
メル美樋口一葉の『わかれ道』は、年のはなれた男の子と女の人の、姉弟みたいな関係の話なんだって。

プレ男題名からして、さびしい終わり方っぽいね…。
今回は、樋口一葉の短編『わかれ道(わかれみち)』です。青空文庫の原文(底本:新潮文庫『にごりえ・たけくらべ』)で読みました。読みと初出は、青空文庫の図書カードによります。
プロフィール
| 作品 | 『わかれ道(わかれみち)』 |
| 作者 | 樋口一葉 |
| 初出 | 「国民之友」277号、1896年(明治29年)1月4日 |
| 主な人物 | 吉三(吉)(傘屋の小僧、16歳)、お京(仕立物をして暮らす20すぎの女性) |
| 構成 | 「上」「下」の2つ |
上:窓をたたく吉
- 「お京さん居ますか」——夜、窓の外から戸をたたく音。「傘屋の吉だよ、己れだよ」
- 吉は16歳ですが、背が低く、町内では乱暴者として持てあまされ、背のことでからかわれていました。吉は、傘屋で油引きの仕事をしています
- お京は、角の質屋の旦那の着物を、今夜じゅうにぬいあげなければならないと言いながら、吉を家に入れて、おもちを焼かせてやります
- 吉は言います。「お前さん何時かさう言つたね、運が向く時に成ると己れに糸織の着物をこしらへてくれるつて」。お京は「夢のやうな約束さ」と笑いますが、吉は「そんな約束でもして喜ばして置いておくれ」と、さびしそうに笑いました
- 吉は、自分は出世なんかしない、傘屋の油引きでいい、と言い、お京には「今に上等の運が馬車に乗つて迎ひに来やすのさ」と言うのでした

プレ男吉にとってお京さんは、たったひとり、やさしくしてくれるお姉さんみたいな人なんだね。
下:12月30日の夜
- 12月30日の夜、お得意先からの帰り道、吉はうしろから両手で目かくしをされます。お京でした。いつになく、よい身なりをしています
- お京は言います。「私は明日あの裏の移転をするよ」「何時かお前が言つた通り上等の運が馬車に乗つて迎ひに来たといふ騒ぎだから」
- でも吉は、傘屋の若だんなの半次から、お京が、ある屋敷で、お妾になるのだと聞いていました。吉は「そんなことはない」と半次と大げんかをしたのです
- お京は答えます。「何も私だとて行きたい事は無いけれど行かなければ成らないのさ」「私は洗ひ張に倦きが来て、もうお妾でも何でも宜い」
「後生だから此肩の手を放しておくんなさい」
- お京の家で、吉は柱によりかかったまま、火にもあたろうとしません。「いろいろの人がちよつと好い顔を見せて直様つまらない事に成つてしまふのだ」。やさしくしてくれた人は、みんないなくなってしまった、と
- 「姉さん同様に思つてゐたが口惜しい、もうお京さんお前には逢はないよ」——吉は立ちあがって出ていこうとします
- お京は、うしろから吉をだきとめて言います。「何も私が此処を離れるとてお前を見捨てる事はしない、私は本当に兄弟とばかり思ふのだもの」
- 「そんならお妾に行くを廃めにしなさるか」。お京は「私はどうしてもかうと決心してゐるのだから」とことわります
- 吉は、なみだの目でお京を見つめて言いました。「お京さん後生だから此肩の手を放しておくんなさい。」——物語は、ここで終わります

メル美お京さんにも、生きていくための事情があったんだよね。どちらも悪くないのに、道がわかれてしまう…。

樋口一葉の『わかれ道』は、お京に「私は本当に兄弟とばかり思ふのだもの」とだきとめられた吉が、「お京さん後生だから此肩の手を放しておくんなさい」と言う場面で終わります。
まとめ
- 『わかれ道(わかれみち)』は、樋口一葉が1896年1月に発表した短編
- 毎晩お京の窓をたたく、16歳の傘屋の小僧吉と、姉のようにやさしいお京
- 12月30日の夜、お京は「上等の運が馬車に乗つて迎ひに来た」と、引っ越しを告げる
- その「運」は、お妾になることだった。お京は「行かなければ成らないのさ」
- 「お京さん後生だから此肩の手を放しておくんなさい。」で物語は終わる
- 樋口一葉の作品は『十三夜』、『にごりえ』、『たけくらべ』もどうぞ
参考文献
- 樋口一葉. わかれ道(初出「国民之友」277号、1896年1月4日。底本:新潮文庫『にごりえ・たけくらべ』). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/000064/card56889.html (閲覧日:2026年10月10日)
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