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プレ男河童って、緑色で頭にお皿がある妖怪だよね。きゅうりが好きな。

メル美でも、地方によって姿がちがうらしいよ。岩手の遠野の河童は、赤い顔なんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、妖怪河童です。民俗学者柳田国男の『遠野物語』を、青空文庫の原文で読んでみました。
『遠野物語』ってどんな本?
- 『遠野物語』は、明治43年(1910年)6月14日に出された本です
- 序文によると、柳田は、遠野の人・佐々木鏡石が明治42年(1909年)2月ごろから夜にときどき訪ねてきて話した物語を、一字一句も加減せず、感じたままに書いたといいます
- 河童の話は、第55話から第59話に収められています

鳥山石燕の妖怪図鑑『画図百鬼夜行』(安永5年・1776年刊)の河童。国立国会図書館デジタルコレクション(文化2年・1805年の版)
河童の足あとは「めずらしくない」(第57話)
川の岸の砂の上には河童の足跡といふものを見ること決して珍しからず。雨の日の翌日などはことにこの事あり。
- 川岸の砂の上に、河童の足あとを見ることはけっしてめずらしくない。とくに雨の日の翌日
- 足あとは、猿の足のように親指がはなれていて、人間の手のあとに似ている。長さは三寸(約9cm)に足りない

メル美足あとが「めずらしくない」って、当時の人にとって河童はそんなに身近だったんだ。
馬を引きこもうとして、逆に引きずられた河童(第58話)
- 小烏瀬川の姥子淵の近くの家で、馬を淵に冷やしに連れて行ったとき、馬ひきの子が遊びに行ったすきに、河童が出てきて馬を水に引きこもうとした
- ところが、逆に馬に引きずられて、馬小屋の前まで来てしまい、飼い葉おけ(馬槽)の下にかくれていた
- 家の人が、伏せてある馬槽をあやしんで少しあけてみると、河童の手が出てきた
- 村じゅうの人が集まって、殺すか許すか話し合った結果、「これからは村の馬にいたずらをしない」というかたい約束をさせて、放してやった
- その河童は今は村を去って、相沢の滝の淵に住んでいるという

プレ男馬に負けて、おけの下にかくれてた河童…ちょっとかわいい。約束して許してもらえてよかったね。
遠野の河童は「顔が赤い」(第59話)
外の地にては河童の顔は青しといふやうなれど、遠野の河童は面の色赭きなり。
- ほかの土地では河童の顔は青いというけれど、遠野の河童は顔が赤い
- 佐々木氏の曾祖母が子どものころ、友だちと庭で遊んでいると、3本ほどあるくるみの木のあいだから、真っ赤な顔をした男の子の顔が見えた。これは河童だったという
- そのくるみの木は、今も大木になってあると書かれています
河童の子を産んだ家(第55話)
ここからは少し重い話です。『遠野物語』は、遠野で実際に語られていた話を、そのまま書き留めています。
川には河童多く住めり。猿が石川ことに多し。松崎村の川端の家にて、二代まで続けて河童の子を孕みたる者あり。
- 遠野の川には河童が多く住み、とくに猿ヶ石川に多いといいます。松崎村の川ばたの家では、2代続けて「河童の子」を身ごもった女性がいたと書かれています
- その家の女性が、ある日から川の水ぎわにうずくまって、にこにこ笑っているようになり、やがて「夜な夜な、ある男がその女性のもとに通っている」といううわさが立ちます。夫が留守のときだけでなく、夫がいる夜にまで来るようになり、「河童だろう」という評判がしだいに高くなりました
- 一族が集まって見張っても、どうにもならず、母親がそばで寝ていても、夜中に娘の笑い声が聞こえるのに、体が動かせなかったといいます
- お産はとても重く、「馬の飼い葉おけに水を張り、その中で産めば楽に産める」という人がいて、その通りにすると、本当にそうなったといいます。生まれた子の手には水かきがあり、この娘の母親もかつて河童の子を産んだことがある、と書かれています
- そして、生まれた子は切りきざまれ、一升だるに入れられて、土の中にうめられた。その姿はきわめて醜く怪しいものだった——という、とても重い一文があります
- 柳田は、この家は名のある豪家の士族で、村会議員をしたこともある家だと書き、「2代や3代の因縁ではない」と言う人もいたと伝えています
「見せ物にすれば金になる」(第56話)
- 上郷村のある家でも、河童らしいものの子が生まれたことがありました。たしかな証拠はないけれど、体じゅう真っ赤で、口が大きく、まことに嫌な子だった、と書かれています
- 家の人は、いまわしいので捨てようと、道が分かれるところ(道ちがえ)に置いて、少しはなれました。けれど、ふと思い直し「惜しいことだ。売って見せ物にすれば金になるのに」と引き返すと、もう何者かに取りかくされて、見えなかったといいます

メル美こわいというより、つらい話…。昔の人は、どんな気持ちでこの話を語っていたんだろう。
- これらの話は、遠野の人々が「河童の子」としてどう受けとめ、どう語り継いだかを、そのまま伝えています。現代の目で読むと、とても重く、悲しい内容です

『遠野物語』の河童は、ほかの土地とちがって顔が赤いと書かれています。川岸の足あとや、馬を引きこもうとして失敗した話など、河童が身近だったころの暮らしが見えてきます。
まとめ
- 『遠野物語』は、柳田国男が佐々木鏡石から聞いた遠野の話をまとめた本。1910年刊行
- 河童の話は第55〜59話
- 川岸の足あとは「めずらしくない」。親指がはなれ、人の手のあとに似ている
- 馬を引きこもうとして逆に引きずられ、約束をして許された河童
- 遠野の河童は顔が赤い。くるみの木のあいだから赤い顔の男の子が
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参考文献
- 柳田国男. 遠野物語(初出:1910年6月14日。底本:新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺、角川文庫、1955年). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001566/card52454.html (閲覧日:2026年10月1日)
- 鳥山石燕 画. 百鬼夜行 3巻拾遺3巻 1. 国立国会図書館デジタルコレクション(インターネット公開・保護期間満了). https://dl.ndl.go.jp/pid/2553975 (閲覧日:2026年10月2日)
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