基礎知識2026年10月10日

梅毒やHIVと診断されたら、どこかに報告される?:医師は保健所に届け出る義務がある(感染症法)。でも梅毒とHIVの届出の用紙に、患者さんの名前や住所を書く欄はない。クラミジアや淋菌は、決められた医療機関が人数を報告するしくみ

性感染症と診断されたら、自分の名前がどこかに報告されるの?——感染症法では、梅毒やHIVなどを診断した医師は、保健所に届け出る義務があります。でも、厚生労働省が定める梅毒とHIV(後天性免疫不全症候群)の発生届の様式には、医師の名前や医療機関の欄はあっても、患者さんの名前や住所を書く欄はありません。書くのは性別、年齢、病型、感染経路、感染した地域などです。クラミジア、淋菌、性器ヘルペス、尖圭コンジローマは、指定された医療機関が数を報告する「定点報告」です。

目次
  1. 医師には、届け出る義務がある
  2. 梅毒の届出で書くこと
  3. HIVの届出で書くこと
  4. クラミジアや淋菌は「定点報告」
  5. 保健所から連絡が来ることはある?
  6. 会社や家族に知られる?
  7. まとめ

プレ男梅毒って、診断されたら保健所に報告されるって聞いたんだ。名前とか会社に知られたらどうしよう……。それがこわくて検査に行けない。

メル美実際には、どんなことが報告されるんだろう。

こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、性感染症と診断されたら、どこかに報告されるのかの話です。厚生労働省が定める「梅毒発生届」「後天性免疫不全症候群発生届(HIV感染症を含む)」の様式と、「感染症法に基づく医師の届出ハンドブック」をもとにまとめました。報告がこわくて検査を先のばしにするのが、いちばんもったいないです。

医師には、届け出る義務がある

厚生労働省の「感染症法に基づく医師の届出ハンドブック」によると、

届出は、どこでどれくらい感染が広がっているかを知り、対策に生かすためのものです。梅毒やHIVの届出の用紙には、患者さんの名前や住所の欄はありません。安心して検査を受けてください。

梅毒の届出で書くこと

厚生労働省の「梅毒発生届」の様式で、医師が書くのは、

様式に「氏名」が出てくるのは「医師の氏名」だけで、患者さんの名前や住所を書く欄はありません。

性風俗の従事歴・利用歴などのデータは、梅毒の届出と性風俗のデータにまとめています。

HIVの届出で書くこと

厚生労働省の「後天性免疫不全症候群発生届(HIV感染症を含む)」の様式も、医師の名前と医療機関のほか、患者さんの性別、診断時の症状やCD4値、感染経路、感染したと考えられる地域、国籍などを書くもので、患者さんの名前を書く欄はありません。

日本のHIVの報告の数字は、数字で見る日本のHIV(2025年)にまとめています。

プレ男名前は書かれないんだ。性別や年齢、どこで感染したか、みたいな情報なんだね。

クラミジアや淋菌は「定点報告」

(数字の見方は、数字で見る日本の性感染症(2024年)を見てください)

(更新)厚生労働省の届出様式(定点)の「別記様式6−4 感染症発生動向調査(STD定点)」は月報で、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症の4つについて、男女別・年齢階級別(0歳、1〜4歳、5歳ごと〜70歳以上)の人数と合計を書く様式です。調査期間と医療機関名の欄はありますが、患者さんの名前などを書く欄はありません。

保健所から連絡が来ることはある?

(更新)感染症法第15条(e-Govで2026年10月12日閲覧)では、都道府県知事は、感染症の発生の予防や、発生の状況・原因を明らかにするために必要があると認めるときは、職員に、五類感染症などの患者やその他の関係者に質問させ、必要な調査をさせることができると定めています(積極的疫学調査)。梅毒やHIVは五類感染症のため、この条文にもとづいて保健所から質問や調査があることはありえますが、実際にどのくらい本人に連絡が来るかは、自治体の運用によるもので、確認していません。

会社や家族に知られる?

まとめ


参考文献

  1. 厚生労働省. 梅毒発生届(別記様式5-17、PDF). https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/pdf/01-05-11-3-b.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
  2. 厚生労働省. 後天性免疫不全症候群発生届(HIV感染症を含む)(別記様式5-9、PDF). https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/pdf/01-05-07-3-b.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
  3. 厚生労働省. 感染症法に基づく医師の届出ハンドブック(PDF、日本性感染症学会ウェブサイト掲載). https://jssti.jp/pdf/kansen_handbook.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
  4. 厚生労働省. 感染症法に基づく医師の届出のお願い 届出様式(定点). https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001681369.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
  5. 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第15条(e-Gov法令検索). https://laws.e-gov.go.jp/law/410AC0000000114 (閲覧日:2026年10月12日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。