宗教法人と税金:法人税は「34種類の収益事業」の所得にだけかかる。お守り・おみくじは「喜捨金」なら対象外、絵はがきや線香を通常の値段で売れば課税。住職の給料には源泉徴収、境内地は固定資産税が非課税
国税庁のパンフレット「宗教法人の税務」(2026年版)によると、宗教法人は、株式会社とちがって、物品販売業・不動産貸付業・駐車場業など34種類の「収益事業」から生じた所得にだけ法人税がかかります。お守り・お札・おみくじの頒布は、実質的な喜捨金と認められれば収益事業になりませんが、絵はがき・線香・ろうそくなどを通常の販売価格で売れば収益事業です。住職などへの給料には源泉徴収が必要で、地方税法では、本来の用に使う境内建物・境内地は固定資産税が非課税です。

プレ男「お寺や神社は税金がかからない」って聞くけど、本当なの?

メル美全部が非課税ってわけじゃないみたい。国税庁の資料を見てみよう。
今回は、宗教法人と税金です。国税庁のパンフレット「宗教法人の税務(令和8年版)」と、地方税法の条文で確認した内容をまとめました。宗教法人への課税が「よい・悪い」という話ではなく、いまのルールがどうなっているかを紹介します。
法人税は「収益事業」の所得にだけ
- 株式会社のように利益を目的とした法人は、すべての所得に法人税がかかります
- 宗教法人などの「公益法人等」は、収益事業から生じた所得にだけ法人税がかかります
- 「収益事業」とは、法律で決められた34種類の事業で、継続して事業場を設けて行われるものです。その事業に関連して行われる「付随行為」もふくみます
34種類の収益事業
物品販売業、不動産販売業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、通信業・放送業、運送業・運送取扱業、倉庫業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理店業その他の飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、鉱業、土石採取業、浴場業、理容業、美容業、興行業、遊技所業、遊覧所業、医療保健業、技芸教授業、駐車場業、信用保証業、無体財産権の提供業、労働者派遣業

プレ男駐車場や旅館をやれば、そこには法人税がかかるんだね。
身近な例:かかる?かからない?
国税庁のパンフレットに出ている例です。
| 行っていること | 法人税(収益事業になるか) |
|---|---|
| お守り・お札・おみくじの頒布 | 売値と仕入れ値の関係から、通常の商売の利益ではなく実質的な喜捨金と認められるなら、収益事業にならない |
| 絵はがき・写真帳・暦・線香・ろうそく・供花・数珠・集印帳・キーホルダーなどを通常の販売価格で売る | 収益事業(物品販売業) |
| 参拝のときに神前・仏前にささげるための線香・ろうそく・供花 | 収益事業にならない |
| 墳墓地(お墓)の貸付け(永代使用料をふくむ) | 収益事業にならない |
| お墓以外の不動産の貸付け | 国・地方公共団体に直接貸すなど一定の場合をのぞき、収益事業(不動産貸付業) |
| 境内地や本堂を、不特定多数の人の娯楽などのために貸す | 収益事業(席貸業) |
| 宿泊施設に信者や参詣人を泊めて宿泊料を受ける | 収益事業(旅館業)。ただし宗教活動に関連する簡易な共同宿泊施設で、全員1泊1,000円(2食付きで1,500円)以下なら対象外 |
| 宝物館などで所蔵品を見せる | 収益事業にならない |
- 喜捨金や対価の受け取りが、現金でもキャッシュレス決済でも、収益事業になるかどうかは変わりません

メル美同じ「線香」でも、売り方によって扱いがちがうんだ!
消費税は?
宗教法人にも消費税の納税義務があります。パンフレットの一覧表では、たとえば次のようになっています。
| 内容 | 消費税 |
|---|---|
| 葬儀・法要などの収入(戒名料、お布施、玉串料など) | 不課税 |
| お守り・お札・おみくじなどの頒布 | 不課税 |
| 絵はがき・写真帳・暦・線香・ろうそく・供花などの販売 | 課税 |
| 墓地・霊園の管理料 | 課税 |
| 駐車場の経営 | 課税 |
| 拝観料 | 不課税 |
| 宝物館などでの所蔵品の観覧 | 課税 |
住職の給料には源泉徴収
- 宗教法人も「源泉徴収義務者」です。住職・宮司などの代表役員や職員に給料や退職手当を払うときは、所得税(と復興特別所得税)を源泉徴収して国に納めます
- 国税庁は、宗教法人の会計と、住職など個人の家計を明確に分けるよう求めています。宗教活動にともなう収入(さい銭など)は、すべて宗教法人の収入です
- 住職などが宗教法人の庫裏に無償で住む、法衣の支給を受ける、個人の飲食代や子どもの学費を法人が負担するといった場合の扱いも、パンフレットで説明されています。源泉徴収の対象となる給与には、お金で払うもののほか、経済的利益の供与や物の支給もふくまれます
固定資産税は?(地方税法)
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地方税法第348条第2項第3号により、宗教法人が専らその本来の用に供する、宗教法人法に定める境内建物・境内地には、固定資産税をかけることができません
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不動産取得税にも、同じような非課税の規定があります(地方税法第73条の4)
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「専ら本来の用に供する」ものが対象なので、たとえば駐車場などとして貸している土地は、扱いがちがうことがあります
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固定資産税のしくみは、固定資産税にまとめています
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法人の税金は、法人税が上げにくい理由、消費税もどうぞ
まとめ
- 宗教法人の法人税は、34種類の収益事業から生じた所得だけにかかる
- お守り・おみくじは喜捨金と認められれば対象外、絵はがき・線香などを通常の値段で売れば課税
- お布施・戒名料・拝観料は消費税不課税、駐車場や墓地の管理料は課税
- 住職の給料には源泉徴収。本来の用に使う境内地・境内建物は固定資産税が非課税
参考文献
- 国税庁. 宗教法人の税務 ―源泉所得税・法人税・地方法人税・消費税・印紙税―(令和8年版). https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/r08_shukyo.pdf (閲覧日:2026年10月3日)
- 地方税法(昭和25年法律第226号)第73条の4、第348条(e-Gov法令検索). https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226 (閲覧日:2026年10月3日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。