大人の教養An Evening of Culture

第一幕Act I — Love & Letters

谷崎潤一郎『刺青』江戸の若い刺青師・清吉が5年待ちつづけた、駕籠の簾からこぼれた「真っ白な女の素足」。眠らせた娘の背に彫りこんだのは、巨大な女郎蜘蛛。目ざめた娘は言った——「お前さんは真先に私の肥料になったんだねえ」

No.1072026年10月12日

谷崎潤一郎のデビュー期の短編『刺青』(1910年11月『新思潮』初出)。「すべて美しい者は強者であり、醜い者は弱者であった」江戸の世。浮世絵師くずれの刺青師・清吉の宿願は、光りかがやく美女の肌に自分の魂を彫りこむことでした。深川の料理屋の前で見かけた素足の持ち主を、清吉は足かけ5年待ちつづけます。あらわれたのは16か17の娘。清吉は暴君の寵妃の絵と「肥料」と題した絵を見せ、麻酔の薬で眠らせて、その背に一晩かけて女郎蜘蛛を彫りあげました。青空文庫の本文で紹介します。

目次
  1. 「美しい者は強者であり」
  2. 刺青師・清吉
  3. 5年待った「素足」
  4. 2本の巻物
  5. 女郎蜘蛛
  6. 「真先に私の肥料に」
  7. まとめ

メル美谷崎潤一郎の『刺青』は、「しせい」って読むんだって。

プレ男タトゥーの話?江戸時代が舞台なの?

今回は、谷崎潤一郎の短編『刺青』(しせい)です。青空文庫の本文(底本:中公文庫『潤一郎ラビリンス——初期短編集』)で読みました。初出は『新思潮』1910年(明治43年)11月号です。本文中の「」の言葉は、青空文庫の本文からの引用です。

※この作品には、16、7歳の娘を薬で眠らせ、本人の同意なく刺青を彫る場面がえがかれています。

「美しい者は強者であり」

刺青師・清吉

5年待った「素足」

プレ男足だけで5年も待っていたなんて…。執念がすごい。

2本の巻物

女郎蜘蛛

「真先に私の肥料に」

メル美おびえていた娘が、最後には清吉のほうを「肥料」と呼ぶ。力関係が、一晩で逆転しているんだね。

『刺青』の清吉は、「男と云う男は、皆なお前の肥料になるのだ」と言います。目ざめた娘は「お前さんは真先に私の肥料になったんだねえ」と答え、物語は朝日にかがやく女郎蜘蛛の刺青で終わります。

まとめ


参考文献

  1. 谷崎潤一郎. 刺青(底本:『潤一郎ラビリンス——初期短編集』中公文庫、中央公論社). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001383/card56641.html (閲覧日:2026年10月12日)

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