大人の教養An Evening of Culture

第一幕Act I — Love & Letters

太宰治『おさん』「たましいの、抜けたひとのように、足音も無く玄関から出て行きます」——戦後の東京、ほかの女を愛しはじめた夫を見送る妻のひとり語り。「ひとを愛するなら、妻を全く忘れて、あっさり無心に愛してやって下さい」

No.1032026年10月12日

太宰治の短編『おさん』(1947年10月『改造』初出)。戦争で家財を焼かれ、三人の子どもをかかえる妻が語ります。やさしかった夫は、雑誌社の仕事を失い、夕方になると「たましいの抜けたひと」のように家を出て、外泊するようになりました。顎の下の「むらさき色の蛾」のようなあざ。巴里祭のラジオに涙ぐむ夫。妻は「昔の紙治のおさん」の嘆きの歌を思い出します。「女房のふところには鬼が棲むか、蛇が棲むか」。そして、夫は信州へ旅立ちました。青空文庫の本文で紹介します。

目次
  1. 「たましいの、抜けたひとのように」
  2. 「よい夫、やさしい夫でした」
  3. むらさき色の蛾
  4. 「女房のふところには」
  5. 「いいのよ、いいのよ」
  6. さるすべり
  7. 「呆れかえった馬鹿々々しさ」
  8. まとめ

メル美太宰治の『おさん』は、浮気をしている夫を、妻の目から語る小説なの。

プレ男妻の目から…。読むのがちょっとこわいな。

今回は、太宰治の短編『おさん』です。青空文庫の本文(底本:ちくま文庫『太宰治全集9』)で読みました。初出は『改造』1947年(昭和22年)10月です。本文中の「」の言葉は、青空文庫の本文からの引用です。

※この作品には、心中(二人が一緒に命を絶つこと)の場面がえがかれています。

「たましいの、抜けたひとのように」

「よい夫、やさしい夫でした」

むらさき色の蛾

プレ男浮気のあとを見つけられた日に、フランス革命の話をして泣くって…。

「女房のふところには」

女房のふところには
鬼が棲むか
あああ
蛇が棲むか

「いいのよ、いいのよ」

メル美「君の事ばかり思っている」と言われるほうが、かえってつらい…。妻の本音が痛いね。

さるすべり

「呆れかえった馬鹿々々しさ」

『おさん』の妻は、「昔の紙治のおさん」の嘆きの歌を思い出しながら、「革命は、ひとが楽に生きるために行うものです。悲壮な顔の革命家を、私は信用いたしません」と語ります。

まとめ


参考文献

  1. 太宰治. おさん(底本:『太宰治全集9』ちくま文庫、筑摩書房). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/card305.html (閲覧日:2026年10月12日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。