
プレ男40代の叔父が、しゃべりにくくなって、食事のときによくむせるんだって。顔の筋肉がぴくぴくして、胸も少しふくらんできたらしい。母方の祖父も同じような症状だったって。

メル美男性の家族に同じような症状が出ているのは、何か関係があるのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、球脊髄性筋萎縮症(SBMA、ケネディ病)の話です。難病情報センターの「球脊髄性筋萎縮症」(令和7年12月更新、神経変性疾患領域の研究班)をもとにまとめました。
どんな病気?
- 脳の一部や脊髄の運動神経の細胞が障害され、しゃべる・飲みこむときに使う筋肉や舌の筋肉、手足の筋肉がやせる(萎縮する)病気です
- Kennedy(ケネディ)病とも呼ばれます
どんな人に起こる?
- 日本全国で2,000〜3,000人くらいと推定されています
- 男性だけが発症し、ふつう30〜60歳ごろに始まります。女性は症状がないか、生活に支障のないごく軽い運動機能の低下にとどまります
原因と遺伝
- 男性ホルモン(アンドロゲン)を受け取る「アンドロゲン受容体」というたんぱく質の遺伝子に変化があることがわかっています。発症には男性ホルモンが深くかかわっていると考えられています
- この遺伝子はX染色体にあります
- 患者さんの息子は発病しません
- 患者さんの娘は必ず保因者(変異をもつが発症しない)になります
- 保因者の女性から生まれた男の子は、2分の1の確率で病気になります
症状
- しゃべりにくい
- 食事のときにむせやすい
- 顔がぴくつく
- 手足がやせて力が入らない
- 男性ホルモンの作用が少し落ちるため、乳房が大きくなることもあります(男性の胸のふくらみ)

プレ男母方の祖父と叔父…保因者の女性から男の子に伝わる形と合っているのかもしれないんだ。
治療と経過
- 男性ホルモンの分泌を抑える薬が、進行を抑える治療として承認されています。ロボットスーツを使った歩行のリハビリも保険で行えます
- 症状はゆっくり進みます。40歳代くらいで発症した人では、10年程度でむせやすくなり、15年程度で車いすの生活になることが多いようです
- むせが強くなると、食べ物が気管に入って誤嚥性肺炎を起こしやすくなります
日常生活の注意
- 手足を適度に動かすことは、使わないことによる筋肉のやせの予防になり重要です
- むせやすい場合は、水分にとろみをつけるなど、食べ物の形を工夫することが、誤嚥性肺炎の防止につながります
- 同年代にくらべて骨密度が低く、とくに足の指を骨折することが多いため、転倒に十分注意しましょう

球脊髄性筋萎縮症は、男性だけに起こり、しゃべりにくさや食事のときのむせ、手足の筋肉のやせが、ゆっくり進む病気です。むせやすいときは水分にとろみをつけるなど食べ物を工夫し、骨折しやすいので転倒に注意しましょう。
- 運動神経が傷むほかの病気はALS、男性ホルモンの働きはテストステロンの働きの記事もどうぞ

メル美家族の症状のことも伝えて、脳神経内科で相談してもらおうね。
まとめ
- 男性だけに起こる、運動神経の病気。30〜60歳ごろに発症
- アンドロゲン受容体の遺伝子の変化が原因。X染色体で伝わる
- しゃべりにくい・むせる・顔がぴくつく・手足がやせる、乳房が大きくなることも
- 男性ホルモンを抑える薬で進行を抑える。症状はゆっくり進む
- とろみで誤嚥を防ぐ。骨密度が低いので転倒に注意
参考文献
- 難病情報センター. 球脊髄性筋萎縮症(指定難病1)(情報更新日:令和7年12月、神経変性疾患領域における医療水準と患者QOLの向上を目指した基盤研究班). https://www.nanbyou.or.jp/entry/73 (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。