいで恐喝・脅迫に(最高裁)
  4. おどされたら、どうする?
  5. まとめ

プレ男先輩が、バーで仲よくなった女の子とホテルに行ったら、あとから「彼氏」って男が出てきて「慰謝料100万払え」って言われたらしい…。払うしかないのかな。

メル美それ、「美人局(つつもたせ)」かも。反対に、浮気された人が「払わないとばらす」って迫るのはどうなんだろう。

今回は、おどしてお金を払わせる「恐喝罪」です。刑法の条文(e-Gov法令検索)と、最高裁判所の判例(裁判所ウェブサイトの裁判要旨)で確かめました。

この記事は一般的な解説で、法律相談の代わりにはなりません。おどされているときは警察(相談は #9110、危険なときは110番)へ。お金の請求をどう扱うかは、弁護士や法テラス(サポートダイヤル 0570-078374)に相談してください。

恐喝罪の条文

罪 条文 罰則
恐喝罪 刑法249条1項「人を恐喝して財物を交付させた者」 10年以下の拘禁刑
恐喝罪(利益) 249条2項 同じ方法で「財産上不法の利益」を得た、または他人に得させた者 同じ
未遂 250条 この章の罪の未遂は罰する ―
脅迫罪 222条 生命・身体・自由・名誉・財産に害を加えると伝えて脅迫した者 2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金

美人局は「2人で組んだ恐喝」

プレ男「自分も悪いことをしたから」と思って、だまって払っちゃう人もいそう…。

メル美はずかしくても、おどされてお金をとられそうなら警察に相談していいんだよ。その場で払わないこと、相手とのやりとりを残しておくことも大事だね。

本当に権利があっても、方法しだいで恐喝・脅迫に(最高裁)

浮気をされた人が、相手に慰謝料を請求すること自体は、民法の不法行為(709条)にもとづく正当な請求になりえます。でも、取り立て方には限界があります。

最高裁判所第三小法廷 昭和27年5月20日判決(昭和26年(れ)第2482号 恐喝被告事件)の裁判要旨:

最高裁判所第三小法廷 昭和33年5月6日判決(昭和31年(あ)第469号 恐喝被告事件)も、権利行使の意図から出たものであっても、その手段が権利行使の方法として社会通念上一般に認容すべき程度を逸脱した恐喝手段を用いて、第三者に財産上不法の利益を得させた場合には、恐喝罪が成立する、としています。

メル美「払わないと会社にばらす」「家族に全部言う」と迫るのは、取り立て方として行きすぎになるおそれがあるんだね。請求したいときは、まず弁護士に相談しよう。

おどされたら、どうする?

最高裁は、本当に権利がある場合でも、取り立ての方法が社会通念上ゆるされる程度をこえれば、恐喝罪や脅迫罪が成立することがあるとしています。

まとめ


参考文献

  1. 刑法(明治40年法律第45号)第60条、第222条、第249条、第250条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045 (閲覧日:2026年10月22日)
  2. 民法(明治29年法律第89号)第709条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 (閲覧日:2026年10月22日)
  3. 最高裁判所第三小法廷 昭和27年5月20日判決(昭和26年(れ)第2482号 恐喝被告事件). 集刑64号575頁. 裁判所ウェブサイト. https://www.courts.go.jp/hanrei/64812/detail2/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
  4. 最高裁判所第三小法廷 昭和33年5月6日判決(昭和31年(あ)第469号 恐喝被告事件). 刑集12巻7号1336頁. 裁判所ウェブサイト. https://www.courts.go.jp/hanrei/50529/detail2/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
  5. 警察庁. 令和2年版 警察白書 第2章第3節 第3項 相談業務の充実強化(警察相談専用電話「#9110」). https://www.npa.go.jp/hakusyo/r02/honbun/html/w2233000.html (閲覧日:2026年10月22日)
  6. 厚生労働省. その他の相談先(法テラス・サポートダイヤル). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_sonota.html (閲覧日:2026年10月22日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。