
プレ男「狐にばかされる」って、むかし話ではよく聞くけど、『遠野物語』にも出てくるの?

メル美いくつもあるよ。しかも、だれが、どこで、っていうのが書いてあるの。原文を読んでみよう。
この記事は、柳田國男『遠野物語』(1910年)を、青空文庫の本文(底本:岩波文庫『遠野物語・山の人生』)で読んで紹介するものです。本文中の「」の言葉と話の番号は、青空文庫の本文によります。
狐と相撲をとった菊蔵(94話)
- 菊蔵は、柏崎の姉の家に用があって行き、ごちそうになった残りの餅を懐に入れて、愛宕山のふもとの林を通りました
- そこで、仲のよい友だちで大酒飲みの藤七に会います。少し芝原のあるところで、藤七はにこにこして芝原を指し、「ここで相撲を取らぬか」
- 二人は草原でしばらく遊びます。藤七は「いかにも弱く軽く」、自由に抱えては投げられるので、おもしろくなって三番までとりました
- 藤七は「今日はとてもかなわず、さあ行くべし」と言って別れました
- ところが、4、5間行ったところで気づくと、懐の餅がない。相撲場にもどってさがしても見つかりません。はじめて「狐だったか」と思いましたが、恥ずかしいので人には言いませんでした
- 4、5日後、酒屋で藤七に会ってその話をすると、藤七は「おれは相撲など取るものか、その日は浜へ行きてありしものを」。いよいよ、狐と相撲をとったことがあきらかになりました
- 菊蔵は、ほかの人にはずっと隠していましたが、去年の正月休みに、みんなで酒を飲みながら狐の話をしたとき、「おれもじつは」と白状して、大いに笑われた、といいます

プレ男相撲に勝ってうれしかったのに、餅をとられてたなんて!最後にみんなに笑われるのも、なんだかいいね。
鉄砲の筒に土(60話)
- 和野村の嘉兵衛爺が、雉子小屋に入って雉子を待っていると、狐がしばしば出てきて雉子を追います
- あまりに憎いので撃とうとねらうと、狐はこちらを向いて、「何ともなげなる顔」をしていました
- 引き金を引いても、火がうつりません。胸さわぎがして銃をしらべると、筒口から手元まで、いつのまにかことごとく土がつめてあったのです
狐と仲よくなった学者(21話)
- 山口の孫左衛門は、京都から和漢の本をとりよせて読みふける、村にはめずらしい学者で、少し変わり者でした
- 狐と親しくなって家を富ませる術を得ようと思いたち、庭に稲荷の祠を建て、自分で京へのぼって正一位の神階を受けて帰ります
- それからは毎日、油揚を一枚欠かさず、自分の手でそなえて拝むと、のちには狐がなれて、近づいても逃げず、手をのばして首をおさえることもできたといいます
- 村の薬師堂の堂守は、「わが仏様は何ものをも供えざれども、孫左衛門の神様よりは御利益あり」と、たびたび笑い話にした、と結ばれます

メル美お堂の人のつっこみ、ちょっと笑っちゃう。
死人の家をのぞく狐(101話)
- ある旅人が、夜ふけに知り合いの家に寄ると、「今夕死人あり」、人を呼びにいくあいだ留守をたのむ、と言われます
- 囲炉裏のそばで煙草をすっていると、奥に寝かせてあった老女の亡骸が、床の上でむくむくと起きなおった
- 心をしずめてあたりを見ると、流しの水口の穴から、狐のようなものが顔をさし入れて、しきりに亡骸のほうを見つめていました。家の外にまわってみると、まさしく狐で、首を穴に入れ、後ろ足をつまだてていた——
- 旅人はありあわせの棒で、その狐を打ち殺した、と語られます
夢の野山を行く狐(100話)
- 船越の漁夫が、夜ふけに山道で自分の妻に出会います。こんな夜中にひとりで来るはずがない、化け物にちがいないと、うしろから刺してしまいました
- 急いで家に帰ると、妻は無事で、「いま恐ろしい夢を見た。帰りが遅いので途中まで見に出たら、山道で何とも知れないものにおどかされ、命をとられると思って目がさめた」
- もとの場所にもどると、殺した女は、連れの者が見ているうちに、ついに一匹の狐になった——「夢の野山を行くにこの獣の身を傭うことありと見ゆ」と、物語は書いています

柳田國男の『遠野物語』94話で、菊蔵は友だちの藤七と芝原で相撲をとり、三番とも勝ちましたが、懐の餅がなくなっていました。のちに藤七は「おれは相撲など取るものか」と言い、狐と相撲をとったことがあきらかになります。
まとめ
- 『遠野物語』94話:友だちの姿で相撲をいどみ、懐の餅を持っていった狐。白状した菊蔵は大笑いされた
- 60話:狐をねらった鉄砲の筒に、いつのまにか土がつまっていた
- 21話:毎日油揚をそなえ、首をおさえられるほど狐と仲よくなった学者
- 101話:死人の家を、流しの穴からのぞいていた狐
- 100話:妻の姿をした狐と、「夢の野山を行く」狐
- 『遠野物語』の猿の経立・御犬の経立、幽霊の話、河童もどうぞ
参考文献
- 柳田國男. 遠野物語(底本:『遠野物語・山の人生』岩波文庫). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001566/card52504.html (閲覧日:2026年10月12日)
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