
プレ男70代の祖父が、ここ2週間くらいで急に両肩と太ももが痛くなって、朝は布団から起き上がれないって。熱も少しあるみたい。午後になると少し楽になるらしいんだけど。

メル美年のせいの筋肉痛にしては、急すぎるよね…。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、高齢の人に多い「リウマチ性多発筋痛症」の話です。日本リウマチ財団の「リウマチ情報センター リウマチ性多発筋痛症」(令和4年8月更新)をもとにまとめました。
どんな病気?
- 発熱と、首のうしろ・肩・腰やおしりの筋肉の痛みと朝のこわばり、体に力が入りにくいことが特徴の病気です
- 血液検査でCRPの上昇や赤沈の亢進などの炎症の値がみられます
- 原因はわかっていませんが、リウマチ・膠原病のなかまで、免疫の異常による炎症が関係すると考えられています
どんな人に多い?
- 一般に50歳以上で発症し、年齢とともに増えて70〜80歳がピークです。子どもには起こりません
- 男女比は1対2〜3で、女性に多いようです
- 日本の有病率は、人口の0.1%程度とされ、決してまれな病気ではありません
症状
- 比較的急に始まり、2週間以内に典型的な症状がそろうことが多いです
- 全身の症状:38℃台までの発熱(80%)、食欲不振(60%)、体重減少(50%)、だるさ(30%)、抑うつ症状(30%)など
- 筋肉の症状:両肩(70〜95%)、首、おしり(50〜70%)、腰、太ももなどの痛みとこわばり。筋力そのものは落ちていませんが、強いこわばりと痛みで、手足が固まって力が入らない、動かせないと感じます。腕や太ももを軽く握られるだけでも痛みます
- これらの症状は朝起きたときがいちばん強く、なかなか起き上がれません。午後にはある程度軽くなるのが特徴です

プレ男急に始まって、両肩が痛くて、朝がいちばんつらくて午後は楽…祖父の症状は、この病気の特徴に当てはまるんだ。
注意したい「巨細胞性動脈炎」
- 日本人では高くて20%程度に、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)が合併します
- こめかみを中心とした頭痛、こめかみの血管が浮き出て脈打つ・さわると痛い、視力の低下、食べているとあごが痛くなる・かめなくなるなどの症状がみられることがあります
診断
- 似た症状はほかの病気でもみられ、この病気だけに出る検査結果もないため、診断は簡単ではありません
- 年齢、症状の出方、炎症の値などをもとに、肩や股関節の超音波(エコー)検査を取り入れた欧州・米国リウマチ学会の基準などに照らして診断します。関節リウマチなどの似た病気を十分に除外する必要があります
治療
- ステロイドが劇的な効果を示し、多くは飲み始めて1〜3日以内に効果がみられます
- 効果があっても、一定期間(2〜3週)は初めの量を続けて炎症を完全に抑え、症状や炎症の値をみながら少しずつ減らします
- 早く減らすと再発しやすく、とくに日本人は欧米人より再発しやすいため、減量は慎重に行います。よく効くからといって自分の判断で減らしたりやめたりすると、再び悪くなります。必ず医師の指示どおりに飲みましょう
- 巨細胞性動脈炎が合併した場合は、より多い量のステロイドが必要になります
見通しと生活の注意
- 巨細胞性動脈炎の合併がなければ、見通しは比較的よく、筋肉や関節が壊れたり、臓器が傷んだりすることはありません
- ステロイドの副作用(感染症、糖尿病、高血圧、脂質異常症、骨粗しょう症、緑内障、白内障、筋肉の減少など)を最小限にする予防、とくに骨粗しょう症の対策が必要です
- 年齢を考え、診断のときにはがんの検査も必要とされています

リウマチ性多発筋痛症にはステロイドがよく効きますが、日本人は再発しやすいため、減量は慎重に行います。自分の判断で減らしたりやめたりせず、必ず医師の指示どおりに飲みましょう。
- 関節の病気は関節リウマチ、肩の痛みのほかの原因は肩の痛み、五十肩とはかぎらないの記事もどうぞ

メル美年のせいと決めつけないで、早めに病院で見てもらおうね。
まとめ
- 50歳以上、とくに70〜80歳に多い。女性に多い
- 急に、両肩・首・おしりの痛みと朝のこわばり。発熱・食欲不振も
- 朝がいちばんつらく、午後は軽くなる
- ステロイドがよく効く。自己判断で減らすと再発しやすい
- こめかみの頭痛・視力低下・かむとあごが痛むは巨細胞性動脈炎に注意
参考文献
- 日本リウマチ財団 リウマチ情報センター. リウマチ性多発筋痛症(情報更新:令和4年8月). https://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/illness/pmr/ (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。