幽々奇譚A Nocturnal Field Guide

Ghost StoriesNo.095

『雨月物語』の「青頭巾」愛した童子を亡くし、悲しみのあまり鬼になった山寺の住職。旅の禅僧・快庵は、鬼の前で一晩を過ごし、自分の青い頭巾をかぶせて二句の禅の言葉をあたえた。1年後、草むらの中から聞こえてきたのは——上田秋成の怪談

上田秋成『雨月物語』巻之五の「青頭巾」(あおずきん)。諸国を行脚する快庵禅師は、下野の国富田の里で「山の鬼がきたぞ」とおびえられます。わけを聞くと、里の上の山寺の住職が、越の国からつれ帰った童子を深く寵愛し、その子が病で亡くなると、悲しみのあまり亡骸をはなさず、ついに肉を食い骨をしゃぶりつくして鬼となり、夜ごと里を襲うようになったというのです。快庵は山寺に泊まり、鬼は一晩じゅう快庵をさがしまわりますが、見つけられません。翌朝、快庵は青い頭巾をぬいで住職にかぶせ、証道歌の二句をさずけて山を下りました。青空文庫の鵜月洋による現代語訳で紹介します。

2026年10月12日

目次
  1. 「山の鬼がきたぞ」
  2. 鬼になった住職
  3. 「心をゆるめれば妖魔となり」
  4. 鬼の寺の一夜
  5. 青い頭巾と、二句の言葉
  6. 1年後
  7. まとめ

プレ男「青頭巾」って、青いずきんのこと?かわいい題名だけど…。

メル美じつは、人を食べる鬼になったお坊さんの話なの。かなりこわいよ。

今回は、上田秋成の『雨月物語』巻之五「青頭巾」(あおずきん)です。青空文庫の「現代語訳 雨月物語」(上田秋成著、鵜月洋訳。底本:角川文庫『改訂 雨月物語 現代語訳付き』)で読みました。本文中の「」の言葉は、この現代語訳からの引用です。

※この話には、人の肉を食べる場面がえがかれています。

「山の鬼がきたぞ」

鬼になった住職

主人は、わけをこう話しました。

プレ男悲しみのあまり、鬼になってしまう…。人間がいちばんこわいのかもしれない。

「心をゆるめれば妖魔となり」

鬼の寺の一夜

青い頭巾と、二句の言葉

江月照松風吹  永夜清宵何所為

1年後

メル美1年間、ずっと同じ言葉をとなえつづけていたんだね。こわいけど、最後は救いのある話だ。

「青頭巾」の快庵禅師は、鬼となった住職に自分の青い頭巾をかぶせ、証道歌の二句をさずけます。1年後、その二句をとなえつづけていた住職は、一喝とともに消え、青頭巾と骨だけが残りました。

まとめ


参考文献

  1. 上田秋成(鵜月洋訳). 現代語訳 雨月物語(底本:角川文庫『改訂 雨月物語 現代語訳付き』KADOKAWA). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001271/card60609.html (閲覧日:2026年10月12日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

Further Reading次に読む

  1. 怪談『雨月物語』の「吉備津の釜」婚礼の前の占いで、吉備津神社の釜は鳴らなかった。夫にだまされ捨てられた妻・磯良は怨霊となり、42日間のお札の物忌み。最後の夜、「夜が明けた」と思って戸をあけた夫は——上田秋成の怪談
  2. 怪談『雨月物語』の「浅茅が宿」戦乱の世、「秋には帰る」と都へ出た夫を、妻は荒れはてた家で7年待った。ようやく帰った夜、やつれた妻と再会して眠った夫が、朝目をさますと——上田秋成の怪談
  3. 怪談小泉八雲の怪談「食人鬼(じきにんき)」山道に迷った僧・夢窓国師。泊めてくれなかった庵の老僧、夜中に村を出ていく人々、遺体の部屋に入ってきた「ぼんやりした大きな影」——その正体は、つとめを怠った昔の僧だった