幽々奇譚A Nocturnal Field Guide

Ghost StoriesNo.103

『雨月物語』の「白峯」讃岐の山中、崇徳院の御陵で経をよむ西行の前に、「円位、円位」と呼ぶ声。あらわれた崇徳院の怨霊は「近ごろの世の乱れは自分のしわざだ」。夜通しの論争と、鬼火の中の魔王の姿——上田秋成の怪談

上田秋成『雨月物語』巻之一の冒頭の一編「白峯」(しらみね)。仁安3年の秋、諸国を旅する西行法師は、讃岐の白峯にある崇徳院の御陵をたずね、夜通し経をよみます。すると「円位、円位」と呼ぶ声がして、崇徳院の亡霊があらわれました。保元の乱に敗れて讃岐に流され、来世のために写した経まで都から送りかえされた崇徳院は、魔王となって平治の乱をおこさせ、平家もやがてほろびると語ります。西行は道理をつくして成仏をすすめ、鬼火の中に魔王の姿をあらわした院に、一首の歌をささげました。青空文庫の鵜月洋による現代語訳で紹介します。

2026年10月12日

目次
  1. 白峯の御陵
  2. 「円位、円位」
  3. 「近ごろの世上の乱れは、自分のしわざである」
  4. 西行の反論
  5. 送りかえされた写経
  6. 鬼火の中の魔王
  7. 西行の歌
  8. 13年後
  9. まとめ

プレ男『雨月物語』の最初の話は、怨霊と歌人が対決する話なんだって!

メル美「白峯」だね。崇徳院と西行の、夜通しの論争なんだよ。

今回は、上田秋成の『雨月物語』巻之一の最初の一編「白峯」(しらみね)です。青空文庫の「現代語訳 雨月物語」(上田秋成著、鵜月洋訳。底本:角川文庫『改訂 雨月物語 現代語訳付き』)で読みました。本文中の「」の言葉は、この現代語訳からの引用です。崇徳院と保元・平治の乱は、物語のなかで語られる内容として紹介します。

白峯の御陵

松山の浪のけしきはかはらじをかたなく君はなりまさりけり

「円位、円位」

松山の浪にながれてこし船のやがてむなしくなりにけるかな

「近ごろの世上の乱れは、自分のしわざである」

プレ男幽霊と、政治の正しさについて真剣に議論してる!

西行の反論

送りかえされた写経

鬼火の中の魔王

メル美うらみがつのって、本当に魔王の姿になってしまったんだね…。

西行の歌

よしや君昔の玉の床とてもかからんのちは何にかはせん

13年後

「白峯」の崇徳院は、送りかえされた写経に血で願文を書いて魔王となる大願をたてた、と語ります。西行の「よしや君」の歌を聞いて、院の顔色はやわらぎ、鬼火も消えていきました。

まとめ


参考文献

  1. 上田秋成(鵜月洋訳). 現代語訳 雨月物語(底本:角川文庫『改訂 雨月物語 現代語訳付き』KADOKAWA). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001271/card60609.html (閲覧日:2026年10月12日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

Further Reading次に読む

  1. 心霊スポット東京いちばんの「祟り」伝説、大手町の将門塚平将門の首が飛んできた?戦後のブルドーザーの事故の話も。今はビル街の中で地元の企業が守る、東京都指定旧跡
  2. 怪談『雨月物語』の「菊花の約」「九月九日、重陽の節句に帰る」——病から救ってくれた学者と義兄弟の約束をした武士は、城に閉じこめられ、約束の日の夜、亡霊になってやってきた。「魂は一日に千里を行く」上田秋成の怪談
  3. 怪談『雨月物語』の「浅茅が宿」戦乱の世、「秋には帰る」と都へ出た夫を、妻は荒れはてた家で7年待った。ようやく帰った夜、やつれた妻と再会して眠った夫が、朝目をさますと——上田秋成の怪談