
メル美引っ越しで部屋を出るとき、「壁紙が日焼けしてるから張りかえ代を敷金から引く」って言われたの。ふつうに住んでただけなのに…。

プレ男民法に、退去のときのルールが書いてあるらしいよ。
今回は、賃貸の退去と敷金・原状回復です。民法(明治29年法律第89号)の条文をe-Gov法令検索で確認しました。この記事は一般的な情報です。契約書に特約があることもあるので、実際のトラブルは、消費生活センター(消費者ホットライン188)や弁護士などに相談してください。
原状回復のルール(民法621条)
条文はこうです。
賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
かみくだくと、こうなります。
| 部屋の傷み | 借りた人が直す? |
|---|---|
| 借りたあとに生じた損傷 | 原則として直す(原状回復) |
| 通常の使用でできた損耗(ふつうに住んでいてできる傷み) | 直さなくてよい |
| 経年変化(年月がたつことによる劣化) | 直さなくてよい |
| 借りた人の責任ではない理由による損傷 | 直さなくてよい |

プレ男「通常の使用」と「経年変化」は、借りた人の負担じゃないって、はっきり書いてあるんだ。
- どの傷みが「通常の使用」か「経年変化」かは、条文に一つずつは書かれていません。入居のときと退去のときに、部屋の写真を残しておくと、話しあいの材料になります
敷金は「差し引いた残り」を返す(民法622条の2)
- 敷金とは、「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」です。「保証金」などの名前でも、この目的なら敷金です
- 貸す人は、次のとき、受けとった敷金から、借りた人の未払いの家賃などの債務を差し引いた残りを、返さなければなりません
- 賃貸借が終わり、かつ、部屋の返還を受けたとき
- 借りた人が、適法に賃借権をゆずりわたしたとき
- 借りた人が家賃などを払わないときは、貸す人は、敷金をその支払いにあてることができます。いっぽう、借りた人のほうから「敷金を家賃にあてて」と請求することはできません(2項)
修繕は、原則として貸す人(民法606条)
- 貸す人は、部屋を使うのに必要な修繕をする義務を負います。ただし、借りた人の責任で修繕が必要になったときは別です
- 借りた人が、本来は貸す人が負担すべき必要費(修繕の費用など)を出したときは、貸す人に、ただちに返すよう請求できます(608条)
契約書の「特約」は?
- 契約書に、原状回復について特別な取り決め(特約)が書かれていることもあります。どこまで有効かは、特約の内容や、説明を受けたかどうかなど、事情によります
- 消費者と事業者の契約で、消費者の利益を一方的に害する条項は、消費者契約法によって無効になることもあります

メル美明細をもらって、条文と照らしあわせてみる。納得できなければ、188に相談してみよう。

民法621条によると、借りた人の原状回復の義務からは、通常の使用でできた損耗と経年変化がのぞかれています。敷金は、未払いの家賃などを差し引いた残りを返すのが原則です(622条の2)。
まとめ
- 退去のとき、借りた人は借りたあとの損傷を元にもどす(民法621条)
- ただし、通常の使用による損耗と経年変化、借りた人に責任のない損傷はのぞかれる
- 敷金は、名目を問わず家賃などの担保に預けるお金。部屋を返したら、未払い分を差し引いた残りを返す(622条の2)
- 修繕の義務は、原則として貸す人(606条)
- 入居・退去のときの写真を残し、こまったら消費者ホットライン188へ
- 契約の基本は18歳の契約、クーリング・オフもどうぞ
参考文献
- 民法(明治29年法律第89号)第606条・第608条・第621条・第622条の2. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 (閲覧日:2026年10月12日)
- 消費者庁. 消費者ホットライン. https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/ (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。