
プレ男夏の海辺でバーベキュー!朝市で買ったイカとアジ、クーラーボックスに入れ忘れて、昼まで車に置いちゃった。刺身にしても平気かな?

メル美夏の魚介は「腸炎ビブリオ」に気をつけてって、おばあちゃんがよく言ってたよ…。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、夏の魚介類で起こる腸炎ビブリオ食中毒の話です。食品安全委員会の「食品健康影響評価のためのリスクプロファイル 〜生鮮魚介類における腸炎ビブリオ〜(改訂版)」(2012年1月)をもとにまとめました。
どんな菌?
- 塩分を好む細菌で、夏に海水温が上がる沿岸の海水や、海の底の泥などにいます。外洋ではほとんど見つかりません
- 水温が15℃前後以上になる夏に、魚介類につく菌が増えます
- 塩分2〜3%、35〜37℃でいちばんよく増え、10℃未満では増えません(増えるのは10〜42℃)
- 増えるのがとても速いのが特徴で、条件がよいと8〜9分(あるいは10〜13分)で2倍になります
- 一方、塩分がないと速やかに死ぬので、真水(水道水)で洗うことが予防になります

プレ男10分もしないで2倍!車に半日置いたら、すごい数になってるかも…。
症状:12時間前後で、激しい腹痛と下痢
- 潜伏期間は12時間前後
- 主な症状は激しい腹痛と、水のような・粘液のような下痢。下痢は1日数回〜十数回。まれに血便も
- しばしば発熱(37〜38℃)、嘔吐、吐き気も
- ふつうは1〜2日でよくなります。ただし、持病のある人などでは、敗血症による血圧の低下などで亡くなることもあります
- 2000〜2009年に、腸炎ビブリオ食中毒による腸の感染症で34人が亡くなり、50〜70歳代が約90%でした
かつては第1位、いまは大きく減った
- 日本では魚介類を生で食べる機会が多いため、腸炎ビブリオ食中毒は、1980年代前半までは細菌性食中毒の約半数を占め、事件数・患者数とも第1位でした
- その後は減って、2000年に第3位、2009年に第6位。2008年・2009年は患者が1,000人を下回りました
- 厚生労働省の統計では、2025年の食中毒のうち、腸炎ビブリオは事件数の0.2%、患者数の0.8%でした
- それでも、1件あたりの患者数は平均12人前後で、患者が500人を超えた事件もあります
家庭での予防のポイント
リスクプロファイルでは、家庭で食中毒が起こる主な原因として、水での洗い方が不十分、買ったあと・調理のときの二次汚染、買ったあと・調理後に温度が上がって長く置くことがあげられています。
- 真水(水道水)でよく洗う:魚の体の表面の菌は、水道水で洗うと大きく減ります。エラと内臓を取り除いてから洗うと、ほとんどの菌を取り除けたという試験結果があります
- エラと内臓を取る:腸炎ビブリオは、主にエラと消化管に多くいます
- すぐに冷やす:魚介類を1〜5℃で冷蔵すると、菌は1日で1/10〜1/10,000に減ります。10℃以下で管理しましょう
- 二次汚染を防ぐ:サクに切る前に洗う。生の魚に使った包丁・まな板をそのまま置いておかない
- 加熱する:熱に弱く、65℃・1分以内の加熱で1/10に減ります。ゆでだこ・ゆでがになどは、中心までしっかり加熱し、加熱後はきれいな水で早く冷やす
- 室温に置いたままの魚介類は、生で食べないようにしましょう

腸炎ビブリオは真水に弱く、低い温度では増えません。夏の魚介類は、水道水でよく洗って、買ったらすぐに冷蔵庫へ入れましょう。

メル美今日のイカとアジは、しっかり焼いて食べよう。次からは保冷剤を忘れずにね。
- 魚の寄生虫はアニサキス、おにぎりは黄色ブドウ球菌とおにぎり、バーベキューの鶏肉はカンピロバクターの記事もどうぞ
まとめ
- 腸炎ビブリオは、夏の沿岸の海水にいる塩分を好む細菌。最速8〜9分で2倍に増える
- 食後12時間前後で激しい腹痛と水のような下痢。ふつうは1〜2日で回復
- かつては細菌性食中毒の第1位。いまは大きく減った
- 真水でよく洗う、エラと内臓を取る、10℃以下ですぐ冷やす、加熱
- 室温に置いた魚介類は、生で食べない
参考文献
- 食品安全委員会. 食品健康影響評価のためのリスクプロファイル 〜生鮮魚介類における腸炎ビブリオ〜(改訂版)(2012年1月). https://www.fsc.go.jp/sonota/risk_profile/vibrioparahaemolyticus.pdf (閲覧日:2026年10月4日)
- 厚生労働省. 令和7年食中毒発生状況の概要. https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001679199.pdf (閲覧日:2026年10月4日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。