
プレ男山で寝てたら喉をなめられた…!?それだけでこわい!

メル美中国の怪談をもとにしたお話なんだって。こわいけど、ちょっとかなしい結末なの。
今回は、田中貢太郎の怪談「狼の怪」(おおかみのかい)です。青空文庫の本文(底本:河出文庫『中国の怪談(一)』、底本の親本:桃源社『支那怪談全集』)で読みました。本文中の「」の言葉は、青空文庫の本文からの引用です。
山で日が暮れて
- 若い猟師の章は、獣を追っているうちに、深い山で日が暮れてしまいました。谷川と絶壁ばかりで、夜は下りることができません
- 大きな岩の下に弓と、兎を二匹入れた袋をたてかけ、残りの餅を食べます。遠くで獣の吼える声がもの凄く聞こえました
- やがて円い大きな月がのぼり、章は矢筒を枕にして眠ってしまいました
喉元をなめたのは
- ぐっすり眠っていた章は、何者かに喉元をなめられたような気がして、手で払いのけようとしました。そのひょうしに、手の先に生き物のあたたかさを感じて、力を入れてにぎりしめます
- 目をさますと、青い衣を着た小柄な若い女が、片手をつかまれてそばに倒れていました。「赦してください、赦してください」
- 女は、すぐ前の谷陰に住んでいる者で、月がきれいなので、ふらふら歩いてきた、と言います。「どうも悪うございました、つい悪戯をいたしました」
- そこへ、二十七、八に見える背の高い女が、娘をさがしにきました。娘の乳母でした。「お嬢さんは、まだねんねえでございますから」

プレ男いたずら好きのお嬢さんと、世話やきの乳母さん…。なんだか楽しそうな二人だね。
谷の家で
- 乳母にさそわれて、章は谷のくぼ地の家に泊まることになりました。門の前には谷水が流れ、石橋がかかっています
- 二人は、肉を盛った鉢を出してもてなし、自分たちも、遠慮なく、無邪気に肉を食べました。村の女のあいだでは見られないような無邪気さでした
- 乳母は語ります。お嬢さんの父は立派な人だったが、わけがあって、娘が生まれたばかりのときにこの山に入り、まもなく父も母も亡くなった。それから自分ひとりで世話をしてきた。お嬢さんはもう17、よい縁があれば嫁がせたい。しっかりした男の友だちがほしい——
- 親も兄弟もない独身の貧しい猟師だった章は、二人といっしょに暮らすことにしました
毎日出かける二人
- 章が昼に狩りに出て、夕方に鳥や獣を持って帰ると、三人で食事をします。二人はいつも無邪気に物を食べました
- けれど、二人は昼間、どこかへ出かけていきます。章がとってきていない鳥獣の肉がたくさんあることもありました
- たずねると、乳母は、向かいの山にお嬢さんの叔母が隠れ住んでいて、そこへ遊びに行くのだ、と答えます
- 章は、その山へ行き来する道に、いつも狼が出ることを思いだしました。「あぶないですよ」と送っていくと言っても、二人は「慣れておりますから大丈夫」と聞きいれません

メル美章は、二人を心配して言ってるんだよね…。
毒をしかけた道で
- 章は、自分の手で狼をなくそうと考えました。狩りの帰りに射止めた鹿の肉を切って、矢につける毒をぬり、二人が行き来する道においたのです
- 次の日、章が狩りから帰ると、家にはだれもいません。夜になっても、朝になっても、二人は帰ってきませんでした
- 章は、向かいの山のほうへ谷をくだっていきます。毒をぬった鹿の肉をおいた、岩のならんだところで、ふと岩のあいだに目をやると——見覚えのある着物を着た二人の姿が横たわっていました
- かけよってみると、それは、着物を着た二匹の狼でした

田中貢太郎の「狼の怪」で、章が狼を退治しようと毒をしかけた道に横たわっていたのは、見覚えのある着物を着た二匹の狼でした。いっしょに暮らしていた娘と乳母の正体は、狼だったのです。
まとめ
- 「狼の怪」は田中貢太郎の怪談。中国の怪談をもとにした話
- 山で眠っていた猟師章の喉元をなめたのは、青い衣の無邪気な娘
- 乳母と二人きりで谷陰に暮らす娘と、いっしょに住むことになった章
- 毎日出かける二人と、章がとってこない肉
- 狼を退治しようと毒をしかけた道に、着物を着た二匹の狼
- 田中貢太郎の義猫の塚、岩魚の怪、『遠野物語』の猿の経立・御犬の経立もどうぞ
参考文献
- 田中貢太郎. 狼の怪(底本:『中国の怪談(一)』河出文庫). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/000154/card1627.html (閲覧日:2026年10月12日)
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