
メル美遠野には「オシラサマ」っていう神さまがいるんだって。座敷わらしとはちがうの?

プレ男名前はかわいいけど、どんな神さまなんだろう。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、岩手県遠野に伝わるオシラサマです。柳田国男『遠野物語』(1910年)の原文を青空文庫で読み、岩手県の「いわての文化情報大事典」と遠野市の観光情報サイト「遠野時間」で、いまの姿を確かめました。
プロフィール
| 名前 | オシラサマ |
| すがた | 桑の木をけずって顔を描き、四角い布のまん中に穴をあけて上から通し、着物にした神像 |
| まつる日 | 正月15日。村の人が集まってまつり、神像の顔に白粉(おしろい)をぬることもある |
| いっしょにいる神 | オクナイサマ。オシラサマのある家には、かならずオクナイサマもいる |
| 何の神さま? | 一般的には養蚕(かいこ)の神。家によって、農作業、目の病気、女性の病気、よいことを知らせる神など、さまざまに信じられてきた(岩手県) |
| 出典 | 柳田国男『遠野物語』14話・69話・70話 |
『遠野物語』69話:娘と馬の話
69話は、土淵村の旧家「大同(だいどう)」の80歳をこえるおばあさん、おひでさんが、旧暦の正月15日に語った話です。
- むかし、貧しい百姓がいました。妻はなく、美しい娘と、1頭の馬と暮らしていました
- 娘はこの馬を愛して、夜になるとうまやに行って眠り、ついに馬と夫婦になりました
- それを知った父は、次の日、娘には知らせずに馬を連れ出し、桑の木につり下げて殺してしまいます
- その夜、馬がいないことに気づいた娘は、父にたずねてわけを知り、驚き悲しんで桑の木の下へ。死んだ馬の首にすがって泣いていました
- 父はそれをにくみ、斧で後ろから馬の首を切り落とします。すると、娘はその首に乗ったまま、天にのぼっていきました
- 原文は「オシラサマといふはこの時よりなりたる神なり」と結んでいます

プレ男馬の首に乗って天に…!こわいというより、悲しい話だね。

メル美岩手県の資料でも「馬と娘の悲恋の話」って紹介されてるよ。
神像は、馬をつるした桑の枝から
- 69話によると、オシラサマの神像は、馬をつり下げた桑の枝で作りました。像は3つありました
- 根もとの枝で作った像は、山口の大同の家にあり、これを姉神とします
- まん中の枝で作った像は、山崎のある家にありましたが、家が絶えて、いまは行方がわからない
- 枝先で作った妹神の像は、附馬牛村(つくもうしむら)にあるといいます
14話:白粉をぬる、正月15日のまつり
- 14話によると、村には必ず1軒の旧家があり、オクナイサマという神をまつっています。その家を大同といいます
- オクナイサマの像は桑の木をけずって顔を描き、四角い布のまん中に穴をあけて上から通し、着物にします
- オシラサマも同じように作り、正月15日に村の人が集まってまつります。そのとき神像の顔に白粉をぬることもあります
- 70話では、オクナイサマはオシラサマのある家にはかならずいる神。ただし、オシラサマがなくてオクナイサマだけの家もあり、像の形も家によってちがう(木像の家も、掛け軸の家もある)と書かれています

『遠野物語』69話によると、オシラサマの神像は、馬をつり下げた桑の枝で作られました。根もとの枝で作ったのが姉神、枝先で作ったのが妹神です。
いまのオシラサマ:遠野の「御蚕神堂」
- 岩手県の「いわての文化情報大事典」によると、オシラサマには、頭から布をすっぽりかぶった包頭衣(ほうとうい)と、首を出した貫頭衣(かんとうい)の2種類があります
- 遠野市の観光施設伝承園(遠野市土淵町)の御蚕神(オシラ)堂には、約1,000体のオシラサマがまつられています(岩手県、遠野市観光情報サイト)
- 遠野市の観光情報サイトによると、御蚕神堂では、願いごとを布に書いてオシラサマに着せて祈るならわしがあります。願いがかなうかどうかは、ここでは断定しません
- 営業時間は、3〜11月は9時〜17時、12〜2月は9時〜16時。年末年始と冬季の休業日があります(遠野市観光情報サイト、2026年10月4日現在)。行く前に公式サイトで確かめてください
- オシラサマは家々でたいせつにまつられてきた神さまです。見学のときは、施設のきまりにしたがいましょう

メル美同じ遠野の[座敷わらし](/posts/yokai-zashiki-warashi/)や[河童](/posts/tono-kappa/)の話も読んでみよう。
まとめ
- オシラサマは、岩手県遠野の旧家にまつられてきた神。一般的には養蚕の神とされる
- 『遠野物語』69話では、馬と夫婦になった娘が、父に首を切り落とされた馬の首に乗って天にのぼり、オシラサマになった
- 神像は馬をつるした桑の枝で作り、根もとが姉神、枝先が妹神。像は3つあった
- 正月15日にまつり、顔に白粉をぬることもあった
- いまも遠野の伝承園・御蚕神堂に約1,000体がまつられている
- 遠野の神さま・妖怪は天狗、山奥のふしぎな家はマヨイガの記事もどうぞ
参考文献
- 柳田国男. 遠野物語(初出:1910年6月14日。底本:新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺、角川文庫、1955年). 14話・69話・70話. 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001566/card52454.html (閲覧日:2026年10月4日)
- 岩手県. いわての文化情報大事典「オシラサマ」. http://www.bunka.pref.iwate.jp/archive/ny10 (閲覧日:2026年10月4日)
- 株式会社遠野ふるさと商社・一般社団法人遠野市観光協会. 遠野市観光情報サイト「遠野時間」「伝承園」. https://tonojikan.jp/tourism/denshoen/ (閲覧日:2026年10月4日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。


