イギリスの梅毒対策計画(UKHSA、2026〜2029年):「予防・検査・治療・先天梅毒をなくす」の4本柱。梅毒は皮膚科・眼科・歯科などいろいろな診療科で見つかることも。異性間では梅毒の知識が少なく、診断が遅れがち
英国保健安全保障庁(UKHSA)が2026年3月に出した梅毒対策計画(UKHSA Syphilis Response Plan、2026〜2029年)をまとめました。イングランドの梅毒は2024年に1万3,000件をこえ、1940年代以来の多さです。計画は、予防、検査、治療、先天梅毒の排除の4本柱で、異性と性行為をする人で梅毒の知識が少なく、性の健康のクリニック以外を受診して診断や治療が遅れることがあると指摘しています。梅毒は、神経内科、産科、眼科、小児科、皮膚科、一般診療、歯科など、いろいろな診療科で見つかる可能性があります。治療していない妊婦の梅毒では、最大40%が死産や新生児の死亡になりうるとしています。

プレ男イギリスは梅毒をへらすために、どんな計画を立てているんだろう。

メル美日本も梅毒がふえているから、参考になりそうだね。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、イギリスの梅毒対策計画の話です。英国保健安全保障庁(UKHSA)の「UKHSA Syphilis Response Plan」(2026年3月)をもとにまとめました。イングランドの梅毒の数字は、イングランドの梅毒(UKHSA、2025年12月)を見てください。
1940年代以来の多さ
UKHSAによると、
- イングランドの梅毒は、2024年に1万3,000件をこえ、1940年代以来の多さでした
- 男性同士で性行為をする人に多い一方、異性と性行為をする男女でもふえ、セックスワーカーなど、ほかの困難を重ねてかかえる人たちでも感染が見られるとしています
- 2019年に出した計画を新しくし、2026〜2029年の3年間の取り組みをまとめました
4本の柱
計画は、次の4つの柱でできています。
- 予防:感染をへらし、格差をへらし、知ってもらう
- 検査:検査を受けやすくし、診断の見のがしをへらす
- 治療:治療につながる道すじをよくする
- 先天梅毒をなくす
異性間では、梅毒の知識が少ない
UKHSAによると、
- 異性と性行為をする人を対象にした研究で、梅毒についての知識が少なく、はじめに性の健康のクリニック以外を受診して、診断や治療が遅れることがわかりました
- そのため、社会全体と、とくに影響の大きい人たちに、梅毒のことを知ってもらうことを優先するとしています
- コンドームと、一生を通じた包括的な性教育も、梅毒やHIVをふくむ性感染症を防ぐ大切な手段だとしています

梅毒は、皮膚科や眼科、歯科など、いろいろな診療科で見つかることがあります。イギリスの計画では、性の健康の専門外の診療科にも梅毒を知ってもらい、早く見つけてつなぐことをめざしています。
いろいろな診療科で見つかる
UKHSAによると、
- 梅毒の症状は、神経内科、産科、眼科、小児科、皮膚科、一般診療、歯科など、いろいろな場所で見つかることがあります
- 性の健康の専門外の診療科でも梅毒を知ってもらい、早く見つけて、性の健康のクリニックにつなぐことが大切だとしています
- 目の梅毒(眼梅毒)や耳の梅毒(耳梅毒)などの合併症も、監視の対象になっています

プレ男目や耳の症状で梅毒が見つかることもあるんだね。
先天梅毒をなくす
UKHSAによると、
- 先天梅毒は完全に防げる病気です。イングランドでは、2023年に出生10万人あたり2.3件で、WHO欧州地域の目標(10万人あたり1件以下、年6件未満)に届いていません
- 治療していない場合、梅毒のある妊娠の最大40%が死産や新生児の死亡になりうるとしています
- すべての妊婦に、妊娠のたびに梅毒の検査をすすめるしくみがありますが、毎年、見のがしによる先天梅毒が起きているとしています
新しい道具
UKHSAによると、
- 2025年から、リスクの高い人へのドキシPEPの提供が始まり、その効果や、検査がへるなどの思わぬ影響を見ていくとしています
- 一生陽性が続く抗体ではなく、いまの感染を示す抗体を調べる、その場でできる新しい検査が出てきていて、確かめられれば、刑務所や出張のクリニックなどで、その日のうちに治療できる可能性があるとしています
- ワクチンの開発は、まだごく初期の段階です
症状のない梅毒は症状がないのに梅毒(無症候梅毒)、イングランドの2025年の数字はイングランドの性感染症(2025年)を見てください。
(更新)日本でも、ベンジルペニシリンベンザチン(ベンザチンペニシリンG)の筋肉注射が承認されています。添付文書(2021年9月作成)では、効能・効果は「梅毒(神経梅毒を除く)」で、成人の早期梅毒では240万単位を1回、後期梅毒では240万単位を週1回・計3回とされています。日本の飲み薬の治療とのちがいは確認していません。
まとめ
- イングランドの梅毒は1940年代以来の多さ。2026〜2029年の対策計画
- 予防・検査・治療・先天梅毒をなくすの4本柱
- 異性間では梅毒の知識が少なく、診断が遅れがち
- 梅毒は皮膚科・眼科・歯科など、いろいろな診療科で見つかる
- 先天梅毒は完全に防げる。妊娠のたびの検査を
参考文献
- UK Health Security Agency. UKHSA Syphilis Response Plan(March 2026). https://www.gov.uk/government/publications/syphilis-public-health-england-action-plan/ukhsa-syphilis-response-plan (閲覧日:2026年10月12日)
- ベンジルペニシリンベンザチン水和物 筋注用 添付文書(2021年9月作成 第1版). KEGG MEDICUS. https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00070099 (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
