
メル美樋口一葉の『十三夜』って、お月見の夜に、結婚生活につかれた女の人が実家に帰る話なんだって。

プレ男130年前の話なのに、なんだかいまでもありそう…。
今回は、樋口一葉の小説『十三夜(じゅうさんや)』です。青空文庫の原文(底本:新潮文庫『にごりえ・たけくらべ』)で読みました。読みは青空文庫の図書カードによります。
プロフィール
| 作品 | 『十三夜(じゅうさんや)』 |
| 作者 | 樋口一葉 |
| 発表 | 1895年(明治28年)12月10日、「文藝倶樂部・臨時増刊閨秀小説」(博文館) |
| 主な人物 | お関(阿関)(原田勇の妻、斎藤主計の娘)、原田勇(お関の夫)、太郎(お関の息子)、お関の父母と弟亥之助、録之助(小川町の煙草屋の息子だった男) |
| 構成 | 「上」(実家での話)と「下」(帰り道) |
上:「今宵限り原田へ帰らぬ決心で」
- いつもは黒ぬりの立派な人力車で帰ってくる娘のお関が、今夜は車も女中も連れず、ひとりで実家の格子戸の外に立っています。この夜は旧暦の十三夜。母は、お月見のまねごとに団子をこしらえていました
- お関は、父母に打ち明けます。「私は今宵限り原田へ帰らぬ決心で出て参つたので御座ります」。まだ自分にしかなつかない太郎を寝かしつけて、「私は鬼に成つて出て参りました」
- 夫の勇は、口をきくのは用事があるときだけで、それもつっけんどん。朝ごはんのときから小言がたえず、召使いの前でお関をばかにします。何日も家をあけるのはふつうのことで、出がけには「吁、私位不仕合の人間はあるまい、御前のやうな妻を持つたのは」と言いすてて出ていきました
- 母は娘の話を聞いてくやしがります。もとはといえば、こちらから嫁にもらってくれとたのんだのではない。お関が17歳のお正月、家の前で追い羽根をしていたとき、その羽根が通りかかった原田さんの車に——と、縁談のはじまりを思い出します

プレ男召使いの前でばかにされて、何日も帰ってこないなんて…。そりゃつらいよ。
父の言葉:「原田の妻で大泣きに泣け」
- だまって聞いていた父は、娘のつらさをみとめながらも、こう説きます
- いま離縁すれば、太郎は原田のもの、お関は斎藤の娘にもどる。一度縁が切れたら、二度と太郎の顔を見に行くこともできない
- 弟の亥之助がいまの月給にありつけたのも、もとは原田さんの口ききではないか
- 「同じく不運に泣くほどならば原田の妻で大泣きに泣け」
- 「涙は各自に分て泣かうぞ」——お前が口に出さなくても、親も弟も察している
- お関はわっと泣き、「それでは離縁をといふたも我ままで御座りました」。太郎と別れて顔も見られなくなるなら、この世にいるかいもない、と、原田の家へもどることを決めます
下:帰りの人力車
- 月のさえた夜、虫の音もとぎれがちな上野に入ったところで、人力車がとつぜん止まります。車夫は「もう引くのがいやになった。代はいらないから、おりてくれ」と言いだしました
- 困ったお関が、車夫の顔を見ると——それは、小川町の煙草屋の一人息子、録之助(録さん)でした
- お関は12歳から17歳まで、毎日顔をあわせるたびに、いつかはあの店にすわって、新聞を見ながら商売をするのだと思っていました。でも縁談が決まり、親の言うことに逆らえず、「思ひ切つてしまへ、思ひ切つてしまへ」と心を決めて、原田へ嫁いだのです
- その録之助は、お関の嫁入りのうわさが聞こえたころからやけになって遊び、いまは安宿に泊まる車夫になっていました

メル美おたがいに、言葉にしなかった初恋だったんだね…。
別れ:「其人は東へ、此人は南へ」
- 広小路まで歩くと、ほかの車もありました。お関はお金を紙に包んで、「どうぞ以前の録さんにお成りなされて、お立派にお店をお開きに成ります処を見せて下され」と、別れをつげます
- 録之助は、それを「思ひ出にしまする」とおしいただき、空の車を引いて背を向けました
- 物語は、こう結ばれます。「其人は東へ、此人は南へ、大路の柳月のかげに靡いて力なささうの塗り下駄のおと、村田の二階も原田の奥も憂きはお互ひの世におもふ事多し。」

樋口一葉の『十三夜』で、父はお関に「同じく不運に泣くほどならば原田の妻で大泣きに泣け」「涙は各自に分て泣かうぞ」と語り、原田の家へ帰るよう説きました。
まとめ
- 『十三夜(じゅうさんや)』は、樋口一葉が1895年に発表した小説
- 旧暦の十三夜、夫の冷たさにたえかねたお関は、離縁を決めて実家へ
- 父は、太郎や弟のことを語り、「同じく不運に泣くほどならば原田の妻で大泣きに泣け」と説く
- 帰りの人力車の車夫は、言葉にしなかった初恋の相手録之助だった
- 「其人は東へ、此人は南へ」——二人はそれぞれの道へ別れていく
- 樋口一葉の作品は『わかれ道』、『にごりえ』、『たけくらべ』、明治の恋の物語は田山花袋『蒲団』、島崎藤村の詩「初恋」もどうぞ
参考文献
- 樋口一葉. 十三夜(底本:『にごりえ・たけくらべ』新潮文庫). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/000064/card56040.html (閲覧日:2026年10月10日)
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