【テクノロジー解説】「量子ドット」ってなに?大きさだけで色が変わる、数千個の原子でできた小さな結晶。小さい粒ほど、より青い光を吸収する。テレビの「QLED」やLED照明、がんの手術の道しるべにも(2023年ノーベル化学賞)
量子ドットは、数千個ほどの原子でできた、とても小さな結晶です。大きさの関係は、サッカーボールと地球の関係と同じくらい。ふつう物質の性質は原子の種類で決まりますが、ナノの大きさになると「量子効果」で、粒の大きさによって色が変わります。1980年代はじめにエキモフ博士が色ガラスの中で、数年後にブルース博士が液体の中で量子効果を確かめ、1993年にバウェンディ博士がほぼ完璧な粒をつくる方法を開発しました(2023年ノーベル化学賞)。いまでは「QLED」のテレビやパソコンの画面、LED照明、生体組織の画像などに使われています。

プレ男テレビ売り場で「QLED」って書いてあったんだけど、あれって何?

メル美「量子ドット」っていう技術らしいよ。ノーベル賞もとったんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 「テクノロジー解説」、今回は量子ドットです。2023年のノーベル化学賞の発表と一般向け解説をもとにまとめました。
量子ドットは「とても小さな結晶」
- 量子ドットは、数千個ほどの原子でできた、とても小さな結晶です
- その大きさは、サッカーボールと地球の関係が、量子ドットとサッカーボールの関係と同じくらい、というほどの小ささです(直径は数ナノメートル)
大きさで、色が変わる
- 化学を学ぶと、物質の性質は「原子がもつ電子の数」で決まる、と習います
- ところが、物質がナノの大きさ(1ミリの100万分の1ほど)までちぢむと、「量子効果」があらわれ、大きさによって性質が変わるようになります
- 量子ドットのいちばん大事な性質は、大きさによって色が変わることです。エキモフ博士の実験では、粒が小さいほど、より青い光を吸収しました
- 同じ物質なのに、大きさだけで色をつくりわけられるのです

プレ男同じ物質で、大きさを変えるだけで色が変わるの!?絵の具じゃありえないね。
色ガラスの謎から始まった
- 色ガラスは、何千年も前からつくられてきました。ふしぎなことに、同じ物質を入れても、つくり方によってちがう色のガラスになることがありました
- 1980年代はじめ、アレクセイ・エキモフ博士は、塩化銅を入れたガラスを、温度や時間を変えてつくりました。ガラスの中にできた塩化銅のナノ粒子の大きさが、量子効果でガラスの色を変えていることを示しました
- その数年後、ルイス・ブルース博士は、液体の中にただよう粒子でも、大きさによる量子効果が起きることを、世界ではじめて証明しました
- 1993年、ムンジ・バウェンディ博士は、量子ドットを化学的につくる方法を大きく改良し、ほぼ完璧な粒をつくれるようにしました。これで、製品に使える品質になりました
どこに使われている?
ノーベル賞の発表によると、
- QLED のしくみを使ったパソコンのモニターやテレビの画面を照らしています
- 一部の LED 照明の光に、色合いを加えています
- 生化学者や医師が、生体組織の地図をつくるのに使っています。がんの組織を取りのぞく手術で、外科医の道しるべになることもあります
- 将来は、曲げられる電子機器、小さなセンサー、薄い太陽電池、暗号化された量子通信などにも役立つ可能性がある、としています

量子ドットは、数千個ほどの原子でできた小さな結晶で、大きさによって色が変わります。テレビの画面やLED照明、医療の画像などに使われています。
光の技術つながり
- 照明を変えた:青色LEDってなに?
- 量子の世界のふしぎ:量子コンピューターの土台「量子力学」ってなに?
- 光を電気の信号に変える:CMOSセンサーってなに?

プレ男テレビのきれいな色が、ナノの粒の大きさでつくられてたなんて。

メル美古代の色ガラスの謎がヒントになったのもロマンがあるね。
分子の大きさで「機械」をつくった研究は、「分子マシン」ってなに?へ。
まとめ
- 量子ドットは、数千個ほどの原子でできた小さな結晶
- 量子効果で、大きさによって色が変わる(小さい粒ほど、より青い光を吸収)
- 1980年代にエキモフ博士(色ガラス)、ブルース博士(液体中)が発見。1993年にバウェンディ博士がほぼ完璧な粒をつくる方法を開発
- QLED のテレビ・モニター、LED 照明、医療の画像などに
- 2023年ノーベル化学賞
参考文献
- The Royal Swedish Academy of Sciences. Press release: The Nobel Prize in Chemistry 2023. NobelPrize.org. https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/2023/press-release/ (閲覧日:2026年10月7日)
- The Royal Swedish Academy of Sciences. Popular science background: They added colour to nanotechnology (PDF). https://www.nobelprize.org/uploads/2023/12/popular-chemistryprize2023-3.pdf (閲覧日:2026年10月7日)
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