法人税はなぜ上げにくい?:法人税率は1984年の43.3%から23.2%へ、実効税率は29.74%。「国際的な引下げ競争」「景気で税収がぶれる」「誰が負担するか議論が分かれる」。いっぽう最低税率15%の国際合意で、引下げ競争には歯止め
財務省によると、法人税の基本税率は1984〜1986年度の43.3%から下がり続け、いまは23.2%。国と地方をあわせた法人実効税率は、2014年度の34.62%から2018年度以降は29.74%です。政府税制調査会の答申(2023年6月)は、法人税の特徴として「企業の国際競争力などの観点も必要」「税収が景気の動向に比較的左右されやすい」をあげ、負担が消費者・労働者・株主などにどう帰着するかは議論が分かれるとしています。いっぽうで、最低税率15%の国際合意により引下げ競争に一定の歯止めがかかり、アメリカやイギリスでは引上げの動きもあると書いています。

プレ男社会保障のお金が足りないなら、もうかってる会社の法人税を上げればいいんじゃない?

メル美法人税は「上げにくい」ってよく聞くよね。どうしてなんだろう?
今回は、法人税が「上げにくい」と言われる理由です。これは考え方が分かれるテーマなので、財務省の資料と、政府税制調査会の答申「わが国税制の現状と課題」(2023年6月)に書かれていることを、賛否の両方の面から紹介します。
法人税率は下がってきた
財務省の「法人課税に関する基本的な資料」によると、法人税の基本税率は次のように変わってきました。
| 時期 | 基本税率 |
|---|---|
| 1984〜1986年度(昭和59〜61年度) | 43.3%(グラフで最も高い) |
| 1990年度〜 | 37.5% |
| 1999年度〜 | 30% |
| 2012年度〜 | 25.5% |
| 2018年度〜 | 23.2% |
- 国と地方をあわせた「法人実効税率」は、2014年度の34.62%から、「成長志向の法人税改革」で2018年度以降は29.74%になりました
- 2026年4月に始まった「防衛特別法人税」の対象になる場合、実効税率は30.64%です
- 資本金1億円以下の会社の、所得のうち年800万円以下の部分には、15%の軽減税率があります(2027年3月31日までに始まる事業年度の特例)
主な国の法人実効税率(2026年1月現在、財務省)
| 国 | 法人実効税率 |
|---|---|
| ドイツ | 30.14% |
| 日本 | 29.74% |
| アメリカ(カリフォルニア州) | 27.98% |
| カナダ(オンタリオ州) | 26.50% |
| フランス | 25.00% |
| イギリス | 25.00% |
| イタリア | 24.00% |

プレ男40年前は43.3%もあったのか。ずいぶん下がったんだね。
「上げにくい」とされる理由
政府税制調査会の答申では、法人税の特徴として次の点があげられています。
1. 国際的な「引下げ競争」と国際競争力
- 法人税は「その国での企業の活動に応じて負担を求めることが可能」な税ですが、「企業の国際競争力などの観点も必要」とされています
- 答申によると、1980年代から、企業誘致を目的とした国際的な法人税率引下げの傾向が続きました。たとえばフランスは2018〜2022年に法人税率を33 1/3%から25%に下げています
- 企業が国境をこえて拠点を自由に置けるようになり、各国が企業を呼び込むために「法人税引下げ競争」が進んだと書かれています
2. 税収が景気に左右されやすい
- 法人税は「税収が景気の動向に比較的左右されやすい」税です。もうけ(所得)にかかるので、景気が悪いと税収が大きく減ります
- 答申は、年金・医療・介護など増えていく社会保障の財源には、「税収の変動が少ない消費税がふさわしい」としています(→消費税が財源とされる理由)
3. 最終的に誰が負担するのか、はっきりしない
- 答申は、法人税の負担が「消費者、労働者、取引先、資本提供者たる株主」などにどの程度ずつ帰着するか(最終的に誰が負担するか)は「議論の分かれるところ」だとしています
- つまり、会社にかける税金でも、値段・賃金・配当などを通じて、最終的にはだれかが負担していることになりますが、その割合ははっきりしていません

メル美会社の税金でも、最後はだれかの給料や値段にはね返るかもしれないんだね。
でも、「上げられない」わけではない
同じ答申には、反対の方向の指摘も書かれています。
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最低税率15%の国際合意:2021年10月、OECD/G20の「BEPS包摂的枠組み」で「第2の柱(グローバル・ミニマム課税)」が合意されました。年間総収入7.5億ユーロ以上の多国籍企業に、国ごとに最低15%以上の課税を確保するしくみで、答申は「法人税の引下げ競争に一定の歯止めがかかった」としています。日本は2023年度の税制改正で導入を決めました
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引上げる国もある:アメリカでは2022年8月のインフレ抑制法で大企業への15%の最低課税ができ、イギリスでは2023年4月から、年間利益25万ポンド超の企業の税率を19%から25%に引き上げました
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税率だけで企業は動かない:企業活動の環境は「法人税率の水準に限られるものではなく」、為替、生産コスト、インフラ、人材、安全・安心な環境など多様な要因で決まるとしています
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これまでの引下げの検証:「成長志向の法人税改革」などが「期待された成果につながるものであったのか、今後、客観的・実証的な検証が求められます」と書かれています
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法人課税は、個人所得課税・消費課税とともに基幹税として、政府の安定的な財源の役割を果たすことが求められています
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国の税収の内訳は、国の税収(2025年度決算)もどうぞ
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会社の数や欠損法人の割合は、日本の会社の6割は赤字?もどうぞ
まとめ
- 法人税の基本税率は43.3%(1984〜1986年度)から23.2%へ。実効税率は29.74%
- 「上げにくい」とされる理由:国際的な引下げ競争、税収が景気に左右されやすい、負担の帰着がはっきりしない
- いっぽう、最低税率15%の国際合意で引下げ競争には歯止め。米英では引上げの動きも
- 税調は、これまでの法人税改革の成果を客観的に検証する必要があるとしている
参考文献
- 財務省. 法人課税に関する基本的な資料(法人税率の推移、直近の法人税改革、諸外国における法人実効税率の比較). https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/c01.htm (閲覧日:2026年10月3日)
- 税制調査会. わが国税制の現状と課題 ―令和時代の構造変化と税制のあり方―(2023年6月). https://www.soumu.go.jp/main_content/000897002.pdf (閲覧日:2026年10月3日)
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