
プレ男週末にキャンプでペグを打ってたら、さびた釘で手を切っちゃった。消毒したし、大丈夫だよね?

メル美うちのおばあちゃん、畑仕事が好きなんだけど、「破傷風に気をつけて」ってお医者さんに言われたんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、破傷風(はしょうふう)の話です。国立健康危機管理研究機構(JIHS)の「破傷風」(2025年5月23日更新)と「破傷風(詳細版)」、厚生労働省のお知らせをもとにまとめました。
どんな病気?
- 破傷風菌という細菌が作る毒素で起こる感染症です
- 破傷風菌は、芽胞(がほう)という固い殻に包まれた状態で、世界中の土などの環境にいます
- 土などで汚れた傷から芽胞が入り、傷の中の酸素のないところで菌が増えて毒素を出します
- 毒素が神経に働き、筋肉のけいれんやこわばりを起こします。重くなると呼吸の筋肉がまひして窒息し、亡くなることもあります
- 人から人へはうつりません
いまも年間約100人
- 日本では、戦後は年間1,000例以上の報告がありましたが、1952年の破傷風ワクチン(トキソイド)の導入、1968年の三種混合ワクチン(DPT)の定期接種で、大きく減りました
- それでも、いまも年間約100例の報告があり、その中心はワクチンを受けていない高齢者です
- 詳細版によると、2012〜2018年の届出は毎年118〜134例、死亡は毎年5〜9例でした
- 全身にけいれんが起きるタイプ(全体の8割以上)の致命率は10〜20%とされています
- 発症のリスクが高いのは、ワクチンを受けていない人(とくに高齢者)、糖尿病の人などです(糖尿病の人のフットケア)

メル美昔の病気だと思ってたけど、いまも毎年100人くらいかかってるんだ。
症状:最初は「口が開けにくい」
- 潜伏期間は3〜21日(平均10日)。けがのことを忘れたころに症状が出ることもあります
- 初期症状として多いのは、口が開けにくい(開口障害)こと。あごや首の筋肉のこわばりから始まります
- 顔の筋肉がけいれんして笑っているような表情に見える、ものが飲みこみにくいなどが出ます
- 進むと、こわばりが全身に広がり、頭から背中まで弓なりにそり返るけいれんが起こります。意識ははっきりしたままです
- 脈や血圧の乱れ、汗が多いなどが出ることもあります
- 傷が頭や顔など、脳に近いほど、潜伏期間が短く、重くなりやすい傾向があります
治療
- 決め手になる細菌の検査はなく、症状から診断します
- 多くは、のどや呼吸の筋肉のけいれんのため、人工呼吸器が必要になります
- 抗破傷風ヒト免疫グロブリンで血液中の毒素を中和し、抗菌薬、けいれんを抑える薬を使います。音や光などの刺激でけいれんが起きるので、暗く静かな病室で治療します
- 傷はよく洗って、傷んだ組織を取り除くこともあります
- 破傷風にかかっても免疫はつかないので、治ったあとにワクチンを受ける必要があります
けがをしたら
厚生労働省のお知らせでは、
- 傷口に土がついた、がれきや釘などでけがをしたときは、すぐに傷口をよく洗い、医師の診察を受けましょう
- 医療機関では、けがの手当とあわせて、必要に応じて破傷風を防ぐための処置をします(ワクチンと免疫グロブリンによる予防)
- けがをして3週間くらいの間に、あごや首のこわばり、口が開けにくいなどが出たら、すぐに医療機関へ

土で汚れた傷や、釘・がれきによるけがは、傷口をよく洗って医師の診察を受けましょう。けがのあと3週間くらいの間に口が開けにくくなったら、すぐに受診してください。

プレ男消毒しただけで安心してた…。今日、病院で診てもらうよ。
ワクチン:1968年より前に生まれた人は要注意
- 破傷風は、ワクチンでの予防効果が大きい感染症です。いまの子どもは、五種混合ワクチンなどで定期接種を受けています(11〜12歳で二種混合(DT)を1回)
- 破傷風にかかる人は、1968年より前に生まれ、ワクチンを受けていない人に多いとされています
- 厚生労働省のお知らせ(2011年)では、受けていない人は、2回の接種で接種開始から2か月ほどで免疫がつき、長く免疫を保つにはさらに追加が必要としています。けがをしやすい作業をする人は、あらかじめ受けておくと効果的です
- 厚生労働省検疫所(FORTH)によると、12歳で定期接種を受けていれば20代前半くらいまでは免疫があり、その後は1回の追加接種で約10年間有効な免疫がつきます。海外の冒険旅行などでけがをしやすい人にもすすめられています(海外旅行前のワクチン)
- 親や祖父母が畑仕事や庭いじりをするなら、ワクチンについてかかりつけ医に相談するよう伝えてあげましょう。65歳からの定期接種のワクチンは親が65歳になったら知っておきたいワクチンの記事もどうぞ
災害のときも
- 2011年の東日本大震災では、震災から1か月の間に、被災地で7人の患者が確認され、いずれも震災当日のけがが原因でした(厚生労働省のお知らせ)
- がれきの片づけなどでは、厚手の手袋や底の厚い靴でけがを防ぎましょう

メル美おばあちゃんに、ワクチンのことを聞いてみてって伝えるね。
まとめ
- 破傷風は、土の中の菌が傷口から入って起こる。人から人へはうつらない
- いまも年間約100例。全身型の致命率は10〜20%
- 潜伏期間は3〜21日。最初のサインは口が開けにくい、あごや首のこわばり
- 土やさびた釘・がれきのけがは、よく洗って受診
- 1968年より前に生まれた人は免疫がないことも。けがをしやすい人はワクチンを相談
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト. 破傷風(更新日:2025年5月23日). https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/tetanus/index.html (閲覧日:2026年10月4日)
- 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト. 破傷風(詳細版). https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/tetanus/detail/index.html (閲覧日:2026年10月4日)
- 厚生労働省. 破傷風についてのお知らせ(2011年). https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/hoken-sidou/dl/110411_hashouhuu.pdf (閲覧日:2026年10月4日)
- 厚生労働省検疫所(FORTH). 海外渡航のためのワクチン(予防接種). https://www.forth.go.jp/useful/vaccination.html (閲覧日:2026年10月4日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。